ほとんどの人にとって、ベストなランニングシューズというのは、走っている時に最高だと感じるものです。しかし、ランニングシューズの会社はある特定のシューズ、特にナイキの約28000円するZoom Vaporfly 4%は、エネルギーの消耗が少なく、より速く走ることができると主張してきました。米Lifehackerは、ついに主張を証明するデータを手に入れました。どうやらナイキのはったりではなかったようです。
まず、研究に関する偏見をクリアにしておかなければなりませんが、この研究はナイキが資金を出しています。しかし、ニュースサイトOutside OnlineでAlex Hutchinsonが報告しているように、実験は評価されている研究所で行なわれており、その結果ランナーが必要とする酸素が少なかった、つまり負荷が低かったということが証明されています。エネルギー消費が少ないということは、それだけ速く走ることができるという意味です。研究の全文はこちらで読むことができます。
ケニアの陸上選手エリウド・キプチョゲは、Vaporfly 4%を履いて、マラソンの世界最高記録2時間00分25秒で走りましたが、そのレースではたくさんのことが起こっていました。ナイキは、2時間台のマラソンにするという明確な目標を掲げていました(それに、アスリートトレーニングや研究に関して何カ月にもわたる話題があり、そのイベントでは世界最大にして最長のシューズの宣伝になるかもしれないと言われていました)。ですから、世界最高のアスリートがナイキの主力シューズを履くという以上に、話題の多かったイベントでした。
たとえば、悪天候だった場合の予備日を何日か用意し、最適な場所の平坦な競技用トラックを予約しました。また、3人の選手に走ってもらい、そのうちの2人はペースを保てなかったので途中で棄権しました。キプチョゲには、風除けのために雇われたランナーもおり、その人たちは数マイル毎に交代したので、常に疲れていない脚で完璧なペースを保つ人の後ろをついて走っていました(そのようなサポートは競技用の大会では認められていないので、キプチョゲのタイムは記録として認定されていません)。
このシューズの特別なポイント
さらに、アメリカの陸上選手シャレーン・フラナガンがこの同じシューズを履いて、先月のニューヨーク・シティ・マラソンで優勝したという事実もあります。このような結果があると、選手のパフォーマンスはシューズのおかげなのかわからなくなります。どんなシューズを履いているかに関係なく、2人は明らかにすばらしいランナーです。ですから、最近研究所が発表したような研究が、私たちの理解につながるのです。研究所は、Vaporfly 4%と、他に2つの同じようなシューズ、アディダスのAdizero Adios Boost 2とナイキZoom Streak 6を履いて、同じ標準テストを実行すると何が起こるかを調べました。実際、他の2つのシューズを履いた時よりも、Vaporflyを履いた時のほうが少し走るのが速かったのです。
Vaporflyと他の2つのシューズは、クッションに使われている素材のタイプ、その素材の層に挟まれている弾性のあるプレートに違いがあると思われます。Vaporflyは現在購入することができるので、Wiredは、ニューヨーク・シティ・マラソンでVaporflyを履いて走った21人を含む、138人のランナーの完走タイムを見て、即席の研究をしました。その結果、Vaporflyを履いて走った人はネガティブ・スピリットをする(レースの前半よりも後半のほうが速く走る)傾向が多く見られました。シューズによってより速く走れるようになったという見方もできますが、速く走れるようになるシューズを履いていると自分でわかっているせいで、プラシーボ効果が表れているとも考えられます。
つまり、必ずしもVaporflyを履いて走ったほうがいいというわけではありません。マラソンのタイムを絶対に数分縮めたいというのであれば、約28000円のシューズを買うのを検討する価値はあるかもしれません。もしかしたら、フォームを修正するためにコーチに何回か見てもらったり、もっとトレーニングをするためにベビーシッターを頼んだりするためにお金を使ったほうがいいかもしれません。それは、ナイキではなくあなたが決めることです。
Image: Maxime FORT/Flickr
Source: Nike(1, 2), Wikipedia(1, 2, 3), Outside Online, Springer Link, Adidas, Wired
Beth Skwarecki - Lifehacker US[原文]