言わずと知れた、4年に1度行われる夏季オリンピック・パラリンピック。世界のアスリートが集結し、スポーツを通じた人間育成と世界平和を目的とするスポーツの祭典です。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会まで残り1000日を切り、オリンピックムードも徐々に高まってきています。東京でオリンピック・パラリンピックが開催されるのは1964年以来二度目。今回が初の母国開催のオリンピック・パラリンピックという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、東京オリンピック・パラリンピックをさまざまな角度から紐解き、大会を1000%楽しむために知っておくべきことを紹介します。
「オリンピックお兄さん」に観戦の楽しみ方を聞いたり、2012年のロンドンオリンピックの事例を参考に東京オリンピック・パラリンピックでのテクノロジーの進化について考えたり、東京オリンピック・パラリンピックのパートナー企業に取材したりなど、盛りだくさんの内容になっています。これを読んで、大会本番前にしっかりと予習をしておきましょう。
”オリンピックお兄さん”にオリンピック観戦の基礎を教えてもらおう
スポーツ観戦が趣味の方はもちろん、普段はほとんど興味がないという方でさえも、今回のオリンピックは生で観戦したいと思っていることでしょう。
そこで、これまで数々のオリンピックを観戦してきた「オリンピックお兄さん」こと滝島一統(たきしま・かずのり)さんに、オリンピック観戦の楽しみ方や、チケットの入手方法などの基礎知識をお伺いしました。
滝島さんは2006年のトリノ冬季オリンピックが初観戦。以降、すべての夏季冬季オリンピックを開会から閉会まで現地観戦し続けており、オリンピック観戦のことは知り尽くしています。
── オリンピック観戦を始めたきっかけは?
2005年に、当時付き合っていた彼女とケンカをしまして。その仲直りのために、彼女が好きなフィギュアスケートの大会を国立代々木競技場に観に行ったんです。僕自身、それまでスポーツ観戦に興味はありませんでした。
広い会場の一番後ろの席で、場内では音楽が鳴り響いているという状況でしたが、それでもジャンプするときのエッジが氷を掻くザリッという音が聴こえてきたんです。そのとき、「フィギュアスケートってこんなに激しいスポーツなのか」と感動しました。ちょうどその大会でトリノの代表が発表され、荒川静香選手、村主章枝選手、安藤美姫選手が選ばれました。そこで、初めてオリンピックが開催されることを知ったんです。
この大会でこんなに感動したんだから、オリンピックはもっとすごいに違いないと思い、仕事が片付いたら自分へのご褒美としてトリノに行こうと決めたんです。
── それでトリノオリンピックに行くわけですね。
ちょうどそのころ大きな仕事をいくつか抱えていたので、これが全部片付いたら行こうと思っていました。そうしたら、奇跡的にすべて仕事が片付いたんです。それが、フィギュアスケートが始まる1週間前でした。
飛行機のチケットだけとってとりあえず現地に行ったんですが、ホテルは全部満室。なんとか現地で小さな宿を見つけて宿泊し、毎日当日券を買って観戦していました。そこで、荒川静香選手が金メダルを取った瞬間を観ることができたんですね。そこから完全にハマりましたね。
── これまでのオリンピックで、一番印象に残っている場面はなんでしょうか。
2010年のバンクーバーオリンピックの女子フィギュアスケートですね。韓国のキムヨナ選手と浅田真央選手の頂上決戦でしたが、浅田選手がジャンプを失敗してしまったんです。それも、前の選手の滑走した溝にエッジが引っかかったという、とてもアンラッキーな理由で。
それでキムヨナ選手に負けてしまうのですが、あの温厚な浅田選手が、キス・アンド・クライ(選手とコーチが採点結果を待つためのスペース)での中継が終わった後に、イスを叩いたんですよ。よほど悔しかったんでしょうね。ベストの演技で負けたわけではなく、アンラッキーなミスだったということもあったんでしょう。
それを見たときに、切なさで心がいっぱいになって現地で号泣していましたね。
── それは現地で観ていないと出会えない光景ですね。2020年の東京オリンピック・パラリンピックは絶対に生で観たいという人も多いと思いますが、そもそもオリンピックのチケットというのはどうやって入手するものなのでしょうか。
基本的には、地元のオリンピック委員会が運営するオフィシャルサイトで販売されます。発売されるのはだいたい開催の1年半から2年前くらいでしょうか。
オリンピックは開催国から優先的にチケットが発売されるというルールがあるので、今回も1次販売、2次販売は日本のみで行われるはずです。通常は、1次販売は抽選となり、2次販売は先着順です。2次販売までは、開催国発行のクレジットカードを持っていないと購入できないという場合が近年はほとんどです。
大会によって異なりますが、3次でまた抽選販売が行われ、4次は先着というのが多いと思います。国内優先とはいえ人気競技は争奪戦となるので、なるべく一次販売からトライすることをオススメします。
日本開催のオリンピックなので、オフィシャルサイトも日本語で表示されるでしょうから、チケットの購入に関しては問題ないでしょう。

