みなさんの中には、トマトソースやワインソース、チリなど酸性の食材は、鋳鉄(ちゅうてつ)のフライパンで調理すると鉄が食材に溶け出して苦くなるため、避けたほうが良いということを、どこかで聞いたことがあるかもしれません。サイト「America's Test Kitchen」は、この理論が本当かどうか確かめるために、テストを実施しました。結論から言えば、鋳鉄のフライパンで酸性の食材を調理しても問題はなかったそうです。まず、長時間鋳鉄のフライパンで酸性の食材を調理すると、鉄から出る分子が食材に溶け出すのは本当です。しかしうれしいことに、これは体にはまったく害がなく、味もしないのだそうです。America's Test Kitchenによると、かなり長い時間調理しない限り、味の変化はまったく気がつかないレベルだと言います。これを確かめるため、強い酸性のトマトソースを中火で鋳鉄のフライパンで熱し、15分ごとに味への影響をチェックしました。

最終的に、テスターたちは30分間煮続けたトマトソースからのみ鉄の味を確認することができました。鋳鉄のフライパンで酸性の具材を調理しても問題はないですが、味の変化を避けるために気をつけなければいけないこともあります。まず1つめに、フライパンにはしっかり油をひきましょう。油をしっかりひくことで、ある程度鉄の溶解を防げます。まんべんなく油がひかれたフライパンであれば、酸性のソースも少しの間は無事に調理できます。また、調理後はすぐに酸性の食材をフライパンから出すことも忘れずに。余った酸性の食材は、温まったフライパンに長時間残しておかず、密封できる容器に移し替えましょう(このルールはエナメル加工されている鋳鉄のフライパンには適用されません。エナメル加工がされていればいくらでも酸性の食材を置いておけます)。

上記のことをふまえると、気をつけるべきポイントは調理時間とフライパンにソースを残しておく時間です。テストで使用したものよりも酸が弱いトマトソースを使えば、もっと長時間温めても味の変化はないし、フライパンにも影響はないでしょう。伝統的に鋳鉄のフライパンを用いて料理するシャクシューカのような料理を作りたいときにはもってこいです。

America's Test Kitchenは、そのほかにも鋳鉄に関して言われている"噂"を検証しました。ネタバレになってしまいますが、たとえば錆びた鋳鉄はもう使い物にならないという噂は嘘です。時間はかかりますが、元に戻す方法があるのだとか。また、鋳鉄のフライパンは熱を均等に通すから素晴らしいという古くからの評判も、事実とは限らないそう。実は、鋳鉄は熱を非均等に通してしまうため、手早く料理したい場合はオーブンでの余熱が必須なのだと言います。意外と知らなかった鋳鉄に関する事実、もっと知りたい方は以下のリンクからチェックしてみてくださいね。

6 Stubborn Cast Iron Myths Debunked|America's Test Kitchen

Alan Henry (原文/訳:wasabi)