キャリアを変えることは、いろいろな意味で怖いものです。しかし、現在のキャリアに多くの投資をしているという理由で、キャリアチェンジを嫌がる人たちもいます。これは「職業投資トラップ(Job Investment Trap)」と呼ばれるもので、この罠に陥らないように気をつけなければなりません。
職業投資トラップは、サンクコスト(埋没費用)の誤りの一形態です。サンクコストの誤りとは、何かに対して投資をしたあと、その結果が不愉快なものになったとしても、これまで投じたものを無駄にしたくないために、手を引くのを躊躇してしまう心理のことです。また、もう一度最初からやり直すことを考えると、さらに億劫になるものです。
キャリアに関して言うと、若者ほどこのトラップにかかりやすい傾向があります。20歳の若者は、50歳の人に比べて、2年間のトレーニングをはるかに長いと感じるからです。The School of Lifeは次のように説明しています。
このことが、多くの人、とくに若者たちが、誤って再訓練に背を向けてしまう理由を説明している。現在行っている投資を評価する場合は、直近の経験ではなく、将来の全体像をしっかりと見据えた上で行う必要がある。
もちろん、これは、言うは易く行うは難しです。また、キャリアチェンジを躊躇させる別の要因もあります。そう、お金です。とはいえ、あなたがこれまで投資してきた時間が"無駄になる"ことを心配しているなら、職業投資トラップにハマっていないか、よく考えてみてください。
あなたがこれまでに獲得してきたスキルや経験は、必ずしも無駄にはなりません。工具のマニュアルを書く仕事を辞めたとしても、テクニカルライターとして身につけたスキルは、新しいキャリアでも活かせるし、仕事以外の分野でも役に立ちます。
Why You Still Have Time to Switch Careers|The School of Life
Kristin Wong(原文/訳:伊藤貴之)