Inc.:どんな仕事にも退屈なことはあります。たとえすごい肩書を持っていても、エキサイティングな業界でも、それは紛れもない事実です。では、マネジャーとして、退屈な仕事に対する部下のモチベーションを高めるにはどうしたらいいのでしょうか。
そんなときは、科学の力を借りましょう。Science of USで、カリフォルニア大学バークレー校のStefano DellaVigna氏とシカゴ大学のDevin Pope氏が、楽しくて便利な最新研究を紹介しています。
2人の経済学者は、Amazon Turkの社員1万人を対象に、考えうる限りでもっとも退屈かつ無意味な仕事をさせました。キーボードの「a」と「b」を交互に10分間押し続けるという、拷問のような内容です。
果たして、この苦行のような作業へのやる気を高める方法は存在するのでしょうか? 2人は、競争、チャリティ、金銭的報酬など、18のインセンティブで試しました。その結果、次のような結論が得られたそうです。
1. シンプルにお願いする
人は、シンプルにお願いされると、それを受け入れて最善を尽くすようです。
これは少し不思議な結果です。見知らぬ人にがんばれと言われて、なぜモチベーションが高まるのでしょうか?
でも、実験の結果、がんばれと勇気づけられただけで、実際にパフォーマンスは向上していたのです。
もちろん、その効果は金銭的報酬に比べるとわずかです。でも、リアルワールドの上司にとって、これほど簡単な方法はありません。つまらないタスクであることを認めつつも、努力を促すだけで、いくばくかの効果が得られるのですから。
2. 競争よりチャリティが効果的
友好的な競争を導入したところ、パフォーマンスが向上しました。「終了後、ほかの人の結果と比較します」や「多くの参加者が2000回以上を記録しています」といった言葉をかけるだけで、ただやらせるよりもキーボードを叩くスピードが向上したのです。
さらに効果が高かったのが、パフォーマンスとチャリティを関連付ける方法でした。ただし、この方法を取り入れる場合、数字はそれほど重要でないことを覚えておいてください。100回ごとに1セントを赤十字に寄付すると伝えた場合と10セントの場合で、パフォーマンスに差がなかったのです。もちろん、チャリティならケチっていいという意味ではなく、作業者は数値自体の影響をあまり受けないという意味です。
3. 金銭的報酬は大きな塊で
1回1セントと100回1ドルでは実質的な金額に差はありませんが、実験では大きな差があったそうです。
大きな塊の報酬は、小刻みなものに比べて認知的インパクトがあります。
これを参考に、お金のニンジンをぶら下げるのであれば、プログラムの組み方に気をつけましょう。特定のターゲットに対し、大きな金額を提供するようにしてください。
Science: Here's How You Motivate People to Do Really Boring Tasks | Inc.
Image: Hurst Photo/Shutterstock
Source: Science of US