MakeUseOf:自分のお金を管理するのが怖いこともあります。自分の代わりに、誰かに投資の管理をして欲しいと思うこともありますが、ロボットに自分のお金の管理を任せられるでしょうか?
自動投資アプリは、投資やマーケットの基本を知らなくても、投資を簡単にしてくれます。アプリが銀行口座から自動的にお金を使うので、貯金の心配をしなくて済むだけでなく、投資の管理もしてくれます。
誰かに管理してもらうのは良さそうだと思うかもしれませんが、自動アプリであれ人間であれ、どのようにお金を使うのかわからないのであれば、誰かに投資を託すのはあまり良い考えとは言えません。アプリがどのように投資の決断をするのか、誰がアルゴリズムをデザインしたのか、そして安全なのかは確認した方がいいです。今回はその疑問をひとつずつ解明していきましょう。
「ロボアドバイザー」とは何か?
「ロボアドバイザー(Roboadvisor)」という言葉に馴染みがない人もいるでしょう。これは、自動で投資をするロボットやシステムに使われている名前のひとつです。投資に関する辞書的サイト「Investopedia」では、ロボアドバイザーは以下のように定義されています。
自動かつアルゴリズムベースで、人間のファイナンシャルプランナーを使わずに、ポートフォリオ管理のアドバイスをする、オンラインの資産管理サービス。
つまり、ロボアドバイザーはアルゴリズムなので、あなたの目標や好み、マーケットの条件、それに一番大事な資産の金額などの情報を入力し、アルゴリズムがうまくいくと予測する投資をします。このシステムを使っている測定基準やソフトは、人間のアドバイザーとほぼ同じですが、人間の関与はほとんどありません。
「Clink」や「Acorns」や「Betterment」などが、投資をしてくれるロボアドバイザーの良い例です。投資をする時に、どこから始めればいいのかわからないような人には本当に役に立ちます。また、思い切って投資を始める準備ができていない人も、ロボアドバイザーを使って始めるのはとてもいいです。
ロボアドバイザーはどのように機能するのか?
全体的な流れが少し怪しいと思っている人は、ロボアドバイザーの使い方が気になっているのだと思います。基本的には、お金を口座に入れ、投資によってどのくらいリターンがあったかというレポートを受け取ります。しかし、その間には何が起こっているのでしょう? アルゴリズムは大事ですが、それがどのように機能しているのでしょう?
先ほど上げた3つのアプリはすべて、お金の投資先をガイドする「現代ポートフォリオ理論」を使っています。ここでは、現代ポートフォリオ理論がどのようなものなのかをすべて説明しませんが、基本的な考え方としては、リスクのレベルを予め考慮して、ポートフォリオのリターンを最適化するのが目的です。どんな資産リスクもリターンも、ポートフォリオ全体のリスクやリターンの一部として解釈されます。
現代ポートフォリオ理論を考案した経済学者ハリー・マーコウィッツは、ノーベル経済学賞を受賞しているので、投資の方法としてはかなり信頼できると思います。
したがって、現代ポートフォリオ理論を使ったロボアドバイザーは、どの程度のリスクは引き受けられるかを聞いてきます。大抵は、数ある選択肢のひとつとして提示されます。例えば、前述のアプリAcornsは、「堅実」「少し堅実」「普通」「少し積極的」「積極的」の中から選ばせます。それぞれのリスクレベルによって、資産の配分が異なります。Acornsの積極的なポートフォリオは、不動産株の割合が高く、国債の割合はかなり低いです。堅実なポートフォリオは、この2つの割合が逆です。
どのアプリも、投資ではとても人気がある投資信託が中心です。株式と投資信託の間を取るというとてもシンプルな考え方で、常に最高値を目指すようなことは求めていません。投資に関する本などを読めば、とても安全な投資として安価な投資信託を勧めていることが多いのがわかります。
アプリによって投資信託のソースは異なりますが、どれも長年に渡って良い成果を上げている、バンガード・ファンドをかなり信頼しています。
ロボアドバイザーは安全か?