── 大体のチケット料金というのはどのくらいなのでしょう。
開催国の物価によって変わりますが、私の記憶だと、ロンドンオリンピックの開会式のA席は25万円くらいでした。2018年の平昌冬季オリンピックでは15万円くらいですね。東京は20万円を超えるくらいではないかと予想しています。
各競技のチケット代は、だいたい2万円から5万円くらいの間です。
── チケットは競技ごとに発売されるのでしょうか。
競技ごとですが、予選と決勝で別のチケットになることがほとんどです。たとえば柔道ならば、同日同会場でも予選と決勝は別になります。
陸上競技はスタジアムで行われますが、午前、午後、夕方、夜といったように、時間帯ごとにチケットが異なります。
── チケット購入の際に気をつけることはありますか?
まず、自分が観たい競技の時間と場所のチェックですね。チケット発売前には日程が発表されると思うのですが、それを見て自分の観たい競技をチェックします。
オリンピックはセキュリティチェックがとても厳しいので、会場に着いてから席に着くまでに1時間ほどかかる場合もあります。
なので会場までの移動時間、会場に着いてからかかる時間なども考慮して、あらかじめ全体の予定を立ててからチケットを購入したほうがいいでしょう。意外と会場が遠いところにあったりするので、事前に場所のチェックもしておきたいですね。
それと、試合結果が出る前にチケットを購入するので、予想していたチームや選手が出場しないということもあり得ます。リオオリンピックのとき、絶対なでしこジャパンが来るはずだと思って女子サッカー決勝のチケットを取ったんですが、そもそもオリンピックに出ていませんでしたからね(笑)。

── チケットが取りにくい人気の競技はどれでしょうか。
東京大会においては、日本で人気のあるレスリングや柔道、体操は取りにくいでしょうね。あとは陸上競技の100m走。
そのなかでも一番取りにくいのは水泳でしょうか。水泳はこれまでの大会での経験上、びっくりするくらい人気があります。そして、びっくりするくらいすぐ終わります(笑)。
── 逆に、これは狙い目といった競技はありますか?
個人的にオススメなのがウェイトリフティングですね。ウェイトリフティングは、心理戦、駆け引きのスポーツなんですよ。ルールを理解して見ると、とても奥が深くて楽しめます。チケットも比較的取りやすいですよ。
あとは射撃などもチケットは取りやすいと思います。
── 会場に持ち込んではいけないものなどありますか?
長いものはダメですね。セキュリティチェックで見つかれば没収されます。また、カメラのレンズでも、望遠レンズで極端に長いものなどは没収される可能性があります。(南アフリカW杯で話題になった)ブブゼラもダメです。
── オリンピック観戦の楽しみ方やコツなどがあれば教えてください。
海外の方が多く来られると思うのですが、一緒に写真を撮ったり、話しかけたりしてコミュニケーションを取ると楽しいですよ。
席が隣になった外国人の方に、ちょっとした日本のお土産をあげると喜ばれます。100円ショップのおもちゃとか、はちまきとかうちわでいいんです。彼らはすごく喜んでくれますよ。逆に自分が、海外で見知らぬ人にそういうものをもらったら、とてもうれしいと思うんですよ。

