Dumb Little Man:古い曲を持ち出すと私の年齢を感じさせてしまうかもしれませんが、ポール・サイモンの1975年の『恋人と別れる50の方法』という曲を覚えていますか? 恋人との関係を断ち切る方法はたくさんあり、いとも簡単に絆が切れてしまう理由がたくさん潜在する一方、他人の心を勝ち取るのははるかに難しいようです。

スクール・カウンセラーをしていた経験から、あまり外部志向になりすぎず、人にどう思われているか気にし過ぎないのがベストだと私にはわかっています。心が健全で安定しているなら、ありのままの自分でいても、誠実なやり方で自然に他人と交流することができます。しかし、現実はどうでしょう。ほとんどの人は多少なりとも他人の思惑を気にしています。私たちは親を喜ばせ、先生から尊重され、周囲と円満に暮らすように成長期に教えられるので、他人の思惑をある程度気にするようにプログラムされているようなものなのです。

もちろん、家族の中の黒い羊の役まわりや、社会的に他人とは相いれない一匹オオカミでいることを楽しんでいる人もいます。

しかし、人気は自我を増長させて、会社での出世を放棄したり、自分は簡単に「時の人」になれるという思い込みを与えたりします。

自分を称賛してくれ、尊敬してくれる人たちに囲まれるのは心地が良く、満足感があるものです。友情は人生を豊かにしてくれて、自信を生み、感情のオアシスの役目を果たしてくれます。

逆に、周囲から孤立していると感じると、世の中をネガティブな目で見てしまいます。他人が怖くなったり理解できない気がしたりして、なんとしてでも他人を避けなければならない気がします。仲間から完全に孤立している人は、自分には本質的に何か悪いところがあるのではないかと思い込み、自責の念にかられることもあります。

ここで、素朴な疑問が湧き上がってきます。なぜみんな自分に好意的に反応しないのだろう。自分と他人を隔てている壁は、どうにもならないものなのだろうか、それとも取り除けるものなのだろうか。

この記事の主旨は、その壁をゆすぶり取り除くことです。さあ、周囲の人たちの間を取りもって、あなたの人気を高めましょう。

これからご紹介するのは、一見、目には見えない社交票を獲得する方法です。

1. まず自分自身を好きになる

「自らの価値を認められない人間が、他人からひとかどの人間だと思われることはない」というアフリカの諺があります。自分が自分自身の親友になると、自信、落ち着き、内面的強さ、あふれるような喜びや幸福感を周囲に自然にふりまけるようになります。どれも、将来雇用主や恋人、友人になる可能性のある人たちには魅力的な資質です。

こうして、ありのままの自分でいて平気な人間であることを、言葉でも言外にも表します。リラックスした気分でいると、あなたには人を受け入れる雰囲気や性質のあると他人は思うようになり、警戒心を解くようになるでしょう。

さらに自分の価値を承認できるようになり、自分であることを楽しめるようになります。たとえ誰かに愛着せずにはいられないときでも、必死になったり愛情に飢えたりする状態にはなりません。親密な関係を手に入れようとやっきになることがないと、プレッシャーをそれほど感じないのでむしろ簡単に手に入るでしょう。

そのうちに、どんどん自信がついてくるので、ネガティブ、自己不安、気鬱、不安などの、人を寄せ付けない資質に支配されることもずっと少なくなります。

2. 自分のことばかり話さない

もっと自分を好きになりましょう。でも人が大勢いる部屋に入るときは、自我は入り口に置いていくようにしましょう。自己拡大と人気はしばしば相反します。

他人が威張っているのを見ると、その人の自我が暴走していると容易にわかりますが、自分のこととなると、自我が制御できなくなっていても、なかなか認識できません。

無意識に相手より一枚上手に振る舞ってみたことはありますか? 誰かが自分の手柄話をしているときに、こちらも自分の業績に言及したことはありますか? 聞かれなくても相手のすばらしいパフォーマンスに、どれだけ感心しているか吹聴したことは?

