「一人称視点のシューティングゲームをプレーすると海馬が縮む」との研究結果が、Geek.comに掲載されました。海馬は、脳の中でも記憶の管理や空間の把握に関わる領域です。けれども、『Call of Duty』をプレーするのが、そんなに脳に悪いのでしょうか?
この研究は、ゲーム愛好者ではない人を被験者として集め、ゲームが脳の組織に与える影響を4年間にわたって調べたものです。その結果、被験者のうち『Call of Duty』や『Grand Theft Auto V』などのアクションゲームをプレーした人たちは、海馬の灰白質(神経細胞の細胞体が集まる部位)が縮小したことがわかりました。
灰白質が目減りするのは、比較的年齢が上の人にとっては、気がかりな状況です。「望ましいのは、海馬が充実した状態にあり、灰白質が多く、新たな接続を作る能力を備えていることです」と、この研究に参加していない臨床心理学者のGreg Fonzo氏は解説します。とはいえFonzo氏によると、たとえ『Counter-Strike』をプレーしていても、きちんと対策さえしておけば心配する必要はないとのことです。しかも、今回の研究によれば、別のタイプのビデオゲームが、こうしたマイナスの作用を打ち消してくれる可能性もあるそう。
「これはトレードオフの関係です。というのも、(アクションゲームをプレーする人は)そのほかの分野で脳の機能が向上しているからです」とFonzo氏は指摘します。この場合、海馬が縮む一方で、尾状核の灰白質は逆に増えることが判明しました。尾状核は、脳の中で習慣の定着に関わる領域です。
研究チームは、このように海馬が縮小する理由について、こう考えています。こうしたアクションゲームでは、ゴールへのルートは比較的単純で、地図もオーバーレイ表示されるため、海馬が持つ空間認識能力を使う必要がないためではないかというのです。また、こうしたゲームでは、決まったルートをたどり、既知の脅威に即座に対応するといった習慣的な行動がプラスに働きます。さらに、プレーヤーのストレスを増やすような設定になっているので、これも灰白質の縮小につながるというのが、Fonzo氏と研究チームの一致した意見です。
一方で、『スーパーマリオ』シリーズのような3Dプラットフォームゲームをプレーした被験者では、逆に海馬の灰白質が増えることがわかりました。ですから、『Borderlands 2』が好きという人であっても、ほかの種類のゲームもプレーしていれば、灰白質の目減りを気にしなくても大丈夫そうです。今回の研究を行なったチームも、「海馬と尾状核という2つの記憶システムをバランス良く使うのが理想です」とアドバイスしています。ですから、アクションゲームばかりをプレーするのではなく、脳のほかの部分も使っていれば問題ないといえるでしょう。
確かに、1日中ビデオゲームをプレーするのは避けるべきでしょう。そんなことを続けていたら、幼いころ父親に言われたように、脳(の少なくとも一部)がダメになってしまうかもしれません。
ただし、ダメージは永久的なものではなく、適切なタイトルを選べば、ゲームをすることで灰白質を増やすことも可能です。そのためには、敵の兵士を待ち伏せして狙撃するようなゲームよりも、新しい世界に足を踏み入れ、課題を解決することを促すようなゲームを選ぶのが肝心です。
Image: Przemek Tokar/Shutterstock.com
Source: Geek.com, San Francisco Center for Integrative Anxiety Solutions
Patrick Lucas Austin - Lifehacker US[原文]