
今年の花粉症はひどいと思いませんか? ここ数週間、私はくしゃみが止まらずにいます。それに、少なくとも私が住んでいるニューヨークでは、知り合いの半数が目をこすり、寝る前に鼻洗浄を余儀なくされています。
これは、今年の花粉の飛散がひどいせいなのでしょうか? それとも私個人の問題?
そこで、ニューヨーク大学でアレルギー・免疫学を研究するSujan Patel准教授にお話を伺いました。彼によると、今年の花粉は確かにひどいそうで、その対策もお聞きしました。
結論:今年は花粉が多い
今年は本当にひどいです。アレルギーシーズンが年々悪化する理由に、地球温暖化と温室効果ガスの蓄積が挙げられます。二酸化炭素は植物の繁殖力を強化します。植物が繁殖するほど、早い時期から花粉を飛ばすようになります。暖冬で雨が多かったうえに、春の気温が異常に高くなっているため、植物が成長しやすくなっています。これらすべての要因が、私たちに悲劇をもたらしてるのです。
では、どうしたら症状を緩和できるのでしょうか? Patel先生に、防御策を教えてもらいましょう。
1. 自分のアレルゲンを知る
何よりも、自分のアレルゲンを知っておいたほうがいいでしょう。イエダニやゴキブリが春のアレルギーを悪化させている場合もあります。
まずはアレルギー専門家に相談するのがよさそうです。
2. 窓を閉める
春なので外の風を感じたいですよね。でも、窓は閉めたほうがいいようです。特に夜は。
木々が花粉を落とすのは夜明けです。それが家に入ってこないよう、エアコンやフィルター付きの換気扇を使うことをお勧めします。
3. 寝る前にシャワーを
髪を洗うのも重要だそうです。
そうすることで、枕が花粉だらけになって一晩中顔になすりつけなければならない状況を防げます。
4. 服薬は2カ月前から
アレルギー薬はすべて、症状が現れる前から使いはじめ、シーズンを通して使うのがベストです。3月か4月ごろからはオンラインの花粉情報をチェックし、悲劇が起こる前に薬を使いはじめましょう。
花々が咲き誇る時期は最悪です。
5. 飲むべき薬は?
まずは、最新の抗ヒスタミン薬をお勧めします。
ベナドリルなど、眠くなる旧式の薬はお勧めしていないようです。新しい抗ヒスタミン薬の中でも、米国で一般的に入手できるものは4つあります。セチリジン(ジルテック)、レボセチリジン(ザイザル)、フェキソフェナジン(アレグラ)、ロラタジン(クラリチン)です。また、鼻づまりを伴う場合は、名称のあとにDが付いたものを使うといいそうです。
一部、フロネーズ、ナサコート、リノコートなどの錠剤や鼻用ステロイドが必要になる人もいます。
6. 目をこすらない
代わりに冷やしましょう。こするとヒスタミンが放出され、より多くの花粉が組織に取り込まれてしまいます。
7. エアコンフィルターは年に2回交換
空気清浄機やそのほかの類似品は、何の役にも立たないのでお勧めしていません。エアコンのフィルターを交換するだけで十分です。
8. 花粉対策用メガネ
このところ、朝のランニング中は、涙があふれる目をこすりながら走るというひどい状態です。そこで、花粉対策用のメガネについて先生に聞いたところ、運が良ければ効果があるそうです。
見た目はちょっと変ですが、花粉対策用のメガネをかければ目に花粉が入りません。ケトチフェンなど、アレルギー用の目薬も効果的です。
9. 注射
季節性アレルギーの唯一の治療法は、減感作療法です。アレルギー症状が永遠に消えるようになるまで、実に3から5年間、注射を打ち続けなければなりません。ただ、はじめて2カ月から6カ月でも、症状の改善は見られるようになるでしょう。
これから人類はどうなるのでしょう? 数百年後には、くしゃみのせいで絶滅してしまうのでしょうか? それとも、事態は改善していくのでしょうか? Patel先生はこう答えてくれました。
正直なところ、事態が改善するとは思えません。多くの環境規制が失敗する中、むしろ悪化していくのではないでしょうか。
大気汚染の影響もあるそうです。
汚染された都市部には、「スーパーアレルゲン」が存在します。ディーゼル排気微粒子などが、アレルゲンをさらに強力にしているのです。つまり、同量の花粉でも、ニューヨーク市とオマハ市では影響力が異なります。大都市に住む人には悲しいニュースですが。
Leigh Anderson(原文/訳:堀込泰三)
Illustration by Angelica Alzona.