10年前の私の履歴書を見たら、1枚の中にバラバラの経歴が書き散らしてあるように見えると思います。いろいろな仕事をやってきたので、「経験豊かな専門家」というより「1つの仕事が長続きしない」ように見えるでしょう。
私は、小売店でも働いたし、プライベートパーティーのバーでも働いたし、事務所の管理をしたり、フィットネスセンターで子ども向けのパーティーの企画をしたりもしました。まだ学生でしたから、このような多種多様な経験をするのは良かったし、落ち着いて仕事をする時がきたら、自ずと淘汰されていくとわかっていました。
博士課程の5年半は飛ばすとして、私の経験は驚くほど一貫性がありません。先生、家庭教師、司書アシスタント、販売マネージャーなど、かなり広範囲でバラバラです。一貫性のない仕事の経歴を充実したキャリアに変えようとしましたが、履歴書の上ではどの仕事も意味がないように思えて行き詰まりました。
数年前の私のような状況にあって、どれも関連性はないけれどたくさんの素晴らしいスキルを持っている人がいたら、気持ちはよくわかります。就職活動でバラバラの経歴を非難されてパニックに陥る前に、肩書や会社名では自分が本当に達成したことは明確に伝わらない、ということを覚えておいてください。
いろいろな言い方があると思いますが、雇用主というのは基本的にあなたが「その仕事に就いた時にできること」「その仕事に就いた時にやりたいこと」「会社のためにその仕事をやりたいと思っていること」の3つを求めています。この基本的なニーズを満たすような履歴書を書き、自分のストーリーを語れるかは、あなた次第です。
1. 履歴書の形式を変える
履歴書の最初に、経歴を羅列していく"客観的な項目"を設けなければいけないわけではありません。もちろん、一般的にはそうするものですが、応募している仕事にふさわしい能力や特定のスキルを目立たせるために、"適正の項目"を設けてもいいのです。こうすることで、自分のストーリーを語り、その仕事に合ったさまざまな経験をしたと考えていると、人事担当者に伝えることができます。
これは、時系列ではなく、適正や能力をもとにした履歴書を作成する方法でもあります。雇用者によって好みが分かれるところなので何とも言えませんが、その仕事になんとかありつくためにも、履歴書の本来の目的を忘れずに、最善を尽くしましょう。
どんな形式の履歴書であれ、自分がその仕事に適任である理由を間違いなく強調できるものにしましょう。職務経歴は、簡潔に、一定量を、その仕事に合わせて書いた箇条書きにすれば大丈夫です。
2. つながりを強調する
ほとんどの仕事の経験にはいくらか共通点があります。大学時代、私は幅広いさまざまなクラスを受講しました。毎学期、驚くほどそれぞれのクラスが互いにつながり始め、まったく関係がないと思っていたものでもつながることにいつも驚きました。
人間の脳がつなげたいと思っているのでしょう。ライフガード、営業マン、ソーシャルメディアのインターン、それに心理学専攻というのは、一見なんのつながりもないように思えますが、人が何を考え、どのように行動し、それに対して最善のものをいかに提供するか、ということに焦点を当てると、どれもつながっています。仕事についてもじっくりと幅広く考えてみましょう。どれも顧客サービスに関連しているのではないか? 分析や批判的思考が要るものではないか? 新しいテクノロジーや問題解決の手法を使うのでは?
何も浮かばなかった場合は、友だちにそのような視点で考えてみてもらいましょう。長い間、何度も履歴書を見ている時は特に、自分のやってきた幅広い仕事経験につながりを見つけるのが難しいことがあります。客観的に履歴書を読んでくれる人に見てもらうと、それぞれの仕事の関連性が見つかるような新しい見方をしてくれたり、うまくいけばはっきりとした関連性を見つけられるかもしれません。
3. 重要ではない経歴は載せない
これまでにやった仕事をすべて履歴書に書かなければいけないわけではありません。ほとんどの人にとって、経歴すべてが求人の仕事に合わなくても、履歴書に載せるものを戦略的に選ぶことはできます。たとえば、クライアントと接する仕事に応募するのであれば、小売店やレストランの接客仕事を目立たせ、夏休みにアルバイトでやっていた事務職の仕事は載せないようにします。数字とにらめっこをするマーケティングの仕事がしたいなら、心理学教授のアシスタントの仕事は間違いなく載せた方がいいですが、短期でコピーライターとして働いたことは載せなくてもいいかもしれません。
このやり方をしていると、履歴書の経歴に無職の期間ができてしまうのを心配する人もいます。そう思って当然だと思いますが、その期間が1〜2ヶ月であれば気にするほどのことではありません。無職に見える期間が1年以上になるのであれば、説明をする必要があります。それでも、経歴が多岐にわたり、関係のない仕事は履歴書に載せたくない場合は、空白期間を「学生」とするのではなく、学んだスキルを継続的に活かせる仕事を探していましたと言えばいいです。
「Muse」のライターElizabeth Altermanは「履歴書の空白期間の説明の仕方」という記事の中でこのように言っています。
主婦でも、寄付金集めの慈善イベントの主催でも、世界中をトレッキングしていたとしても、説得力のあるコミュニケーション能力やオーガナイズのプロになること、未知の状況に対応することなど、その中から大事なスキルを見つけ出すことは多分できます。
空白期間にやっていたことの中に、今後も使える能力がないか探してみましょう。
4. 自分のストーリーを伝える練習をする
自分の個々の経歴が互いにどのようにつながっているか、それが社会人としていかに自分を成長させてくれたかを知るのが、とても難しいことがあります。しかし、それでも自分のやってきたことと、これからやりたいことについて、説得力のあるストーリーを語らなければなりません。
自分に合う仕事を見つけようとしたから、多種多様な仕事をしてきたのかもしれません。それが自分には合っていない仕事だったとしても、何かしらのスキルを身につけることができたという意味では、どの仕事にも感謝しているのではないでしょうか。そして、なぜ今その仕事が、これまでの仕事と違って自分に合っていると思うのかを伝えなければなりません。
過去の経験がどのようにこの仕事につながっているのか? これまでやってきた仕事の上に、どのように経験を積み重ねていくつもりなのか? 人事担当者が空白期間にこだわって、それに対する質問をしないようにするのが目的です。就職面接では、過去の仕事に関してネガティブな印象を与えないことが大事なので、この仕事に就くべくしてここにいるということを強調しつつ、その価値を伝えるようにしてみてください。
これまでの経歴と、それが結果的に今応募しているこの仕事に結びついているということを、戦略的に説明することができれば、あなたのストーリーは価値あるものとなります。どこでどのように習得したとしても、スキルはスキルです。自分のやってきたことや過去の経歴、それらがどのようにつながっているのか、どうやって今の自分をつくっているのか振り返って考えることができるようになると、選択肢が驚くほど開けてきました。それぞれの仕事から、人を助けること、知的なチャレンジをすることを学び、自分の仕事がこの世に何かしらの影響を与えていることを感じられるようになりました。これが今、私が正に感じていることです。偏っているかもしれませんが、最近は私の一本道ではない経歴のストーリーがいい感じに受け取られていると思います。
How to Tell a Compelling Career Story When You've Done a Little Bit of Everything | The Muse
Erica Foss(原文/訳:的野裕子)
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