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Inc.: 最近では、キャリアチェンジは当たり前のことになっています。米国労働統計局のデータによると、ベビーブーマー世代は40歳までに約11回転職を経験するそうです。
これは何も会社員に限ったことではありません。ギグ・エコノミーの発展に伴い、自営業を選ぶ人も増えています。つまり、転職とひと口に言っても、ビジネスそのものの転換を意味することもあるのです。
他にも、転職の理由はたくさんあります。単に、「何か新しいことがしたい!」という気分で転職することもあるでしょう。
私自身も経験したので知っていますが、そのような気分になると、たくさんの感情が沸き起こります。圧倒されることもあります。「何かを変えたい。劇的に変えたい。でも、どこから始めていいかわからない」という状況や「変えようとは思うけれど、何を残して何を手放すべきか決めかねる」という事態にもなるでしょう。まだ動き始めてもいないのに、それらの感情がストレスになってしまいます。
キャリアチェンジの秘訣
そこで、キャリアチェンジの秘訣をお教えしましょう。それは、すでに持っている経験をうまく利用して、ピボット(方向転換)することです。ゼロから再スタートする必要はありません。すでにあるスキルを新しい用途に使うことで、きっと満足のいく転職ができるでしょう。それまでに長い間かけて築いてきた経験を、生かすことができるのですから。
私自身、それをしました。監査役として何年か働いたのち、何か新しいことをしたくなりました。母親が起業家だったので、娘の私は彼女の経営を常に身近で見ていました。そしていつか、苦しんでいる小規模ビジネスの経営者を助けたいと思うようになっていました。はっきりとした理由までは覚えてません。何かの偶然だったのかもしれません。
ついに独立を決めたとき、経理代行をすることにしました。それがやりたいことのすべてではなかったものの、会計のバックグラウンドを活かせるので、始めるにはもってこいだと思ったのです。初期の頃は、見込み顧客からビジネスの数値に関する質問をよく受けたものです。そんな経験から、データ入力だけでなく分析も求められていることを知りました。監査の経験が生かせると思った私は、お客様の数値を見るだけでなく、新たな収益の機会を見つけたり、問題解決のお手伝いをしたりするようになりました。やがて、経理代行だけでなく、コンサルティングに軸足を置くようになりました。
スキルを活かすには
私と同じように、あなたの持つスキルを使ってピボットするにはどうしたらいいのでしょうか?
一歩引いて、自分の得意なことや専門分野を書き出してみましょう。個人的な趣味や情熱に応じて、エキサイティングだと思える業界を選びましょう。たとえばロックが大好きで、会計をしていた経験があるなら、会計スキルを活かして音楽会社に就職したり、バンドのマネージャーになったり、音楽学校を経営したりといったアイデアが浮かびます。
自分のスキルと関心のある分野をうまく結び付けられないのであれば、副業として何かを始めてみるのもいいかもしれません。あるいは、本当に何から始めていいかわからなければ、キャリアチェンジではなく、子どものころに好きだったことに挑戦してみては? 音楽のレッスンを受けてみたり、得意だった楽器を再開してみたり。
大事なのは、麻痺状態に陥らないこと。新しい方向に進むには、片足を前に踏み出さなければなりません。私の場合、1つのビジネスを立ち上げ、その後も足を踏み出し続けました。おかげで自分のクリエイティビティ、スキル、情熱の素晴らしい組み合わせを実現するビジネスモデルに到達できたのです。考えすぎずに飛び込んでみることで、あなたにも同じことが起こるかもしれません。
How to Change Your Job (or Even Career) Without Starting Over | Inc.
Amy Vetter(訳:堀込泰三)