── 会場ではたくさんお土産が売っていると思うのですが、滝島さんがオススメするグッズはありますか?
今回あるかはわかりませんが、男性ならネクタイがオススメです。あとはカフスボタンなどもいいですね。
腕時計もいいと思います。価格も1万円前後でお手頃ですし。僕は毎回買っています。

── 最後に、初めてオリンピック観戦をする方にオリンピックお兄さんとしてメッセージをお願いします。
生で観戦をすると必ず得るものがあるので、ぜひ観に行ってください。テレビで観ているオリンピックと、生で観戦するオリンピックはまったくの別物です。目の前で選手が歓喜や敗戦の涙を流しているのを見ると、いつも自分の甘さを思い知らされると共に、もっと自分も頑張ろうという気持ちにさせられます。
オリンピック観戦はリピーターが多いんです。チケット代も高いしホテルも飛行機も高いのに、わざわざ仕事を休んで来る人が世界中にたくさんいます。なぜそれほど多くの人を惹きつけるのか、その理由は実際に体験してみないとわからないでしょう。
それなりにお金はかかるかもしれませんが、一生残る思い出になると思いますよ。
オリンピックによって”街”はどう変わる? ─ロンドンの場合
オリンピックお兄さんの話を聞いて、今すぐにでもオリンピックに行きたくなってきました。
でも、単なる一過性のお祭りではないのがオリンピック。オリンピックを開催する都市は、開催が決まってから何年もかけて準備を行います。海外から訪れる何百万人にも及ぶ観光客に配慮した街の整備(さまざまな施設の多言語対応やバリアフリーなど)を行ない、都市自体が進化していきます。
1964年の東京オリンピックで、東京の街は大きく変わりました。国立競技場や日本武道館などが作られ、首都高速道路や東海道新幹線など交通インフラの整備も進みました。そのほかにも、カラーテレビが普及するきっかけとなったり、ゴミ収集車の導入によって街のクリーン化が進んだり、大会期間中の警備強化に協力したことから民間の警備会社の認知度が上がったりなど、オリンピックの影響を挙げたらきりがありません。
こうした事実からもわかるように、東京オリンピックの開催が、その後東京が発展していく上での基礎となったのです。

2020年の東京大会と同様、先進国での開催となった2012年のロンドンオリンピックでは、ロンドンの街は大きく変化し、現在も進化を続けているようです。
そこで、2012年のロンドンオリンピックを経験したロンドン在住の繁田明利(はんだ・あきとし)さんに、オリンピックの以前と以後の、ロンドンの様子をお伺いしました。
繁田さんは1987年に渡英し、ロンドンで広告会社を設立。現在は日本とイギリスのクロスカルチャー事業として、日本の料理教室やファッションブランドを経営されています。
その繁田さんから見たロンドンの移り変わりは、どのようなものだったのでしょうか。

── オリンピックの以前と以後で、ロンドンの街はどう変わりましたか?
ロンドン大会の会場となったロンドン東部のストラッドフォードという街は、元々はどちらかというと貧困、低教育のイメージが強い地域でした。
街は殺伐として、ゴミが散乱し、地元の人たちからは“巨大なごみ捨て場”と呼ばれていたほどです。
しかし、ロンドンオリンピック開催に合わせて、巨大ショッピングモールやホテルを誘致したことで、街が変わりました。街全体が活性化し、明るくなり、住人たちの生活の質も向上したことでしょう。
現在のストラッドフォードは、ロンドン東部の繁華街として賑わっています。オリンピック開催を契機とした都市開発が成功した事例と言ってもいいでしょう。
── 開催期間中の雰囲気はどのようなものでしたか?
オリンピック開催中の混雑を避けるために、金融の中心地CITYでは、オリンピック期間中は自宅作業をするようにロンドン市から通達がありました。そのためか、CITYが閑散としていたことを覚えています。
もうひとつ印象的だったのが、バリアフリーでしょうか。オリンピックに向けて各交通機関は、施設のバリアフリー化を目指していました。しかし、ロンドンは交通機関のインフラが古く、なかなか整備が進みませんでした。
結果的に施設は不十分でしたが、街の人たち、交通機関の職員、ボランティアの方々の助け合いで、それを補っている感じはありましたね。街で、身体の不自由な方に手を差し伸べている光景を多く見かけるようになりました。

