バブル崩壊後の最高値を記録した日経平均株価。ニュースでもよく取り上げられますが、実際に「投資」と聞くと、どんな印象を持ちますか? 一昔前の「損するから絶対やりたくない」という人は少なくなったかもしれませんが、「興味はあるけどよくわからない」という人も多いのではないでしょうか。

実は、ライフハッカーの面々もご多分に漏れずその類い。そこで今回は、編集部の2人がファイナンシャル・プランナーに疑問をぶつけて、自分たちにあった投資を探ってみることにしました。

貯蓄から投資へ! 30代を迎えた今、資産運用をはじめるべき理由とは

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現在の資産運用を基に、教育費や老後資金を計算していくと、2人の顔に戸惑いの表情が...
Photo: 小原啓樹

編集部からの相談者は、37歳、4人家族(奥さんと3歳・1歳の子ども)でシングルインカムの松葉と30代単身の今井。答えてくれるのは、ファイナンシャル・プランナーの吉武亮さんです。

まず、吉武さんが2人の資産運用をヒアリングすると、松葉は定期預金と上の子の学資保険。今井は、定期預金と回答。それを聞いた吉武さん、松葉に驚きの数字を示します。

「教育費用だけでも、小学校から大学まで、オール私立で2000万円、オール国公立でも1000万円はかかります」

続いて、今井に老後に余裕を持って暮らすために必要な金額を尋ねました。「夫婦で20万円くらい?」との答えに、吉武さんは「大体、35万円くらいです。医療費がかかるし、元気でも定年後は毎日が休みのようなものだから、結構お金を使ってしまうのです」と教えてくれました。

ちなみに、松葉夫婦が85歳まで生きるとして、65歳から必要な生活費は、35万円×12カ月×20年=8400万円。平成27年度厚生年金保険・国民年金事業の概況・男女別年金月額階級別老齢年金受給権者数によると、男性が受給する年金のボリュームゾーンは18〜19万円、女性は9〜10万円。各々、間を取って28万円だとしたら、20年間で6720万円を受給できます。ということは、1680万円の不足。「退職金がないと厳しいかも」とこの数字に驚く2人です。

そして、松葉が65歳までに1680万円貯めるためには、月いくら必要かを計算しました。その結果は、月5万円。「子ども2人の教育費に住宅ローンもある。毎月必ずと言われれば難しいかも」とちょっと涙目です。しかも、この年金受給額は、あくまでボリュームゾーン。受給額は人によって大きく異なります。そうなると、月に5万円以上の貯蓄が必要になるケースがあるかもしれません。

「ただし、これはあくまで銀行で預金した場合の話。今は、メガバンクに100万円預けても、年間10円の利子しかつきません。しかも、国は年2%の物価上昇を狙っています。つまり、資産も年2%以上増えなければ、実質的に目減りしていくということ。だからこそ、資産運用が必要なのです」と吉武さん。

これまでは、とりあえず定期預金派だった2人ですが、リアルな数字を見せられたことで、なぜ資産運用が必要なのか、腑に落ちたようです。

忙しくて株は難しい。そんな人こそ投資信託

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吉武亮 (よしたけ・りょう)さん。上場保険代理店で新人賞、社長賞受賞後、ファイナンシャル・プランナーとして独立。これまで約500人のライフプランニングを手掛け、クライアントの資産設計をしながら、お金の貯め方・守り方・増やし方をアドバイスしている。
Photo: 小原啓樹

ここで松葉が、「普通に仕事をしていると、株の売買をしている時間が取れないですよね。それに、値動きが気になって、仕事が手につかなそうです」と資産運用の不安を吐露します。そこで吉武さんが一言「資産運用=株だけではありませんよ。私のオススメは投資信託です」。

投資信託とは、投資家から集めた資金を元手に、専門家が有望な銘柄を組み合わせてパック詰めにしたような金融商品。国内・国外の株式や債券、不動産投資信託(リート)のほか、石油や貴金属などの商品を投資対象としたものまで、さまざまなものがあります。基本的には、投資信託に組み込まれている株式や債券から得た配当や利子、買ったときの値段から値上がりした分の差額が運用益となります。

「投資信託には、どういったメリットがあるのですか?」と今井が吉武さんに尋ねます。

「大きなメリットは3つ。1つめは、実際の運用は専門家が行うので、資産運用のハードルが低いこと。投資家は商品を選んで購入するだけなので、時間も手間もかからず、詳しい知識も必要としません。2つめは、少額からでも投資が可能なこと。1万円程度から購入ができます。そして3つめは、分散投資ができてリスクが軽減できることです」。

