Inc.:時間の流れは水曜日から金曜日まで遅く感じ、週末にかけて閃光のごとく過ぎ去っていきます。そして月曜日にオフィスへ戻ってあたかも休みがなかったかのように感じるのです。
どうして週休2日では十分に休息できたと感じることができないのでしょうか? その原因の1つは既存の勤務週ではよく40時間を上回って働いてしまうことにあります。2014年の調査によれば、米国のフルタイム労働者の平均労働時間は週47時間だそうです。39%の人は毎週50時間を超える労働に従事しています。
こうした長時間労働が積み重なることで労働者は疲れ、生産性は落ちていきます。今こそ雇用者は労働力となってくれる社員に休息を与えるときです。そして、そのもっとも良い方法の1つが週4日勤務に切り替えることなのです。
木曜日を「新しい金曜日」にするべき理由を以下まとめてみました。
優秀な人材を惹き付ける要素に
多くの会社が優秀な人材を集めるために優秀な人により多くの特典を与える動きを見せています。2016年に出された「Society for Human Resource Management Employee benefits」の報告によれば33%の組織が過去1年間で社員に与える特典の数を増やしたそうです。
しかしこれには裏があります。無料のスナックやペット保険などの特典は魅力的ですが、休暇を多くするという特典よりかは魅力が劣ります。より良いワークライフバランスを実現させてくれる仕事は労働者にとってこれほどない魅力なのです。
2016年に「Jobvite」が出した研究によれば、41%の優秀な人材は「ワークライフバランスこそが職探しにおいてもっとも重要な基準だ」と考えています。それに加え、2015年に「FlexJobs」が出した研究によれば30%の労働者は「よりフレキシブルな仕事スケジュールを得るためなら給料が10〜20%カットされても構わない」と回答しています。週4日勤務にすることで、会社はより優秀な人材を惹きつけることができるのです。
仕事の量より質が大切
多くのケースで見られるのが、たくさん仕事をしたからと言って必ずしもそれが質の良い仕事だとは限らないことです。徹夜したことがある人なら知っていると思いますが、時間が遅くなればなるほどどこかのタイミングでシンプルなタスクさえ2倍の時間がかかってしまいます。つまり、社員が長くオフィスに残っているからといって必ずしも質の良い仕事をしているわけではないのです。
そして、社員は燃え尽きてしまいます。2016年に「Staples Business Advantage」が出した調査結果では働く大人の半分が働き過ぎだと感じているそうです。エネルギーを回復する十分な時間がなければ社員は健康と生産性を保付ことができません。
そしてもっと悪いことには、社員が家に帰っても仕事のストレスから解放されないことです。2016年に 「CareerBuilder」が出した調査結果によれば44%の労働者は仕事のことを考えてしまって眠りにつけないそうです。そのネガティブな感情は翌日の仕事にも悪影響を及ぼします。この悪いサイクルから抜け出せなくなってしまうのです。61%の社員が疲労によって仕事のパフォーマンスが落ちると述べています。
週4日勤務にすることで、誰もが休息してリラックスする機会を得ることができ、健康体でオフィスにまた戻ってくることができます。短時間で社員がどれだけ良いパフォーマンスを見せるかきっと驚くことでしょう。
利益の向上にもつながる
ここまで読んで、「社員の労働時間を減らしたら会社の儲けが減るだろう!」とあざ笑う前に、覚えておいてほしいことがあります。それは労働時間が減ることでより利益が生み出せるということです。もし信じられないのであればTreehouseのファウンダーであるRyan Carson氏を参照してみましょう。彼の会社は年間1,000万ドルを売り上げ、120%の収益成長率を記録しています。意外かもしれませんが、彼の会社は週4日勤務制度を取り入れているのです。
勤務日数を減らすことはほかの出費も抑えることができます。ハーバード大学とスタンフォード大学が出した研究によれば、仕事場で起きるストレスによる医療コストはアメリカで年間約1,250億ドル〜1,900億ドルかかっているのだそうです。これは特に雇用者にとって大問題です。社員に高額な医療コストがかかれば、カスタマーサービスの質が悪くなってクライアントを失い、また人件費に高額な出費を出すことになります。
週4日勤務という選択
理論的に週4日制度が効果的だと分かったところで、難しいのが実際にどうやってそれを実施するかです。すべてのやり方がすべての組織のすべての社員にとって可能な働き方とは限りません。たとえば、カスタマーサービス課の労働者を全員金曜休みにしてしまえば金曜に対応できるスタッフがいなくなってしまいます。
いくつかの会社は妥協点として1日10時間労働の週4日制度を取り入れています。社員は月曜か金曜のどちらかを休みに選ぶことができるのでいつも誰かがオフィスにいる状態をキープできます。このモデルは多くの会社で通用しますが、それでも事前の計画と見通しは必要です。
「Reusser」という会社は会社の営業時間自体を変える道を選択しました。2013年から会社の勤務時間を6:30AM〜5:00PMに切り替えたのです。この方法に切り替えてから会社が見出した最大の利益は集中力の増加です。社員はより長くプロジェクトに集中することができ、生産する仕事の質をより高めることができたのです。
もう1つのオプションは隔週ごとに社員が休みを取ることです。1週間はまるごと週5日で働いて、翌週は週4日で働くというやり方です。これは社員が仕事を頑張るモチベーションになると同時に隔週ごとにしっかりとした休みをとれる良い方法です。
週4日勤務の週を1年間で部分的にのみ与えるのもアリでしょう。Basecampという会社は夏の間働く時間を週32時間に短縮しています。そうすることで社員は夏をもっと楽します。
週4日制度を取り入れるのは簡単ではありません。しかし、それを取り入れることで得られるメリットに目を向けてみるとどうでしょう? より簡単に優秀な人材を確保でき、社員は幸せでより生産的になり、会社の利益も高まるのです。試さない理由はないでしょう。
すべての会社に週4日勤務が最適な選択というわけではありませんが、しかし実施が完全に不可能なご褒美というわけでもありません。社員により多く外で過ごす時間を与えることで、ワークライフバランスを向上させ、生産性を高めて優秀な人材を惹き付けることができるのです。
Why We Should Have a 4-Day Workweek (Many Already Doing It) | Inc.
Iliya Pozin(訳:wasabi)
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