死亡したアメリカンフットボール選手の脳を研究しているボストン大学の研究者らが、「アスリートと慢性的な神経疾患の潜在的関連性」に関する新しい研究結果を発表しました。それは、実に恐ろしい内容でした。

調査対象となった米ナショナル・フットボールリーグ(NFL)の選手111人のうち、慢性外傷性脳症(CTE)と診断されなかったのは、たったの1人しかいませんでした。Brain Injury Research Instituteによると、一般的にボクシングと関連付けられることが多いCTEは、頭に繰り返し衝撃を受けることで発生する進行性の変性疾患だということです。

今回ニュースになったのはアメリカンフットボールですが、ボストン大学の研究者らは、脳震とうを起こす選手が多いサッカーについても心配をしています。

アメリカンフットボールに比べると身体接触が少ないとはいえ、サッカー選手たちは頻繁にボールをヘディングします。ボストン大学の研究者Ann McKee氏はWiredに対して、「問題は衝撃の強さではなく反復性にある」と語っています。

チームや運営組織も、早期に引退した選手や訴訟の関連から、この問題に関心を示しています。2015年、米国サッカー連盟はユース選手のための新しい規制とガイドラインを設定しました。これは、米国サッカー連盟に対する集団提訴の結果です。この規制には、10歳以下の子どものヘディング禁止、11歳から13歳までの子どものヘディング回数の制限が含まれています。

医学研究者らによると、CTEの判定は死後の脳検査でのみ可能だということです。ですので、こうした研究はいかなるスポーツにおいても困難なものとなっています。今回のボストン大学の研究は、これまで発表されたうちで最大規模のCTE事例集となりますが、研究者らは、さらに広範囲かつ長期の研究が必要だと考えています。そこには、CTEのバイオマーカーを見つける研究も含まれます。

バイオマーカー指標がわかれば、選手が早期の引退を判断するための助けとなるはずです。ニューヨーク州のアルバート・アインシュタイン医科大学の神経科医Michael Lipton氏もそうした指標を探している研究者の1人。同氏は アインシュタイン・サッカー研究( Einstein Soccer Study)と銘打つ研究のなかで、ケガがアマチュア選手の脳にどんな影響を与えるかについて、血液検査やMRI、頭脳ゲームを通じて解明しようとしています。


With New Proof That Football Damages Your Brain, Researchers are Now Concerned About Soccer, Too|Lifehacker US

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Source: The JAMA Network,Brain Injury Research Institute,Wired,Wikipedia, Albert Einstein College of Medicine