自動で投資するロボアドバイザーに登録する時は、あなたの銀行口座からお金を引き出して投資できるように、銀行の信任証明を渡さなければなりません。これで神経質になる人がいます。特にここ5年ほどで、かなりの数のハッキングが行われているので、神経質になるのも当然でしょう。
ClinkとAcornsはどちらも、銀行のログイン情報は保管していないと、サイトではっきりと言っていることを知れば、かなり気分は楽になるはずです。個人情報は認証や銀行口座へのリンクに必要な時だけ使用するので、サービスがハックされても、銀行のログイン情報は安全です。ClinkのFAQにはこのように書いてあります。
Clinkは銀行のログイン情報をサービス上で保持していますか?
いいえ、Clinkは個人の銀行口座の詳細情報を保持していません。銀行の新任証明は、その口座があなたのものだと確認する認証時に一度だけ使われます。すべてのクレジットカード情報は、投資顧問のための統一資産管理技術とサービスを提供する「ENVESTNET」に保管してあります。
どのアプリも、銀行レベルのセキュリティを使用していることを強調しています。もちろん、まったく破られないセキュリティというのはありませんが、一番安全とされるセキュリティ技術が使われています。銀行は、セキュリティに投資をしなければ、自分たちのビジネスが危うくなることがわかっています。ロボアドバイザーも同じです。
一番良いロボアドバイザーはどれ?
自動投資アプリや、オンラインで使えるロボアドバイザーのサービスの多くは、現代ポートフォリオ理論を使っているので、どれが自分にとってベストかを見極めるには、他の要因も見ていかなければなりません。例えば、料金も違いのひとつです。取引に対する手数料が多いところもあれば、月額が定額のところもあれば、他のサービスがやっていないサービスに料金を課すところもあります。できるだけコストがかからないところを選びたいでしょう。
人によっては欲しいと思う特別な機能があるアプリもあります。例えば、何に投資をするかの割合を設定してくれたり、投資をする割合を変えたりするのを自動的にやってくれるアプリもあります。他にもたくさんの機能があるので、自分が気に入った機能があれば、実行可能な意思決定ができるようになります。
一方で、取引したい投資信託が具体的にある場合は、その条件に合ったサービスを選ぶこともできます。どのアプリやサービスも取引できる投資信託の一覧があるので、自分が取引したいものがあるなら、それが選べるサービスを見つけましょう。自分で投資したいものを選べるだけの知識があるなら、完全に自分で投資先を選んだり、昔ながらの投資会社のように自分で連絡を取るようにしたいかもしれません。
大きなロボアドバイザーの中には、かなりの額の初期投資を求められるものもあります。例えば「MarketRiders」は、少なくとも25,000ドル(約250万円)の投資資金が必要です。アプリだけのサービスにはこのようなものはありませんが、あらゆる機能が満たされているサービスを探している場合は、覚えておいた方がいいでしょう。
ロボアドバイザーで目標を達成できるのか?
自動の投資アルゴリズムの利点のひとつは、最小限のリスクで最大限のリターンが得られることです。老後の資金、大学の学費のための蓄え、家を買うときの頭金、何かあった時のための貯蓄などが欲しい場合は、ロボアドバイザーが役に立つでしょう。しかし、投資というのは個人資産の一部に過ぎません。ロボアドバイザーが投資以外の部分を助けてくれるわけではありません。
例えば、老後の資金を貯めたい場合は、投資をするだけでなく、仕事を退職してからどれくらいのお金があれば暮らしていけるのかも計算しなければなりません。家を買いたいなら、住宅ローンの支払いをしながら、どのような生活スタイルを維持したいかを考えなければなりません。
ロボアドバイザーはアドバイスをすることはできますが、あなたの状況に個別に合わせているわけではありません。情報収集に別のリソースを使ったり、ファイナンシャルプランナーに相談したりする必要もあるでしょう。ロボアドバイザーは目標を達成する手助けはしますが、そのためには他にも必要なものがあります。
ロボアドバイザーに関する疑問
以上のロボアドバイザーに関する5つの疑問を解明していく中で、自動投資アプリやサービスがどのようなものなのか、どういう人に向いているのか、自分の要求を満たしてくれるのか、などがわかったと思います。自分の資産に関して決断する時は、情報は多いに越したことはありません。
Robots Can Manage Your Investments: What You Need to Know |MakeUseOf
Dann Albright(訳:的野裕子)
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