Inc.:「大きくなったら何になりたい?」
5歳のころであれば、楽しい質問だったでしょう。「消防士!」「動物のお医者さん!」「海賊!」と、無邪気に叫んでいれば周囲の大人たちが応援してくれたものです。
でも、ある程度大きくなると、同じ質問をされても想像力より不安が勝ってしまう人は多いのではないでしょうか。それは、高校の学力テストがふがいない結果で帰ってきた人たち、大学の専攻を絞らなければならないのに決めかねている人たち、人生の答えが見つからず「情熱を見つける方法」が書かれたブログを読みあさっている人たちです。
「人生って、1つだけのことをしなければならないのだろうか。それって退屈じゃないのかな。どうやって1つを選べばいいんだろう。私って優柔不断? やる気なし? 怠け者?」
そう思ってしまうあなた。自分のやりたいことがわからなくても、罪悪感を感じる必要はありません。ぜひ、キャリアコーチEmilie WapnickさんのTEDxBendトークをご覧ください。そう、あなたは間違っていません。あなたはただ、人生のなかでさまざまなことに興味を持ち、複数の仕事に従事する「マルチ・ポテンシャライト」なだけなのです。
注意散漫ではなくスーパーヒーロー
「マルチ・ポテンシャライト」。初めて聞く言葉かもしれませんが、ポイントは古くから言われている「ルネッサンス・マン(ウーマン)」「博識者」「ジェネラリスト」と同じです。1つのキャリアパスに情熱を傾けられなければ人間失格と感じてしまう人が多くいますが、それよりも、その個性を強みとして祝福すべきなのです。
Wapnickさんは、次から次へと興味が移る傾向のある人には、3つの「スーパーパワー」があると主張しています。それらは、これからの時代に非常に大切なものなのです。
アイデアの統合
(マルチ・ポテンシャライトは)複数の分野を組み合わせ、その交差点で新しいものを生み出すことに長けています。イノベーションは、その交差点で起こるのです。
迅速な学習力
何かに取り組んで上手になったなら、その過程には学習がともないます。
私たち(マルチ・ポテンシャライト)は、初心者であることに慣れています。なぜから、過去に何度も初心者だった経験があるからです。そのため、新しいことに挑戦し、コンフォートゾーンを飛び出すことに対する恐怖心がありません。さらに重要なことは、多くのスキルが分野を越えて応用可能なのです。
適応力
経済の変化は非常に速く、予測不能です。そのため、市場のニーズに合わせて方向転換できる個人や組織こそが、これから生き残って行けるでしょう。
1つのことにエネルギーを集中できないのは、決して悪いことではないのです。ぜひ動画をご覧になってください。Wapnickさんは、このようにトークを終えています。
たとえ後でやめることになったとしても、関心事の追求が時間の無駄になることはほとんどありません。想像すらしていなかった形で、その知識を他の分野に生かすことができるでしょう。
Why It's Totally OK If You Still Don't Know What Your Passion Is | Inc.
Jessica Stillman(訳:堀込泰三)
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