分散投資は投資の基本ですが、投資信託にはさまざまな商品があります。国内株式、海外先進国株式、海外新興国株式、国内債券、海外先進国債券、海外新興国債券をうまく組み合わせておけば、それぞれが異なる値動きをするケースが多いので、株式相場や債券相場また為替が上下したときにも、大きな損失を免れることができるのだとか。

また、これらの株式や債券を組み合わせた、バランス型と呼ばれる商品も存在するので、それを買えば1つの投資信託で分散投資することも可能です。

ライフハッカー編集部の2人が選ぶべき投資信託とは

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SMBC日興証券の投信取引サポートツール『fund eye』のイメージ画面。
Image: SMBC日興証券

ここで早速。2人は自分たちに向いている投資信託を聞いてみました。

「初心者は、1つの商品で分散投資ができるバランス型がオススメです。先進国・新興国を含めた全世界の国の株価指数(MSCI社が算出する株価インデックス指数)に連動する投資信託なども存在していますよ」。

最近では、スマートフォンで提供される投信取引サポートツールで、アドバイスを受けることも可能です。たとえば、SMBC日興証券の『fund eyeは、投資に関する6つの質問に回答。そして、国内株式や国内債券など投資したい対象を選択。最後に「保有コスト」と「運用効率」のどちらを重視するか選べば、自分に向いた投資スタイルと投資先の候補となる投資信託のリストが提示されます。

「投資初心者には、こうしたツールを利用するのも1つの方法です」と吉武さん。ただし、「投資信託は必ず儲かるものではありません。リーマンショックのようなことがあると、一時的には元本を下回るリスクがあることは覚えておきましょう」とのこと。あくまで、リスクは自己責任ということは自覚しておきましょう。

投資信託が気軽に買えるようになっている理由

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SMBC日興証券では、2017年10月16日より、投資信託の購入手数料が無料の「ノーロード商品」が300本から、取扱商品の半数となる400本以上に増加しました。
Image: SMBC日興証券

では、この投資信託、いったいどこで買うことができるのでしょうか。基本的には、証券会社や銀行、郵便局で購入できます。証券会社などは、店舗にいかなくても、ネットで購入することも可能です。

「購入時に気をつけたいのは、コストです」と吉武さん。ここで、簡単に投資信託にかかるお金の話がはじまります。

投資信託を購入して保有することでかかるコストは次の3つ。①「購入手数料」は購入するときにかかる手数料。②「信託報酬」は管理するための手数料で保有し続けている限りずっとかかります。③「信託財産留保額」は、途中解約の際に発生する費用です。

吉武さんは、「ノーロード商品は、購入手数料が無料の投資信託です。また、信託報酬が低い投資信託も増えています」と教えてくれました。

以前は、投資信託は手数料が割高というイメージもありました。これは、営業員が対面で販売していたから。特に、サービスに手厚い大手証券会社は販売手数料が高いイメージがありましたが、最近はネットを活用することで、かなり下がってきています。

一例を挙げると、SMBC日興証券では、2017年10月16日より購入手数料を大幅に値下げ。パソコンやスマートフォンを使って購入ができるダイレクトコースでは、購入手数料が無料の投資信託(取扱ファンド)の本数が、以前の300本から400本以上に増加。これは、全体の5割を超える数字なのだとか。

「最近は投資信託を購入する方法も増えていますし、手数料も下がってきています。もし、預貯金以上の利率を狙いながら長期的に保有するつもりなら、手間もかからないし、選択肢の1つになるでしょう」と吉武さん。

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投資信託に興味津々? 2人のこわばった表情が徐々に前向きなものに変わっていきました。
Photo: 小原啓樹

吉武さんの話を聞いて松葉は「投資にはもちろんリスクもある。しかし、現在はやらないリスクも考える必要がある時代だと感じました。ぜひ投資信託という選択肢を積極的に活用したいですね」と資産運用に積極的な姿勢に。

今井は、「銀行に預けておくと損はしないという考え方だったけど、お金の価値も時代によって変動する。預貯金は実質的に目減りしていく可能性もあるというのは、新しい気づきでした。興味が出てきたので、もう少し調べてみたい」とのことでした。

超低金利で預貯金だけでは資産は増えていかない時代。老後の蓄えも自助努力が必要です。株は難しいと思っている人は、まずは手軽にはじめられる投資信託から投資を考えてみてはどうでしょうか。


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金融商品へのご投資には、所定の手数料がかかる場合があります。また、価格変動などのリスクがあります。投資に関する最終決定はご自身でご判断ください。


Source: SMBC日興証券,投信取引サポートツール「fund eye」

Photo: 小原啓樹