Inc.:読書をすると教養が身についたり、優れたリーダーになれたりすることは、今さら驚くことではありませんね。そして、最新科学情報に注目している人はご存じかもしれませんが、読書には、共感力を高める、孤独感、うつ症状、認知症を防ぐ、といった意外な効果もあることがわかっています。
ところが、もっと本を読んだほうがよい理由は、どうもそれだけではないらしいのです。習慣的に読書をすることのさらなる利点が、新しい研究で発見されました。それは、読書が長生きにつながるようだという、とびきりのメリットなのです。
読むほど長生き
科学ジャーナル『Social Science & Medicine』の9月号に掲載され、『the Guardian』誌で取り上げられたこの研究論文は、50歳以上の人3,500人を対象に調査した結果ということです。イェール大学の研究チームが、対象者を12年間追跡した結果、週に3時間半以上読書をする人は、まったく読まない人より、死亡率が23%低いと結論づけられたのです。読書はするが週に3時間半未満という人は、死亡リスクの低下が17%でした。
これを別の切り口で表現すると、本に夢中になる人は、2年ほど長生きできることなります。「本を読む人の集団と、まったく読まない人の集団を、生存率が80%の時点(20%の人が死亡するのがいつか)で比較した結果、読まない人の20%が死亡するのは調査開始後85カ月(7.08年)だったのに対し、読む人の20%が死亡するのは108カ月(9.00年)後でした」と研究者らは書いています。
雑誌より本が効果的
研究者たちが、新聞でも雑誌でもオンラインメディアでもなく、本を読む時間を調べたこと、またその違いが、このたび発見された読書の効果の重要ポイントであることは、注目すべき点です。「新聞や雑誌よりも、本を読むほうが、効果が高いことが判明しました。それはおそらく、本のほうが、読者をより夢中にさせるため、認知機能への効果がより高くなり、その結果寿命が延びるのでしょう」と、イェール大学公衆衛生大学院のAvni Bavishiof氏は述べています。つまり、ざっと読むよりも、深くじっくり読むほうがよいということです。
では読書にどのくらいの時間を費やし、どんなジャンルの本を選べばよいのでしょうか? もっと読むべきというのはわかりましたが、研究者たちは、効果を得るための目安として1日30分程度を勧めています。どんな本を読むべきかについては、研究者らはまだ、紙の本ということ以外にくわしいアドバイスはできないようですが、これについては必ず将来の研究対象になるだろうと言っています。
彼らがその追加研究に取り組む一方、オバマ大統領から、書籍評論家、TED講演者、ここInc.comのスタンフォードのMBA取得者にいたるまで、あらゆる人たちがこぞって読書を勧めています。今こそ読書を始める時です!
Yet Another Reason You Should Read More: You'll Live Longer|Inc.com
Jessica Stillman(訳:和田美樹)
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