── そのほかに印象に残っていることはありますか?
オリンピックによって変わったことといえば、ボランティア活動の活性化でしょうか。会社を休んで、オリンピックのボランティア活動に参加した人が多くいました。
オリンピック期間中は、「Team London」という服を着た、会場運営や海外観光客へのサポートを行うボランティアの姿を多く見かけました。
このボランティア活動はロンドンの街のイメージを向上させ、オリンピック後も観光客の増加の一要因になっていると思われます。
また、パラリンピックの盛り上がりも印象に残っています。私自身も観戦に行こうと思いましたが、チケットが取れませんでしたね。
東京オリンピックではテクノロジーの進化に期待
繁田さんは、ロンドン東部の街の変化が特に印象に残っており、ロンドンオリンピック全体としては「全体的に合理的で、海外へ向けてのロンドンのアピールは成功したと思います」と感じたようです。
では、今回のオリンピックで東京の街はどのように進化するのでしょうか? 新国立競技場の建設が急ピッチで進んでいますが、それ以外は既存の会場を使用する予定となっています。この点では、あまり急激な変化はないでしょう。

羽田・成田空港は、発着枠数の増便を予定。さらに海外からの訪日客増加を見込み、首都圏空港の機能強化を推し進めています。
道路は、圏央道の全線開通を2020年までに計画。これにより、都心への自動車の流入が減少し、渋滞が緩和されると予想されます。加えて、東京・晴海に建設予定のオリンピック選手村へ続く道路も整備が予定されており、大会開催期間中、選手、観客ともにスムーズな移動が行えるようになるでしょう。
今回の東京オリンピックは、1964年の東京オリンピックのように、新しい建物や道路が大量に作られるというようなことはあまりなさそうです。
どちらかというと注目すべきは、テクノロジーの面です。海外からの観客が増加すると、言語の違いによるコミュニケーションの問題が起きます。そこで、自動翻訳のシステムや、多国語による電光掲示板案内などの導入が予想されます。
スマホアプリによる、空港内や駅構内の多言語対応のナビゲーションシステムなども開発されつつあります。これには、電子地図やGPSなどの精度アップが不可欠です。
また、ロボットの導入も注目されています。施設内の案内に加えて主要観光スポットでも導入されれば、海外の観光客がスムーズに観戦や観光を楽しめるようになるでしょう。
日本でもこれらは日夜研究・開発が行われている分野ですが、東京オリンピックが開催されることにより、一気に実用化されるはずです。そして、それらのテクノロジーはオリンピックを機に我々が手軽に使えるようになるでしょう。
1964年の東京オリンピックでカラーテレビが一気に普及したように、2020年を境にAIやロボットといったものが、かなり一般的になるのではないでしょうか。
ただお金を出すだけじゃない。オリンピックのスポンサー事情とは?
前述のようなインフラ整備や都市開発はもちろん、オリンピック・パラリンピックの開催・運営には多額の資金が必要となりますが、それを支える重要な存在がスポンサーです。
オリンピックでは「パートナー」という名称のスポンサー企業が存在します。中継などで会場で見かける企業ロゴは、オリンピック・パラリンピックを支えるパートナー企業のものです。
しかし、オリンピック・パラリンピックのパートナー企業といっても、具体的にどんな活動をしているのかあまりピンときません。
そこで、東京オリンピック・パラリンピックのゴールドパートナーであるアシックスの、2020東京オリンピック・パラリンピック室室長・君原嘉朗(きみはら・よしろう)さんにお話を伺いました。

