MakeUseOf:Windows PCでは、たとえ容量100GBのディスクドライブが付属していたとしても、すべてのスペースをユーザーが使えるわけではありません。実際、ディスクの使用状況を確かめてみると、あまりに多くの容量が雑多なキャッシュに使われていることを知って驚くはずです。
キャッシュとは何なのでしょう? 専門用語のようにも聞こえますが、実はそれほど難しい話ではありません。コンピューターの世界で言うキャッシュとは、いずれ必要になるときに備えて、見えないところにしまわれている、一時的なファイルのことです。これならわかりやすいですよね?キャッシュファイルは、システムのパフォーマンスを向上させてくれる、大切な存在です。でも、貴重なディスクスペースを占有するというマイナス面もあります。これは特に、容量の少ないSSDを使っているユーザーにとっては大問題です。とはいえ多くの場合、キャッシュを安全に消去して空きスペースを確保できます。
1. 『Windows 10』アップデートキャッシュ

ユーザーの利便性を考え、Windowsではすべての「Windows Update」ファイルのキャッシュを保存しています。これはアップデートを再適用しなければいけない場合には便利ですが、困ったことに、これらのファイルはかなり多くのディスクスペースを占有します。
1番の困りものは、Microsoftが強行した2015年11月のアップデートです。アップデートそのものには何の問題もないのですが、キャッシュファイルの容量が24GBもあり、しかもアップデート適用後に自動削除もされません。これだけのディスクスペースがあれば何ができるか、想像してみてください!
Windows Updateキャッシュの削除方法
これらのファイルを削除する前に、まずはWindows Updateを一時的に無効にし、作業中にアップデート
が行われないようにする必要があります。そのためにはスタートメニューを開き、コマンドプロンプトを立ち上げて、以下の文字列を入力してください。
net stop wuauserv
次に、エクスプローラーを立ち上げ、「C:\Windows\SoftwareDistribution\Download」を開きます。この「Download」フォルダの中のファイルは、すべて削除しても問題ありません。削除作業が済んだら、以下の文字列をコマンドプロンプトに入力してWindows Updateを再び有効にしてください:
net start wuauserv
2. Windowsストアのキャッシュ
ユーザー体験に関する、最近のWindowsでもっとも大きな変更点の1つは、Windowsストアの導入と、すべてのソフトウェアをアプリ化するというMicrosoftの方針転換でしょう。でも、多くのユーザーにとってこれは、控えめに言ってもかなりわずらわしいものです。
残念ながら、この変更にはWindowsストアにはびこる偽アプリの問題など、ユーザーにとって気に入らない点が多々あります。そのため、多くのユーザーは正規のストアを経由せずにアプリをインストールしているのが現状です。
すでにお気づきかもしれませんが、Windowsストア経由でダウンロードされたファイルも、Windows Updateファイルと同様にキャッシュ化されています。このキャッシュはスペースをとるだけでなく、ダウンロードが途中で中断したり、不正終了したりしたときには問題を引き起こすことさえあります。このようなケースでは、キャッシュを削除すると問題が解決するかもしれません。
Windowsストアキャッシュの削除方法
このキャッシュを削除するユーティリティー「WSReset.exe」が、Microsoftから提供されています。
「ファイル名を指定して実行」プロンプトを開き(Windowsキー+Rのショートカットを使うと便利です)、名前の欄に「WSReset.exe」と入力し、OKボタンをクリックします。背景が黒いウィンドウが開くはずです。何も起きてないように見えますが、作業が終わるまで少し待ちましょう。この間の数分は、マシンの動作が遅くなるかもしれません。
すべてが終わると、Windowsストアが立ち上がります。これでストア関連のキャッシュは削除され、クリアな状態になっているはずです。
3. 一時ファイルのキャッシュ

Windowsには一時ファイルの保存を目的とするシステムディレクトリがあります。一時ファイルは、別のファイルが作成あるいは変更されている間に作られる、つなぎの役割を果たすファイルですが、ここに保存されるのは一時的なデータのみで、プログラムがこれを必要とする期間もわずかです。
残念ながら、用済みになった一時ファイルをすべてのプログラムやプロセスが削除してくれるわけではありません。そのため、一時ファイル用のシステムディレクトリは、気がつくと要らなくなったファイルで埋め尽くされてしまいます。
通常は、1週間以上使われていない一時ファイルなら削除してもかまわないでしょう。しかも、Windowsに搭載されているツールを使えば、こうした条件をつけた削除が可能です。
一時ファイルキャッシュの削除方法
スタートメニューを開き、ディスククリーンアップを探して実行します。画面に表示が出たら、Windowsがインストールされているドライブ(通常はC:)を選び、ファイルシステムの分析が済むまで待ちましょう。
分析が終わったら、ディスククリーンアップタブを確認し、一時ファイルと書かれた項目のみにチェックを入れて、OKボタンを押してください。
4. サムネイルキャッシュ
Windowsには、ファイルをサムネイル形式でプレビューする設定があります。これが有効になっている場合、たとえばMP4形式の動画ファイルなら、動画内の1フレームが表示されますし、PNG形式のファイルなら、画像そのものがプレビューされます。
使い勝手という観点から見れば、サムネイル表示はとてもありがたい機能です。でも、これらの画像がどうやって作られているのか、考えたことはありますか? 実は、表示するたびにWindowsがわざわざ作成しているのです。エクスプローラーでフォルダをブラウズしているときに、初めて表示されるファイルについて、Windowsは1つ1つサムネイルを作成しています。
この機能のせいで、Windowsの日々のパフォーマンスが低下するだけでなく、新たに作成されたサムネイル画像を保存する場所も必要になります。それがWindowsのサムネイルキャッシュです。これはすぐに膨大なサイズになりますから、数カ月ごとに削除しておくと良いでしょう。
サムネイルキャッシュの削除方法
スタートメニューを開き、ディスククリーンアップを探して実行します。画面に表示が出たら、Windowsがインストールされているドライブ(通常はC:)を選び、ファイルシステムの分析が済むまで待ちましょう。
分析が終わったらディスククリーンアップタブを確認し、縮小表示と書かれた項目のみにチェックを入れ、OKボタンを押してください。
5. システム復元キャッシュ

