Inc.:ほとんどの会社は、あなたが酔っ払って出社してきたら、上司は躊躇なく何らかの処分をするでしょう。もしかしたら、解雇されることがあるかもしれません。しかし、その原因が飲酒ではなく睡眠不足だったらどうでしょう。科学的には、上司は社員の睡眠不足をもっと深刻に受け止めるべきだと言われています。
飲酒と睡眠不足は似たような状態になる
睡眠不足がどのような影響を及ぼすのかを長年調査してきたところ、複数の研究で驚くべき結果が出ました。たとえば、2000年のWilliamsonとFeyerの研究では、17〜19時間ずっと起きているだけで、反応速度が最大で50%減少し、ほろ酔い期と言われる血中アルコール濃度0.05%の状態よりもパフォーマンスが落ちることがわかりました。徹夜をしたり、24時間睡眠を取らない状況では、パフォーマンスは血中アルコール濃度0.10%と同じ状態になります。毎晩少なくとも数時間寝ていれば大丈夫だろうと思うかもしれませんが、科学的には慢性的な睡眠不足の影響は蓄積し、同じような結果になると言っています。
自分がおかしな状態にあることがわかっていない
アルコールと同じように、睡眠不足は前頭葉皮質にも影響します。この領域は、脳の中で理論的思考と決断に関連しています。睡眠が十分でないと、判断力が弱まり、間違った選択をしやすくなります。それと同時に、自分の認識や行動に問題があることに気づきません。つまり、同僚や上司にもうタクシーで帰ったほうがいいと言われたら、恐ろしく親切にしてくれているということです。
社員が疲れる根本的な原因
長年にわたって、研究では生産性が下がると証明されているにも関わらず、アメリカの雇用者も被雇用者も、仕事を多くこなすのに大事なことは、長時間がんばって働くことだと信じている傾向にあります。このような考え方があまりにも蔓延しているので、自分がどれだけ疲れているのかを認めるのを恐れたり、仕事がうまくできないほど疲れていると他の人に思われるのを恐れたりする人がいます
休息を取ることに問題意識を持つ
アメリカのビジネスの世界では、睡眠不足は当たり前のようになってしまっています。しかし、睡眠不足は重大な危険があり、生産性でいえばアルコール中毒と同じような状態です。このような現在の常識を変えるには、上司に別のシフトよりも休息の方がはるかに必要なのだと訴えなければなりません。
Science Says This Work Problem is Just Like Being Intoxicated|Inc.
Tom Popomaronis(訳:的野裕子)
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