Inc.: 時間管理には大きく分けて2つのアプローチがあります。うまくいくものとダメなものです。うまくいくのは、「大事なことを最初にする」というアプローチです。うまくいかないのは、「ToDoリストにあるものを全部やる」というアプローチです。
「重要なことを最初にやる」というアプローチは、スティーブン・コヴィー(Stephen Covey)やトニー・ロビンズ(Tony Robbins)に代表される多くの成功哲学者がさまざまなバリエーションを加えた形で推奨しています。たとえば、コヴィー氏は爆発的なベストセラーとなった『7つの習慣(The 7 Habits of Highly Successful People)』の中で、やるべきことを以下の4つに分類しています。
- 重要で緊急
- 重要だが緊急でない
- 重要でないが緊急
- 重要でも緊急でもない
コヴィー氏のシステムでは、効率的に時間を管理する人は上記の順位に正確に従って作業を行い、3.と4.に分類される「重要性のないこと」はたとえ緊急性があってもしないという前提です。これで、時間が上手に管理できます。
ロビンズ氏のRPM時間管理術は、それにひねりきかせて、「重要だが緊急でない」ことを優先して作業します。通常そういった作業は時間をかけると見返りが一番大きいからです。しかし、コヴィー氏同様、ロビンズ氏も重要でない作業は無視することを奨励しています。
コヴィー方式もロビンズ方式も、自分の時間の使い方を他人に決めさせるのではなくて、自分でコントロールできます。
一方、「ToDoリストにあることを全部する」というアプローチを取ると、リスト上の作業がどのような順番で発生しようと、他人にとって重要なことに基づいて自分の時間割を作らざるを得ません。これでは、自分で自分の時間をコントロールするというより、他人の優先事項に振り回されることになります。
時間管理術の「専門家」で、「ToDoリストにあることを全部する」というアプロ―チを推奨する人は、重要なことを掌握するよりも、いかに早くToDoリストの作業を全部片付けるかという考え方を広めています。
そして、そこから、この愚かしい「Inboxゼロ」方式が派生しているのです。「Inboxゼロ」方式のことをご存じない読者のために説明すると、メールのInboxに入ってくるメールを、行動する、他人に委託する、削除するのどれかを実行することで、1日の終わりにInboxに残っているメールが必ずゼロになることを目指そうというコンセプトです。
言い換えれば、「Inboxゼロ」は、あなたの貴重な時間と精神的エネルギーをメールの送信者の好きにさせるということです。その見返りとして、Inboxに1つもメッセージを残していないという満足感に30秒だけ浸れるというわけです。
いったい誰がメールにそこまで時間とエネルギーを注ぐというのでしょうか? メールに対する最も効率的な姿勢は、受信する大量のメールの中から、重要なものを選び取り、残りは無視することです。
何年もあれこれ実践してみた結果、私はロビンズ方式に帰結しました。重要でないことには微塵も精神的なエネルギーを使わないことにしています。今は、未読のメールが私のiPhoneのInboxに8,560通、OutlookのInboxに22,239通残っています。
自分の貴重な時間は重要なことに使っていて、「Inboxの完璧なあり方」のような変に強迫神経症的なスタンダードを満たそうとしていないからです。
定期的にInboxに目を通して対処が必要なものをピックアップしていますが、もちろん、1つ1つのメッセージにどう対処するかを考えて時間を無駄にはしません。必要なときは検索機能を使って、送信者や題名ですべてのメールを検索します。
別の言い方をすれば、私はメールを「流入してくる情報の流れ」として扱っているのです。ちょうど、Twitterで入ってくる情報の中から必要なものを選択しているみたいなものです。
もちろん、これより良いアプローチは他にもあると思いますが、私は少なくともInboxの奴隷になるつもりはありません。電子的ペーパーワークに時間を使うのは、あまりにももったいないからです。
Why "Inbox Zero" Is a Stupid Time Management Approach | Inc.com
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