「システムの復元」は、Windowsでもっとも有用な機能の1つです。まさかそんな機能が必要になるわけがないと思いがちですが、自分が使っているシステムに不具合が生じたら、そんな気持ちも一変するはずです。
システムの復元を使うのは避けたいところですが、必要になったときには、この機能があって良かったと思うはずです。振り返って後悔するより安全な道を選ぶほうがマシですよね? また、Windows 10では多くのトラブルシューティング機能が新たに導入されましたが、それでもシステムの復元の重要性は変わっていません。ですから決して見過ごさないでください。
とはいえ、システムの復元には、多くのディスクスペースをとるというマイナス面もあります。実際、これはかなりの量にのぼります。システム復元のために必要なすべての設定や変数を保存しておかなければならないのですから、無理もない話です。
保存されている復元ポイントを削除すれば、このスペースを解放できます。また、システムの復元に割り当てられているスペースを削減したり、この機能そのものを無効化したりすることも可能です。ただし、スペースを減らしすぎると、システム復元がうまく機能しない原因にもなるので注意してください。
システム復元キャッシュの削除方法
スタートメニューを開き、システムを選んで立ち上げます。画面が開いたら、サイドバーに表示されている「システムの保護」リンクをクリックしてください。
システムの保護タブを確認し、構成ボタンをクリックします。ウィンドウ下の削除をクリックすると、これまで保存されていたすべての復元ポイントが削除されます。この操作をしたら、すぐに現時点での復元ポイントを忘れずに作成しておきましょう!6. ウェブブラウザのキャッシュ
ユーザーがウェブページを訪れるごとに、ブラウザはそのページの内容(HTML、CSS、JavaScript、画像ファイルなど)を自らのキャッシュに追加します。次に同じページを訪ねたときに、ブラウザはキャッシュファイルを使い、ページの読み込みを高速化します。
実際にはもっと複雑な過程がありますが、大まかに言えばこうした仕組みになっています。キャッシュを使えば帯域幅を節約できますし、ウェブプラウズ体験もより快適になりますが、このキャッシュが問題を引き起こすこともあります。
たとえば、前回の閲覧後にウェブページが変更された場合でも、ブラウザが古いキャッシュデータを読み込んでしまうと、サイトが本来の意図通りに表示されないケースもあります。そのため、トラブルシューティングの一般的な方法として、ブラウザのキャッシュを削除するという手が使われています。これでブラウザはまっさらな状態に戻ります。しかも、ディスクの空きスペースも増やせます。
ウェブブラウザのキャッシュ削除方法
キャッシュの削除方法はブラウザによって異なりますが、どれもそんなに複雑ではありません。
- Firefoxの場合は、メニューボタンの「オプション」を選択し、詳細パネルを選んでネットワークタブを表示します。ここにあるキャッシュされたWebページセクションで「今すぐ消去」ボタンをクリックします。
- Chromeの場合は、メニューボタンから「設定」を選び、画面下の「詳細設定を表示」をクリックします。プライバシーセクションで「閲覧履歴データの消去」ボタンを押し、キャッシュされた画像とファイルのオプションにチェックを入れ、「閲覧履歴データを消去する」ボタンをクリックします。この際、期間指定を「すべて」にしておくのを忘れないようにしてください。
- Operaの場合は、メニューから「設定」を選び、プライバシーとセキュリティセクションに進みます。プライバシーの項目にある「閲覧データの消去」から、キャッシュされた画像とファイルオプションを選びます。こちらも期間指定を「すべて」にしておきましょう。
7. DNSキャッシュ
ウェブサイトにアクセスするとき、あなたのコンピューターは基本的に、インターネットに接続されている別のコンピューターにウェブデータを送るよう要求しています。でも、あなたのマシンは正しい相手先をどうやって判別しているのでしょうか? このために使われる仕組みが、ドメインネームシステム(DNS)です。
DNSは、インターネットトラフィックのルーティングを行うコンピューターのネットワークです。郵便サービスのようなものと考えればわかりやすいでしょう。郵便物も、送り手から複数の郵便局を経て、受取人の手に届きます。ここで言う郵便物がデータに置き換わるわけです。
Windowsマシンが特定のルート(たとえば、あなたのコンピューターからこの記事が掲載された米MakeUseOfのサーバーまで)を覚えると、マシンはそのルートをDNSキャッシュに一時的に保存します。しかし、DNSルートが変わると、キャッシュされていたルートは古くなってしまい、ウェブサイトを読み込めないといった問題が起きるおそれがあります。
DNSキャッシュの削除方法
DNSキャッシュは削除しても一切問題ありません。最良のケースではルーティングに関する問題がすべて解決しますし、最悪の場合でも何も起きないだけです。削除の方法もとても簡単です。
スタートメニューを開き、コマンドプロンプトを立ち上げて、以下の文字列を入力してください。
ipconfig /flushdns
これで終了です。
7 Hidden Windows Caches & How to Clear Them|MakeUseOf
Joel Lee(訳:長谷 睦/ガリレオ)
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