あんまり言いたくないことですが、体力の衰えを感じて「歳かなあ…」と、少し弱気になるときがあります。しかし、意外にも、人間は体力・知力以外の部分から老けていくのだとか。
和田秀樹著『40歳から始める「脳の老化」を防ぐ習慣』 より、脳の老化防止のコツをご紹介します。
40代から「感情」が老化する
しかし人間は、“思わぬところ”から、思わぬほど早い時期から老化が始まり、しかもそれを放っておくと体も見た目も老けていき、ボケまで始まってしまうので要注意です。この“思わぬところ”とは――「感情」です。感情は40代頃から老化し始めるのです。 4ページより引用
気が若い、という言葉がありますが、老化は「感情」から始まると著者はいいます。
具体的にいえば、「感情」の老化とは脳の前頭葉が老化することであり、それはなんと40代から始まるのだとか。
人間の脳はいくつかの領域に分かれていて、その領域ごとに果たすべき機能が決められています。その中で、人間の感情をコントロールしたり、自発性や意欲、創造性などを司るのが前頭葉。
前頭葉は、個人差があるものの、40代頃から委縮して目に見えるように老化し始めるといいます。委縮が進んでいくことで前頭葉が司る感情のコントロール機能や、自発性、意欲、創造性が衰えてしまうようです。たしかに、自発性や意欲が薄くなっていくと、体も見た目も一気に老けこんでいきそうな気がします。
逆に、前頭葉の若さを保って「感情」の老化を防げば、身体や見た目の老化をストップできるといいます。脳から全身に広がっていく老化を阻止するためには、まず前頭葉を鍛えることがポイントであるといえるでしょう。
誰かと話すことで老化は、ストップできる
例えば歩かなくなったらとたんに足腰の機能が衰える反面、普段からよく歩く人は足腰も丈夫です。これと同じように、普段から努めて前頭葉の機能を使い込む、つまり、 ①努めて意欲的になり、前向きな感情に自らを導き、 ②頭の切り替えを速くし、 ③創造力を磨いて働かせる、ということが大切なのです。 6,7ページより引用
前頭葉を鍛えるといっても、具体的にどうしていけばよいのでしょうか。
前頭葉の鍛錬にあたって大事なのは、「入力(インプット)系より出力(アウトプット)系が肝心」ということであると著者はいいます。
脳の中で、記憶する=入力系に関わるのが側頭葉や頭頂葉なのに対して、前頭葉の機能は、貯め込まれた記憶や知識・情報を引っ張り出す=出力系に関わっているのだとか。
ゆえに、出す力を意識的に鍛錬することで、前頭葉全体の機能の活性化が図れるようです。
脳のアンチエイジングとして出す力を伸ばすために、著者は3つのポイントをあげています。意欲的に前向きに、頭の切り替えを早くして、想像力を働かせる。
その具体的な実践方法は意外と簡単で、それは「誰かと話すこと」。
歳をとると無口になり、それが老化を加速させるといいます。無口になるのは、脳のインデックス機能が衰えて、記憶があいまいになったり、思い出せなくなったりするから。
たしかに、歳を重ねてもはつらつとしている素敵な人は、自分の知らないことや分からないことに対して率直で素直です。
「わからないから教えてほしい」と素直に聞き、相手の説明に熱心に耳を傾ける。
キャリアを重ねてくると、簡単に人に聞けないシチュエーションが多くありますが、分からないことは聞けばいいという気持ちでいろいろな人と話す。
これが、究極でシンプルなアンチエイジングといえそうです。
Source: 「40歳から始める「脳の老化」を防ぐ習慣」
Image: Shutterstock
カフェグローブより転載(2018. 06.13)