まわりの人を気にしたり、張り合ったりする必要はないとわかっていると思います。それは、その人たちの習慣を非難するという欠点もあるからです。個人金融の専門家Carl Richardsは、他人のお金の使い方、貯め方、稼ぎ方を憶測すると、自分のお金に関する決断に悪い影響があると説明しています。経済学者であり、消費者研究者でもあるJames Duesenberryは、これを相対所得仮説と呼んでいます。私たちは、お金の使い方や貯め方に関する決断や態度に対して、他人を参考にする傾向があります。Richardsはこのように説明しています。

Duesenberry氏によると、お金をたくさん使う人は、満足しにくくなっているので、貯金が少ない傾向にあると言います。また、かつて裕福だった家族のお陰で、高い規準で満足していた人は、ずっと出費を減らせない性質になると言っています。

少し考えてみてください。私たちは、お金をどのように使うかを、自分の収入をまわりの人と比べてどう思うか、また過去にどのようにお金を使ってきたかを規準に決めているのです。しかし、近所の人が確定申告の内容でも教えてくれない限り、私たちはその人の本当の収入を知る由もありません。個人的なお金に関する決断を、まったくの思い込みや嘘の情報を元に決めている可能性があります。

何年もの間、私は友人がお金を貯めていると思って、自分も老後の貯蓄をしてきました。友人がまったく貯金がないと思い込んでからは、それまでやってきたほどは貯蓄をしなくなりました。自分の目標をガイドラインにするのではなく、友人の貯蓄に関する思い込みを参考にしていたのです。Richardsはそれをこのように言っています。

人間は、まわりの人の外見を基に予想したり、思い込んだりした仮説を自分に言い聞かせる癖があるだけでなく、その仮説を自分のお金の使い方の参考にもしています。

お金に関する多くの問題と同じように、その癖に本人がまったく気づいていない可能性があります。このことに気づくだけでも、大いに役に立ちますが、Richardsはほかにもいくつか避けるべきことを提案していますので、すべてを知りたい人は以下のリンク先を読んでみてください。

Ignore the Fiction -- Stop Spending Based on Stories | Behavior Gap

Kristin Wong(原文/訳:的野裕子)

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