ギズモード・ジャパンより転載:エリアの平均値なんです。

「明日の降水確率は50%」って言われたら、じゃあ明日は降るか降らないか、半々なんだなと思われているでしょうか? 準備の良い人なら、傘を持って出かけることにするでしょう。その結果やっぱり雨が降らないこともあるだろうし、その場合ちょっと損した気分になるかもしれません。

米GizmodoのMatt Hardigree記者によると、「50%」の意味はそんなに単純じゃないようです。あ、でも、「降水確率が高いと雨の量も増える」とか、そういうことでもありません。降水確率に関してあまり意識されていない要素は、地域です。米国立気象局(NWS)の定義では「降水確率とは、一定地域の中でどこか1カ所にでも雨が降る可能性」を表現しているんです。

NWSのFAQには、こんな計算が書かれています(強調部分は原文通り)。

降水確率=C x A (C=対象地域のどこかで雨が降る確信度。A=もし雨が降った場合に、測定可能な降水量があるだろう地域の割合)

気象予報士はいろいろなモデルやデータを元に、対象地域のどこかしらで雨が降りそうな確率と、地域の中でどれだけの範囲で雨が降りそうかを計算します。たとえば、米テキサス州ヒューストン周辺地域のある日の予報を見てみましょう。

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image by NWS Houston

この画像は降水確率でなく予想雨量を表わしたものですが(まぎらわしくてすみません)、ともあれ予想される数値の違いによって色分けされているのがわかります。降水確率もこのように、ひとつの区域の中で50%のところもあれば、10%のところもあると考えてみてください。

この地図はなかなか広い範囲で、左下のPalaciosから右上のCrockettまでは300km以上あります。東京から名古屋くらいの感じです。これだけ広いと、上のほうの3分の1は降水確率100%で、下のほうは0%みたいなことも普通にあります。そしてその場合、地域全体の降水確率は30%ということになります。

その計算方法も、NWSのサイトで説明されています。

雨が降ることの確信度が50%であり、もし雨が降った場合に測定可能な雨が降る範囲が全体の80%だと判断すれば、降水確率は40%となる。(降水確率=0.5 x 0.8=0.4、または40%)

なので、「降水確率50%」と毎日言っているのに全然降らない!という場合、気象予報士の腕が悪いわけじゃないんです。その場合たぶん、同じ地域内の反対側では、ちゃんと雨が降っているはずです。もちろん、必ずとは言えませんが。

ちなみに上記は米国での降水確率の定義ですが、気象庁によると日本の降水確率も地域全体の平均値を出しているそうです。なので上に書いたのと同じように、「50%って言ってたのに...」ってことが起こるわけです。

たしかに同じ東京23区でも、江戸川区と練馬区とか、足立区と大田区とかじゃだいぶ離れてて、実際けっこうお天気が違ってたりしますよね。

source: National Weather Service

Matt Hardigree - Gizmodo US[原文

(miho)