Googleは先ごろ、Androidの次期バージョン「Android N」の開発者向けプレビュー版を公開しました。Android Nには数々の新機能が導入されており、たとえば、長らく待ち望まれていたビッグな新機能――スマートフォンとタブレットでのマルチウィンドウ対応も実現しました。ここでは、3月9日(現地時間)に発表された新機能のハイライトを紹介します。

複数のアプリを並べて使えるマルチウィンドウ機能

まちがいなく目玉となる新機能は、同じ画面に複数のアプリを並べられるマルチウィンドウ機能でしょう。Android Nでは、複数のアプリを並べて起動し、使えるようになります。現時点では、Googleはまだ、どんな風に機能するのかを具体的に説明していませんが、インターフェースを見るかぎりでは、Microsoftが「Windows 8.1」から導入した「スナップ表示」に似ています。アプリを画面の片側に寄せて表示することができ、アプリは与えられたスペースの大きさに応じてインターフェースを調整します。タブレットの場合、画面は左右に分割されますが、スマートフォンでは上下に分割されます。ただしスマホでも、回転させて横向きのランドスケープモードにすると、上の画像のように左右分割になります。

現状では、Googleの説明によれば、開発者の側でそれぞれのアプリについて、この機能を有効にする必要があるそうです。つまり、マルチウィンドウ機能は、対応していると明記してしているアプリか、アップデートによって対応したアプリでしか使えないものと考えられます。でも逆に言えば、アプリ開発者の裁量で、デフォルト設定がマルチウィンドウインターフェースでの起動にしたり、アプリのどの部分を表示するかを制御できるように選んだりできるということでもあります。Androidでは、アプリは1つまたは複数の「アクティビティ」で構成されているので、マルチウィンドウで使う際にはアプリのこの部分を表示させたい、とユーザーが選択できる(たとえば、複数のToDoリストを作れるアプリで、どれか特定のリストだけを表示するとか、ブラウザの1つのタブだけを表示するとか)ように設計することも不可能ではないでしょう。とはいえ、これは現段階では憶測にすぎません。

アプリを閉じても動画を再生しておけるピクチャー・イン・ピクチャー機能

ほかに、Googleが特に名前を挙げている新しい機能の1つに、「ピクチャー・イン・ピクチャー」モードがあります。スマートフォンやタブレットで、YouTubeアプリのマルチタスク動画再生機能を使ったことのある方なら、どういうものか大体想像がつくでしょう。Android Nでは、動画再生などのアクティビティを、ほかの画面の上に重ねて表示する、という選択ができます。映画を観ている最中にメールをチェックしなくてはならなくなる場合だってありますものね。それから、「Mohu Channels」などのAndroidベースのテレビデバイスを使っているとき(あるいは動画をテレビにキャスティングしているとき)なら、動画を最小化してチャンネルガイドに戻ったり、動画を観ながら、次に再生したいほかの動画を選んだりすることができるというわけです。

Googleでは、この機能は特にテレビデバイスで役立つと言っています。つまりは、ほかの何よりも「Android TV」のために作られた機能なのでしょう。そういうわけで、この機能がスマートフォンやタブレットでも利用できるようになるかどうかは、まだはっきりわかっていません。とりあえずは、YouTubeアプリのような動画オーバーレイ機能があらゆるアプリで使えるようになることを願っています。

プルダウンシェードから通知に直接応答できる機能

Android Nでは、また通知シェードに修正が加えられています。今回は、とても役に立つ修正です。この大いにありがたい改善のおかげで、ほぼあらゆるアプリから通知に応答できるようになります。いったんシェードを閉じたり、アプリを開いて通知を確認したりする必要はなくなります。

『ハングアウト』アプリでは、それと同じようなクイックリプライ機能を有効にする方法もありましたが、今回の新機能は、シェードそのものに直接組みこまれています。今回の新機能は、最新版のiOSでの通知機能によく似ているようです。

同じアプリからの通知を一括で後回しにできる機能

Android Nでは、頻繁に通知を送ってくるアプリに対処する新たな選択肢が提供されています。同じアプリから複数のアラートを受信した場合に、それらを展開可能なバンドルにひとまとめにできるようになりました。これは『Inbox』のユーザーにはおなじみかもしれません。このバンドルは、1つの通知としてシェード内に表示されます。バンドル全体をスワイプすれば、ジェスチャー1つですべての通知をまとめて片づけられます。または、2本指ジェスチャーを使うか、「展開」ボタンをタップするかしてバンドルを開き、それぞれの通知に個別に対応することもできます。この機能は、ちょっとしたことを知らせる個別の通知を、山ほど送ってくるアプリで役立ちます。たとえば、Facebookあたりは狙い目でしょう。

開発者でなくても最新版をいち早く入手できる新しいAndroid Beta Program

かつては、Androidの最新テスト版を試してみたければ、手動でダウンロードしてインストールしなければいけませんでした。でも今では、「Android Beta Program」と呼ばれる新プログラムがあります。Googleはこのプログラムを、Android Nプレビュー版の公開と同日にスタートさせました。

このプログラムにサインアップするだけで、Android Nの開発者向けプレビュー版をデバイス(対応機種は限られます)に送ってもらえます。しかも、Googleがアップデートをリリースするたびに自動的に受信されるのです。ただし、このプログラムを利用できるのは、Googleがすでに開発者向けプログラムの対象としているデバイスに限定されそうです。2016年の時点では、該当する端末は、Nexus6、Nexus5X、Nexus6P、Nexus Player、Nexus9、PixelCです。やっぱり手動でAndroid Nをインストールしたいという方は、プレビューイメージを通常どおりにダウンロードすればOKです。「Android Police」のこの記事では、イメージへのリンクのリストがまとめられています。インストールの方法は、米Lifehackerのこちらの記事をどうぞ。

新機能はこれだけではありませんが、ここでは主なものを紹介しています。Googleの発表ではそのほかに、「Doze」モードの改善点や、新しい「Quick Settings」UIなどにも触れています。米LHでも、この新バージョンをいろいろと試してみて、Googleが発表していないほかの機能を探してみるつもりです。

このあと、Android N開発者向けプレビュー版のインストール情報をまとめたガイドを公開する予定なので、しばらくお待ちください。

Eric Ravenscraft(原文/訳:梅田智世/ガリレオ)