自分のことを話して気分の浮き沈みを共有するのは、知らない人に対しては慎むべきことではあっても、相手が友人や知人ならまったく自然なことであり、しても構わないことです。でも自分のことばかり絶え間なく一方的に話し続けた挙句、人を自分の世界の中心から遠ざける人もいます。

際限なく「私が、私が」という自己中心的アプローチを続けるのは、興ざめです。特に誰かが悩みを打ち明けようとしているときはそうです。そんなときは、その人やその人の抱えている問題にフォーカスしないと、相手の心に幻滅、失望、フラストレーションが生まれます。自分の話にすぐに切り替えてしまうのは絶対にいけません。

3. 他人の生活にも良い意味で興味をもつ

あるとき私より20歳若いクライアントがいました。彼とは住まいが近いこと以外には取り立てて共通点がありませんでした。私たちは厳密には仕事上の関係でしたが、毎月彼は私に電話して、私の家族のことや私がどうしているか聞いてくれました(もちろん、彼は私のクライアントでしたから、私がそうなるようにリードしたのですが)。

彼がこうして定期的に私に電話をくれて、どうしているか聞いてくれるので、2人の間に友情が実を結びました。私が彼の生活のことに話をシフトしたので、私たちの関係は、さらに強いものになりました。

自分に対して誠実な興味をもってくれる人を好きにならないでいられるはずがありません。人は、自分のことを他人が真摯に受け止めてくれると思いたいものです。

「どうしていますか?(How are you?)」は問いかけよりむしろ挨拶かもしれません。しかし、このタイプの挨拶を、時間とエネルギーを投じるに値する有意義な会話につなげることができれば、必ず人気度が高まります。

4. なにげなく親切に振る舞う

優しく、思いやりが深いだけで得点につながります。しかし、なにげなく親切な行いをすると他人への影響が大幅に強くなります。

オフィスにおいしいデザートを持ってくる、知り合いにささやかな贈り物を送る、他人を精神的にも物理的にも助ける、など、人の助けとなり、自分と関わる、すべての人の幸福を育む方法は、数えきれないほどあります。

親切は生まれつき恵まれたものですが、相互関係は徐々に発達するものかもしれません。あなたが他人のために手間をかけたら、相手もあなたのために同じようにしたいと思うかもしれません。そして、たとえ相手があなたに具体的な厚意を表そうとしなくても、してあげたことには感謝して、結果的にあなたを好きになるでしょう。

5. 先入観で決めつけることなく人の話を聞く

私がスクール・カウンセラーになるために勉強していたころ、教授はいつも積極的に人の話を聞くことの大切さを強調していました。人は自分の話を聞いてもらっている、理解されている、自分の正しさを認めてもらっていると感じたいものです。懸念やフィードバックを真面目に聞くことで、あなたが相手の立場に立って物事を見ていることが相手に伝わるでしょう。これだけでも相手の目にはあなたの株が上がります。

善悪を決めつけたり、相手を傷つけたりするような批判をせずに話を聞くことができると、絆が生まれやすくなります。だからと言って「イエスマン」になれと言うわけではありませんし、あなたにも自分の考えを表す資格があります。ただ、自分の考えをどのように組み立てるか、そしてそれをどのように相手に伝えるかに気を付ける必要があるということです。

「どうしたの?」とか「今までに何度それをあなたに言ったことか」とか「あなたはいつだってXXX(ネガティブな内容がここに入ります)」と言うのは、失言につながります。社交術を訓練しましょう。私の祖母は、私に同意しないときは、「それは面白いわね。どうしてそう思うのか教えてちょうだい」と言いました。会話を終わらせるときは「そういう見方もあるわね」と必ず感じ良く言ったものです。これとは逆に、相手を責めたり批判したり、品位のないことを言ったりすると、相手との間に深い溝を作ることになります。

6. 褒め言葉は大げさなぐらいにする

とかく、他人の荒探しはしても、ポジティブな性質や気高い行いには目をつぶりがちです。こうなってしまうのは、あまりにも短絡的に「自分VS世の中」という哲学をもち、独善的な怒りや妬みを抱き続けて、被害者意識に浸ってしまうからです。

