多くの親は、子どもが悪いことをすると罰を与えます。でも、Yale Parenting Centerのディレクターのアラン・カズディン氏によると、でも、おしおきとして別室に短時間、隔離するなどの比較的おだやかな罰も、効き目がないそうです。
カズディン氏によると、それよりも、
- 困った行動が起こる前に、日ごろからやっておくこと
- 困った行動への対処法
- 最後の締め方
の3つに着目して対処したほうが、子どもの行動を変えられるそうです。
ポイントは、やめてほしい行動を子どもがとったときに、罰を与えるかわりに、思わず応じたくなる、良いことをしたくなるような場面を作ってしまうこと。具体的には2つの方法があります。
1つは、子どもに選択肢を与えること。おもちゃで遊び続けているなら「おもちゃを今片づける? それとも夕食のあとに片づける?」と聞いてみましょう。人は選択肢を与えられると、それに応じたくなるものです。選択肢の内容というより、選べるようにするのが大事です。
もう1つは、カズディン氏が考えた「かんしゃくごっこ」というゲームを日ごろからおこなっておき、良い行動を習慣化する方法です。それは、こんな方法です。
子どもがかんしゃくを起こしていないときに「これからゲームを始めましょう。今からママが、本当はできることを『やってはいけない』と言うよ。そしたら、かんしゃくを起こすふりをしてね。でも、そのとき、いつもみたいにママをたたいたり、床に転がってわめいたりしないでね。それができたら2ポイントとれることにするよ」と子どもに伝えます。
その後、たとえば「では、始めます。あなたは今夜、テレビをみてはいけない」と伝えてみます。子どもはかんしゃくのふりをしますが、そのときに子どもがママをたたいたり、床に転がったりしなかったら大げさなくらいにほめて、ポイントをあげましょう。
このゲームを数日間続けると、本当にかんしゃくを起こしたときも、今までよりはひどくなくなっているはずです。そうしたら「ゲームではないのに、すごいじゃない!1」と大いにほめます。
これを続けると、1~2週間程度で悪い行動が少しずつ収まり、良い行動が習慣化します。
このアプローチの基本は親が、
- その行動を変えるために、その行動が起こる前に何をしておくか
- ゲームや選択肢を与える、といった方法を繰り返すことができるか
- できたときに、必ずほめて、良い行動を習慣にできるか
にかかっています。罰を与えても、子どもの行動は変わりません。
口やかましく注意するよりも、良い点をほめるほうが、子どものモチベーションはあがります。ライフハッカーの過去記事でも、そのことを取り上げています。
カズディン氏の話によると、Yale Parenting Centerには、たたいたり、ものを壊したりするような深刻なかんしゃくを持つ子どもも訪れるそうですが、ゲームなどを通じてかんしゃくを良くしていく練習をするうちに、2~3週間で改善していくそうです。
この方法は親も相当がんばらないとできません。でも、子どもをどなってばかりいるよりも、良い方法に思えますよね。より詳しく知りたい方は、下記リンクのネタもとの記事(英語)を読んでみてください。
No Spanking, No Time-Out, No Problems|The Atlantic
Melanie Pinola(原文/訳:曽我美穂)
Photo by PIXTA.