君原さんの父親は、東京、メキシコ、ミュンヘンとオリンピックに3度マラソンランナーとして出場した君原健二さん。
入社後はアパレル部門の企画開発を担当後、2008年に東京マラソンの運営担当となり、2016年の東京オリンピック・パラリンピック招致活動からオリンピック担当となりました。現在は2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けてさまざまな活動を行っています。
── オリンピック・パラリンピックのスポンサーシップ構造はどのようになっているのでしょうか。
オリンピックパートナーは大別すると、「ワールドワイドパートナー」と「ゴールドパートナー」、そして「オフィシャルパートナー」に分かれます。大きな違いは、「オリンピック・パラリンピック」という呼称や大会エンブレムなどのプロパティを使用できる権利行使の範囲です。
ワールドワイドパートナーは、契約をすると世界中で権利を使用することができます。また、多くのパートナーはひとつの大会ではなく複数の大会に関わる、長期間の契約となっているのも特徴です。
ワールドワイドパートナーと違って、ゴールドパートナーはローカルのパートナーといったところ。日本国内において東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に関する呼称を使用できます。また、夏季・冬季のオリンピック・パラリンピック、ユースオリンピックの日本代表選手団に関する呼称を使用できます。
わかりやすく言うと、ゴールドパートナーは2018年の平昌冬季オリンピック大会の場合、現地でのPR活動は行えませんが、国内では日本選手団を通じたPR活動を行えるということになります。

── なぜ、アシックスとしてオリンピックのゴールドパートナーに手を挙げられたのでしょうか。
まずはじめに、当社の創業哲学「スポーツを通して青少年の健全な育成に貢献したい」という想いが、近代オリンピック創設の信念と原点が同じであること。
次に、東京2020大会への協賛をきっかけに、スポーツ振興を通じて健康で持続的な社会の実現に貢献していきたいという想いがあったこと。そして、なにより、日本発祥のスポーツ用品メーカーとして自国開催である Tokyo 2020 が世界に誇れる大会となるためのサポートがしたい、アシックスとしてもオリンピックというブランドを活用して、国内のみならず世界的にブランドの認知向上を図っていきたいと考えました。
私もスポーツ用品メーカーに勤めて、「スポーツで世の中の人を幸せにしたい」という気持ちがあるなかで、世界最大のスポーツの祭典に関われるというチャンスに恵まれたことは幸運だと思っています。
── 2015年春よりゴールドパートナーとして活動をスタートしていますが、具体的にはどのようなことをされるのでしょうか。
東京大会の認知度を高めるための活動ですね。我々はスポーツ用品カテゴリーでのパートナーなので、大会の公式エンブレムを使ったライセンス商品を販売するのも活動のひとつです。

また、重要な活動として、東京2020オリンピック・パラリンピック日本代表選手団や大会ボランティアのウェア・シューズといったスポーツ用品全般の企画・開発などがあります。
東京大会では、現状では約8万人のボランティアが参加予定となっています。その8万人分のウェアやシューズなどのアイテムを納品するという大役を担っています。
ボランティアの方々が暑い中、少しでも快適に、そして笑顔で世界中の人たちをお迎えできるようなウェアにできればと思っています。 現在企画・開発、デザイン・研究部門などが一体となって、世界中の皆さまから愛されるものになるよう頑張っています。
── 通常のスポンサーとは少し印象が違いますね。
東京2020組織委員会やJOC(日本オリンピック委員会)、JPC(日本パラリンピック委員会)と向き合う機会も多いのではないかと思っています。スポンサーと聞くと、協賛金でサポートするという感じですが、私たちはそれ以外の部分も大きいですね。東京大会を通じて、幅広い人々を対象としたスポーツを軸とした健康で快適なライフスタイルを推進するムーブメントを起こしたいと思っています。