新年の抱負の1つは「悪いのは他人」という考え方を捨てることにしましょう。他人の良いところを見つけて指摘してあげるぐらい寛容になりましょう。心にもないお世辞を言えという意味ではなくて、良いところを見つけたらちょっと大げさなぐらい褒めるということです。今日、私と妻は知り合いのウエイトレスと店の外で出くわしました。彼女はすぐに私たちに気づき、20分ぐらいとても仲良く会話を交わしました。私たちは彼女を高く評価しているので、彼女も私たちを本当に友人だと思っているはずです。

どうしてこうなったと思いますか? 彼女は優秀なウエイトレスで、自分なりのやり方で、いつもお客に模範的と言えるぐらいすばらしい食事を体験させてくれます。私たちは何度も彼女を直接褒めましたが、彼女の際立ったサービスのことをマネージャーに話したこともありました。レストランのオーナーに手紙まで書きました。

私たちが称賛と感謝を表したことでお互いの絆が強くなったのです。賛辞、べた褒め、心からの褒め言葉はあらゆる人との関係を育みます。他人のポジティブな性質や行為に気づいたら、口に出して褒めましょう。それによりみんなの気分が高揚するので、あなたはチャーミングで優しい人だと思われます。

7. 言外のコミュニケーションをマスターする

「笑顔がなくちゃ、オシャレは始まらないよ」というアニーの歌詞を覚えていますか? この歌の題名と歌詞は「顔の表情こそ本当に大切だ」ということを思いさせてくれます。

笑顔は、沈みがちだった自分の心を明るくしてくれるだけでなく、他人の心にも簡単に影響を与えます。作り笑いではない聡明な笑顔を向けられた相手は、自分の価値を認めてもらえた、好かれている、と感じて、相互依存の法則により、しばしば同じようにこちらにも返してくるものです。

自分のボディランゲージにもっと注意を払いましょう。相手を歓迎して受け入れるメッセージを伝えていますか? 近づきがたい人だと思わせていませんか? 人を見るときは親しげで思いやりのある眼差しで見ていますか? 眼で不信感、嫌悪感、イライラをあらわにしていませんか?

ちょっとした体の使い方でポジティブな影響もネガティブな影響も人に与えてしまいます。たとえば、優しい表情をして、両手を広げて話し、顔を上げて、優しく相手の肩を触り(そうするのが適切な場合によりますが)、リラックスした態度でいると、好感を与えられます。

顔の表情で感情を表す。相手に対する興味を示す。人を受け入れるオープンなボディランゲージを使う。これで相手と引きつけることができます。

もちろん、暖かくて親切な気持ちを表せるように、声の調子にも気を付けなければいけません。話す速度も速過ぎず遅すぎずにしましょう。


人気を得る方法は、ここでご紹介した7つに限ったわけではなく、ほかにも「人に知ってもらえる方法」「人に好かれる方法」はたくさんあります。たとえば、話題が豊富な会話上手になるのも役立ちます。もちろん、前述した通り、他人の話を聞くほうがそれ以上に大事ですが。

人に好かれようと努力しているときは、結果よりプロセスが大切だということを理解しましょう。こうしたテクニックを使うと、すぐに自分が自分の1番の友人になります。そして、これこそ人生を通して築かなければならないもっとも重要な関係なのです。

ご紹介したテクニックが、すべての人に有効かどうかは保証の限りではありません。しかし、本当に望んでいることが社会生活の輪を広げることだとしたら、その点に関してはほぼ間違いなく効果があるでしょう。

そうは言っても、友人を得たり、人に影響を与えようとしたりして、何でも思いつく限りのことをしようとするのは良くありません。「人気を得るために魂を売らなかった自分を、この上なく誇りに思う」というアメリカ合衆国元大統領ジョージ・ブッシュの言葉を思い出してください。

他人に対してベストな自分を見せることはできますが、常にありのままの自分と自己価値を保ちましょう。自分の価値をおとしめなくても、友人を作る方法はたくさんあるはずです。

Popularity Pointers - 7 Ways to Get People to Like You (Better)|Dumb Little Man

Andy Lax(訳:春野ユリ)