Inc.:良い読者になりたかったら、本をたくさん読まなければならない、というのは科学的にも当然のこと。良い書き手になりたい場合も、おそらく同じでしょう。文章を書くのがうまくなりたかったら、練習あるのみです。
しかし、文章が上達するには時間がかかります。しかし、書くための"筋肉"を鍛える近道もいくつかあります。今の時代、簡単でも正しいことをやれば文章はきちんと上達します。最近の研究でも立証された、超実用的でわかりやすい方法をご紹介しましょう。
少しゆっくり書く
ウォータールー大学は、大学生を対象に「片手だけで論文を入力したらどうなるか?」という少し変わった前提の研究をしました。驚くべきことに、結果は「文章がうまくなる」でした。
自分の考えを簡単に書き留めることができる、現代の便利なツールのせいで、私たちはあまりにも速く書きすぎていることが判明したのです。研究の主執筆者であるSrdan Medimorecは、「タイピングはあまりにも流暢すぎる、もしくは速すぎると、書き込む段階で生まれるものを損なっている可能性がある」と言っています。
この研究では、その原因は完全には明らかになっていませんが、人間は少しゆっくり書かなければならないようなときのほうが、自分の考えを伝えるのにふさわしい言葉や表現を、じっくりと考えて選ぶだけの時間があるからだろうと推測されています。
書くツールと速度を考える
ということは、文章がうまくなるには、パソコンで書くときに片手だけでタイピングするしかない、ということなのでしょうか? もちろんそうではありません。Medimorecはこのように言っています。
私たちは、学生に片手で期末レポートを書けとは言っていません。しかし、研究の結果では、速く書いたものには欠点があることがわかっています。だから、考えを、少しでも速く言葉にして書き留めるためのツールが登場し続けていますが、どのツールを使うか、じっくり検討することが大事なのです。
また、片手でゆっくりとタイピングした学生とほぼ同じ速度の、昔ながらの手書きで書いた学生も、良い文章を書いていたのは興味深いことです。文章を書くような仕事がある場合、あるいは紙とペンで手書きをしてみるのも良いかもしれません。(手書きは、自分の考えを十分に表せる優れた方法だと主張する人がいるのも、注目に値します)
しかし、子供の頃から手書きの習慣がほとんどない人でも、この発見の使い道はあります。今度、白紙(もしくは真っ白なスクリーン)の前に座ったら、少しゆっくり書くことを意識してみましょう。それだけでも良いのです。できるだけ速く書こうとするよりも、もっと良い文章になるはずです。ぜひ試してみてください。
A Super Simple, Science-Backed Trick to Improve Your Writing|Inc.
Jessica Stillman(訳:的野裕子)
Photo by Shutterstock.