ビジネスパーソンが行なっている日常の運動に、ランニングがあります。
近ごろでは、各地でマラソン大会が行われ、早朝や深夜、特に休日は多くのランナーが街の中を走り抜けています。
なぜこれほど、ランニングがブームになり、浸透しているかといえば、その手軽さにあるといえます。
最低限、シューズさえあれば、どこでも始められること。
時間も器具も問わず、お金もかからないという珍しいスポーツなのです。
さて、このランニング、皆さんはより効果的にできているでしょうか?
走る際に合わせて摂る食事も重要です。摂取するものでランニングの効果も大きく変わります。
「プロテインを飲むべきなのか?」「走った後は何も食べないほうがいいのか?」といった疑問に答えるべく、日常のランニングの際に摂取したいものを管理栄養士の視点から解説いたします。
浅野まみこ(あさの・まみこ)

管理栄養士・健康運動指導士。総合病院、女性クリニック、企業カウンセリングにて1万8000人以上の栄養相談に従事。その経験を生かし、企業のコンサルティング、レシピ開発など多方面で活躍中。
ランニングと消費エネルギー
ランニングをすると、慣れないうちはかなりの疲労感や筋肉痛を感じるため、消費エネルギーが高いと思っている方が多いと思います。
ランニングの消費エネルギーの一番簡単な計算式は「消費エネルギー(kcal)=体重(kg)×距離(km)」です。
たとえば、体重60kgの人が5km走った場合の消費エネルギーは300キロカロリーとなります。
300キロカロリーといえば、ご飯大盛り1膳分ほど、ビールでいえば中ジョッキ1杯半です。
これを消費エネルギーが高いと思うか低いと思うかは、人それぞれですが、かなりエネルギーを消費したと思って、その前後に食べてしまうとオーバーしてしまうことのほうが多いのです。
ちなみに脂肪燃焼は、摂取エネルギーよりも消費エネルギーが多くないと行なわれません。
ランニングで痩せたい、脂肪を燃やしたいと思っている場合は、消費エネルギーを多くする意識が必要です。
ただ、ランニングは筋肉を作り、燃焼しやすいカラダのベースを作ることにも効果を発揮するので、そうした意味でも意義のあるスポーツと考えられます。
走る前と走った後に摂取すべきもの
さて、走る前と走った後の栄養補給について考えてみましょう。
ランニングは、脂肪燃焼と合わせて、糖分もアミノ酸も消費しやすい運動です。
効率的に摂り入れることで、心地よい運動を行なうことができます。
・走る前に摂取したいもの
ランニング前は、1〜2時間前までに糖質の多い食品を軽く摂取しておくことがオススメです。
具体的には、おにぎりやパン、麺類など。食後1〜2時間で体内の血糖値がピークを迎えるため、ランニングスタートには良いタイミングです。
走る直前に摂り入れたい場合には、胃への負担がかからず吸収の高い食品を選びましょう。
一番吸収の高い糖といえばブドウ糖や果糖、つまりスポーツドリンクやゼリー飲料になりますが、多用すると血糖値の急上昇を招く上に、空腹感を増長させやすい欠点があります。
こうした炭水化物(糖質)を摂取することで、カラダの燃焼スイッチを入れることができます。
糖質が不足した状態で運動を始めると、体内のタンパク質を分解することでエネルギーを作り出そうとします。
それによって体内の筋肉量が減ってしまうことになります。
また、体も動きづらく、トレーニングをつらいと感じてしまうこともあるでしょう。
「走る前には糖質摂取」と覚えておきましょう。
・走った後はプロテイン?
走った後に「せっかくエネルギー消費したのに、食べたらもったいない」と食べない方がいますが、これはオススメしません。
運動直後は、筋肉を修復し、体を作るためのアミノ酸が必須です。
運動後、30〜60分以内にアミノ酸、ビタミンCを摂取します。
この時にプロテインを飲むことは、効率的な方法です。
オススメのプロテインは、ビタミンCも配合されているもの。
また植物性ではなく動物性のプロテインが筋肉合成に向いていますので、ホエイプロテインなど動物性のものが良いでしょう。
プロテインの1日の量は、食事からの摂取も含め基本的に「体重(kg)×1g」です。
トレーニングをしっかりとする場合にも「体重(kg)×2g」程度を基本としましょう。
食事で摂取するのもいいでしょう。肉や魚、卵を意識して摂取します。
コンビニでも、サラダチキンやゆで卵、豆腐、鯖缶など、タンパク質の摂取できるものは案外多くあります。
食事の前後に走る場合には、運動前に主食(炭水化物)を摂る、運動後におかず(肉や魚、卵、大豆製品)や野菜を取るように意識すると食べ過ぎも防ぐこともできます。
・運動中の水分補給
運動時に大切なことのひとつに水分補給もあります。
1日に必要な水分は、 2.5リットル。食事からの水分もありますので、実際に水分で摂取するのは1.5~2.5リットルを目安に考えましょう。
喉が乾いたと感じるのは、体重の1%の水分が抜けている状態、つまり脱水しているサインです。
脱水することで、汗を抑え、体温調整ができず、代謝も落ちてしまいます。
なので、こまめな水分補給を意識しておきましょう。
走る時間帯はいつがいい?
ちなみに、ランニングを行なう時間帯はいつがいいのかと考える方も多いと思います。
この答えは、脂肪燃焼を狙うのであれば、朝。血圧などカラダへの負担を抑える、成長ホルモンを増強させたいという場合は、夕方。となります。
朝に運動することは、脂肪からのエネルギー供給が多くなり、脂肪燃焼を高めることができます。
運動後24時間のエネルギー利用も朝のほうが夕食後の運動よりも高いともいわれています。
しかし、朝にあまり激しい運動を行なうとアドレナリンやノルアドレナリンが過剰になるというデータもあります。
心拍数や血圧が上がることで心臓への負担も大きくなりますので、中高年の世代は朝よりも夕方のほうが負担が少なくオススメといえるかもしれません。
いずれにしても、消費を考えるのであれば、1日のエネルギー消費が摂取エネルギーを超えることで効果が出るということを忘れてはいけません。
それには、1日の食事管理も重要になります。
いかがでしょうか。
ランニングは、手軽に始められるものですが、時間や摂取するものとタイミングを意識することで、トレーニング効果を最大限に生かすことができます。
ランニングで得られる効果は、脂肪燃焼、エネルギー消費もありますが、心地よく走ることでストレスのケアにもなり、頭の整理整頓ができます。
そんな心地よく走るためにも、摂取するものとタイミングを今日からぜひ意識してみてくださいね。
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