── 2020年の東京オリンピックでは、アシックスはどのような姿勢で臨まれるのでしょうか。
成熟した課題先進国である日本が、世界に範を示す大会にしなければと思っています。今回の大会をきっかけに、日本が抱えている課題というものが浮き彫りになると思うのですが、そのような課題は、欧米の先進国にも当てはまるものだと思います。
そこで、2020年、日本が世界に何を発信するのか。大会ホスト国として、またそれを支えるパートナー企業にとって大きな使命だと思っています。
── お父様である君原健二さんは、今回のオリンピック開催について何かおっしゃっていましたか?
2020年の東京大会開催が決まった後、一段落してから実家に電話をしたんです。そのとき、厳格で無口な父親がびっくりするくらい喜んでいました。いくつかのニュース番組にも出演してコメントを寄せていましたが、そこで泣いていたんですよ。大変驚きました。あの父が泣いているのを見て、これは絶対に成功させなければと思いましたね。
また、2020年東京大会開催決定に関連した番組でオリンピックについて一筆お願いしますと言われたときに「世界へ、夢、感動、勇気、希望を贈る大会とする」と書いていたそうです。
それを見て、父はオリンピック・パラリンピックにはそういう力があると信じていると思いましたし、僕もそう信じたいですね。私たちアシックスもそれを信じてパートナーになったわけですし、そうあってほしいなと思っています。
東京2020オリンピック公式ライセンス商品でオリンピック気分を盛り上げよう

オリンピックのゴールドパートナーであるアシックスは、大会開催1000日前を記念して、さまざまなグッズを発売しています。そのひとつが公式ライセンス商品です。
数量限定アイテムであるTシャツとシューズは、ホワイトまたはネイビーを基調としたシンプルなカラーリングで、全体に紙吹雪をイメージしたプリントをあしらっています。


このほかにも、シーズンアイテムとしてロングスリーブシャツやニットキャップ、パーカーなどさまざまなアイテムがあります。
どれもオリンピック・パラリンピックのロゴをあしらいつつも、普段のスタイリングに取り入れやすいアイテムになっています。オリンピック気分を盛り上げるために、身につけてみるといいかもしれませんね。購入はこちらから可能です。
1000日前。会場でオリンピックを体感しよう
大会観戦の楽しみ方から都市の進化、パートナー企業の想いなどを知ることまで、さまざまな側面からオリンピックの楽しみ方がわかったのではないでしょうか。
1964年の東京オリンピックは、高度成長期に重なり、日本発展のターニングポイントとなりました。筆者の父親(1940年生まれ)は、当時のことを振り返って「楽しかった」と言います。
毎日、頭上にできあがっていく高速道路を見に行ったり、国立競技場や日本武道館が作られたこと、白黒だったテレビがカラーになって、色鮮やかになったこと。「東京が変わっていく様子にワクワクした」と語ります。
今回の東京オリンピックを迎えるにあたり、東京という街も大きく変わろうとしています。都心部にホテルが建ち並び、道路の整備も進んでいます。駅では電光掲示板が多国語対応になっていたり、交通機関の車内案内もさまざまな言語で表示され始めました。
そして、ロボットやAIといった最新技術がさらに実用的になり、大会の成功をサポートすることでしょう。子どもの頃、小説やマンガで見た「未来の街」が、実現間近なのかもしれません。
10月28日(土)でオリンピックまで1000日前、11月29日(水)でパラリンピック1000日前となります。
いったい、どんなドラマが待っているのでしょうか。そして、オリンピックの後、東京はどのように変わっていくのでしょうか。今から楽しみでなりませんね。
Photo: 開發祐介
Image: sportpoint, Paolo Grandi,lenisecalleja.photography/shutterstock,Defence Images,David Jones/flicker
Source: 東京2020オリンピック・パラリンピック特設応援サイト、国土交通省