こんにちは。家計再生コンサルタントの横山光昭です。
みなさんは生命保険に関心はありますか? 若い世代の人、健康に自信のある人は、気にしたことがないかもしれません。一方、生命保険に入りたいという人は、自分に万が一のことがあった時に、支えきれないかもしれないさまざまな責任をカバーしたいと、真剣に考えているしっかりした人ではないでしょうか。
生命保険の仕組みを理解することは、いざというときの準備にもつながるので、知って損はないはずです。そこで、生命保険の基礎知識と、加入している人が改めて考えるべきポイントをご紹介します。

マイエフピー代表取締役、家計再生コンサルタント、ファイナンシャルプランナー。お金の使い方そのものを改善する独自のプログラムで、これまで1万人以上の赤字家計を再生。書籍・雑誌の執筆や講演も多く手掛け、「はじめての人のための3000円投資生活」は40万部を超え、著書累計は205万部。公式サイト
生命保険の種類を知っていますか?
そもそも生命保険とはどんなものでしょうか? 生命保険というと「死亡したときの保障」と捉える人が多くいますが、基本的には、「物」を対象とした保険が"損害保険"であり、「人」に関わる保障を"生命保険"として括ります。死亡保障のほかに、生きているときのリスクをヘッジする医療保障、老後資金や子どもの教育費などに備える貯蓄性という役割があります。つまり、生命保険は「死亡」「医療」「貯蓄」という大きく分けて3つの機能があることをまず把握してください。
しかし、この3つの機能は全部必要でしょうか? 必要な人もいるかもしれませんが、多くの場合、そうではないはずです。大切なのはあなたにとって、どのような保障が必要なのかを理解して、優先順位を考えることです。その順番は「医療」「死亡」「貯蓄」の順番です。
そもそも論ですが、保険は基本的に損な賭けのようなものです。せっかく加入しても、病気にならなければ「入らなくてよかった」と思ってしまうからです。ですが、健康に自信のある人は生命保険に入るなというわけではありません。自分にとって何が必要で、自分の力だけではカバーできないところを見極めて生命保険と付き合ってほしいということです。
どのような保険を選べばいいのか?
基本的に、老後資金など預貯金など貯金があれば生命保険は不要かもしれません。ご存じのとおり、日本には高額療養費制度があります。健康保険が適応される医療費であれば、どんなに高額であっても自己負担の上限を超える金額が補てんされます。ただし、健康保険適用外の場合はこの制度が使えません。ですから、自由診療など健康保険適用外の治療が多いと言われている「がん(悪性新生物)・急性心筋梗塞・脳卒中」の三大疾病を保障する生命保険は考えておくべきでしょう。
また、独身であれば、医療保障だけでいいかもしれません。なぜなら、もし亡くなっても経済的に困る妻や子どもがいないため、死亡保障は基本的に必要性が低いでわけです。
死亡保障は、結婚して子どもが生まれた時に検討しましょう。貯金ではなかなかカバーができない遺族の生活を保障するためには、収入保障という定期保険をアレンジしたような保険商品もおすすめです。
貯蓄性の保険は、以前から加入している商品などがあれば、非常に有利な保険商品かもしれません。しかし、貯蓄性のある生命保険をはじめることで、ほかの貯める手立てに制限がかかるのでは、本末転倒になりかねません。投資なども含めて柔軟に老後に向けた準備をする手立てを優先するようにしてください。
家計の負担になっている生命保険は、よい商品とは言えない
どんなに良い生命保険でも、その商品の掛金が家計に負担になるのなら、いい商品とは言えません。では、家計における保険料の割合はどのくらいが良いのでしょうか。
独身なら3%(医療保障のみ)、子どもがいるご夫婦なら5%(医療保障、死亡保障)が1つの目安です。これをメドに、収入に占める割合をチェックしてみてください。
たとえば、独身で手取り収入が22万円の人は、6600円を超えない範囲が目安。超えていたら備えすぎかもしれません。ちなみに、30歳(男性)の入院保障は、ある商品で試算をすると日額5000円の保障で掛け金は月々2000円前後。がん保険を試算すると月々2500円ほどなので、両方に加入しても月々4500円くらいです。
子どもがいるご夫婦であれば、そこに死亡保障を加えます。収入保障の商品で考えると、毎月15万円の保険金が出て、60歳までカバーする内容であれば、30歳の夫の場合の掛け金は月々5000円程度です。
基本的な目安としては、これで良いのではないかと考えています。
では、どのように見直していくべきか? 生命保険の見直しは、早めに行っておきましょう。本音を言うと40代がラストチャンスなのです。高齢に近づいてから慌てて入ろうと思っても、保険料が高い場合もあり、そもそも体調が芳しくないとか、検診で引っかかってしまった、病気になってしまうと、加入すること自体が難しくなり、また、そうなってからでは遅すぎるのです。
最後にお願いです。すぐに生命保険に加入しなくても構いません。検討するだけは、今後の自分のためにしておきましょう。うまく生命保険と向き合っていってください。
(横山光昭)
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