Inc.:自分の口から出る言葉には注意しましょう。自分が使う言葉が、世界をどのように感じるか、他人があなたのことをどのように感じるかに影響します。もちろん、相手の受け取り方次第というのは避けられません。
「認知のゆがみ」や「認知バイアス」という言葉は聞いたことがあるでしょうか。これらは心理学用語で、事実ではないことをそうだと思い込む、少しゆがんだ考え方です。このような間違った考え方によって、ネガティブな思考や感情が強化され、よりネガティブになります。
意識的にせよ、無意識にせよ、誰もがこのようなことをやっていますが、そのせいで自分自身や友だち、恋人、同僚などに対する潜在的な考え方が方向付けられ、それがすぐに周りの世界にも影響します。
また、このために問題が起こることもあります。自分でもそのようなことをやっているのか気になる人は、この10の認知のゆがみをチェックして、客観的に見てくれる信頼できる仲間に思い切って聞いてみましょう。
よくある「認知のゆがみ」トップ10
1. すべてか無か思考
物事を「白か、黒か」「正しいか、間違っているか」で見ており、中間がありません。基本的に「完璧でなければ失敗だ」と考えています。
【例】
「企画書を仕上げられなかったから、時間の無駄だった」
「100パーセント完璧な状態じゃなかったから、資金集めのためのゴルフトーナメントでプレイするのは意味がない」
「その屋台が店を出していなかった。まったく信用できない店だ!」
2. 一般化のし過ぎ
たった1度の出来事や経験に対して、「いつも」「絶対に」というような言葉を使います。
【例】
「自分は絶対昇進できない」
「彼女はいつもあんなことをする」
3. 過小評価と拡大解釈
実際よりも、劇的に少なく、もしくは大きく重要なこととして物事をとらえ、それが大惨事を生むことがよくあります。頭の中でこのような独り言を言っています。
【例】
「上司が人前で彼女に感謝していたということは、彼女が昇進するんだ。私じゃなくて(私が素晴らしい評価をもらったり、社内の賞を獲っていたとしても)」
「メールするのを忘れてた! もう上司は私のことを信用してくれない。これから昇進することもないし、そうなれば妻にも嫌われてしまう」
4. すべき思考
「すべき」「しなければ」「する必要がある」「する義務がある」というような言葉を使って、やる気を出そうとする傾向がある人は、うまくいかなかったり、やらなかった時に罪悪感を感じます。もしくは、他の人がやらなかった時に怒ったり恨んだりします。心の中でこのようなことを思っています。
【例】
「先週末に契約すべきだったのに」
「彼らはこのプロジェクトで、私の気持ちをもっと考えるべきだ。私が怒るのがわかっているはずなのに」
5. レッテル貼り
たった1度のことで、自分や他人にネガティブなレッテルを貼ります。
【例】
「同僚のために立ち上がらなかった、私は意気地なしだ!」
「それが来るのもわからなかったなんて、彼は馬鹿だ!」
6. 結論の飛躍(心の読み過ぎ、もしくは先読みの見誤り)
証拠や事実をもとにした根拠もなしに、将来についてネガティブな予測をします。
【例】
「この旅行に行ったら、家賃が払えなくなってしまう(たっぷりと貯金があるにも関わらず)」
「誰も理解してくれない。私は戻って話すことはもうないだろう(協力的なコミュニティのパートナーがいるにも関わらず)」
7. マイナス思考
ポジティブなことを認めません。誰かが、あなたの行動や性格や達成をポジティブに認めてくれても、それはカウントしません。
【例】
「そんなのは意味がない。誰にでもできることだ」
「1日40本吸っていたタバコが10本に減ったところで、完全にやめられなかったんだから意味がない」
8. 個人化
自分には個人的にまったく関係ないことで自分を責めたり、逆に他人を責めたり、そのような状況での自分の役割を否定したりします。
【例】
「私がもっと若かったら、その仕事に就けたはずなのに」
「私があんなことを言わなければ、彼らはそんなことしなかったはず...」
「彼が私に怒鳴ったりしなければ、私は怒ってやり返したりしなかったのに」
9. 感情的決めつけ
自分がそう感じているのだから、それが事実だと考えます。それが正しいかどうかを深く考えることもなく、自分の感情が事実だと思い込んでいます。
【例】
「自分は馬鹿みたいだ(そうに違いない)」
「自分が悪いような気がする(何か間違ったことをやってしまったに違いない)」
「恋人に怒鳴ったのは本当に申し訳なかった。自分は自己中心的で浅はかな人間だ」
10. 心のフィルター
たった1つのネガティブなことや事実をクヨクヨと考え、楽しかったこと、幸せ、希望などを台なしにします。
【例】
友だちとレストランで素晴らしい夕食を食べたけれど、自分のチキンが生焼けだったので、その夜はすべて台なしになった。
10 Things Emotionally Intelligent People Refuse to Think|Inc.
Marcel Schwantes(訳:的野裕子)
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