Inc.:スマートフォンの普及により、周囲に誰もいなくても孤独を感じることはなくなりました。1人の時間を見つけると、まずFacebookやメールをチェックしようと思う人が多いのではないでしょうか。

1人で何もしない時間を過ごすことに抵抗を感じるのは無理もありません。科学的にも、多くの人が孤独を居心地悪く感じることが証明されています。たとえば、大半の人(女性の4分の1、男性の3分の2)が、1人で15分間ただ座っているよりも、痛みを伴う電気ショックを好んだという実験結果は衝撃的です。

では、そんな苦痛を伴う孤独の時間を、あえて選ぶ理由などあるのでしょうか。これについて、ライターのベル・ベス・クーパーさんが、「Quartz」に興味深い記事を書いていました。アーネスト・ヘミングウェイ(作家)やステファン・ウォズニアック(Apple共同創設者)などのイノベーターを例に、彼らがいかに孤独を仕事の中心に据えていたかを紹介した後、孤独の時間が必要なのはアーティストや発明家だけではないと主張しています。

誰しも孤独が必要な理由

クーパーさんは、4つの科学的根拠を引き合いに、平均的な人でも孤独を大切にすべきだと述べています。

1つ目は、能力を高めるには1人の時間が必要というもの。練習は1人で行うことが多く、十分な練習をしなれば、自分の能力をどこまで伸ばせるかはわかりません。

2つ目、孤独は自意識から離れる時間です。他人からどう思われるかを意識したり、様々な中断に重要な思考を邪魔されたりすることがありせん。つまり、心のリソースを浪費しなくて済むのです。

第3に、一般的な考えに反して、「ブレインストーミングは1人でやるほうが効果的なことが多い」という実験結果があるそうです。

そして、何よりも深いのが第4の主張。彼女は、自己変革の手段として孤独を使うことを勧めています。自分はいったい何者なのかという疑問に答えるには、他者からのインプットや期待に思考を惑わされることなく、じっくりと考える時間が必要です。

孤独は白昼夢を促し、自らの人生を振り返る機会になります。つまり、心理学者のクリストファー・ロングとジェイムズ・アヴェリルが論文「Solitude: An Exploration of Benefits of Being Alone」(孤独:1人でいることのメリットの考察)で述べているように、孤独は自己変革に関係するのです。

では、1人上手になるには?

孤独への欲求は、人それぞれに大きく異なります。内向的な人(筆者もそうです)は、他人との交流が一切なくても、幸せな日々を送れるでしょう。しかし、前述の実験では、15分の間に190回も電気ショックを自らに与えた男性がいたそうです。彼はきっと、筆者とは対極に位置するのでしょう。

では、クーパーさんの話を聞いて、自分ももう少し孤独の時間を作ろうと思った人はどうしたらいいでしょうか。彼女の処方箋はとっても単刀直入。「練習すること」です。自然の中で過ごす時間を持つことで、何に邪魔されることもなく自分の脳に向き合えるそうです(自然は心の健康にも好影響を与えます)。

また、ビジネスにおけるソリューションを探しているなら、Intelを真似てはいかがでしょう。

同社は2007年、オフィスクワイエットタイムを試験導入しました。300人のエンジニアとマネジャーを対象に、火曜日の朝の4時間は、中断の入らないクワイエットタイムと決めたのです。クワイエットタイム中は、メールや電話が禁じられました。実験は大好評で、被験者の大多数が、このアプローチを全社に導入することを勧めたそうです。

How Getting More Alone Time Will Significantly Improve Your Life | Inc.

Jessica Stillman(訳:堀込泰三)

Photo by Per Gosche/Flickr (CC BY 2.0).