Inc.: 何が社員を悩ませているかを調べるのに専門家を呼んだとしたら、いったいどんな答えが見つかるでしょう?

最近それを実行に移したのが、北イタリアにあるホームテキスタイルを扱うGabel社です。社員とのインタビューの結果明らかになった答えは、みんなの予想通りでした。不満に感じていることの上位に挙がったのは、社員が直面する膨大な量のメールだったのです。

Gabel社の人たちが大量のメールを抱え込んでいたのはそれほど驚くことではありませんでしたが、会社側の対応は大勢の人を驚かせました。BBCの報道によると同社は、11月に丸1週間社内メールを禁止するという決断を下したのです。

マネージング・ディレクターのEmilio Colombo氏は、11月に「メール・フリー週間」を設けることを宣言し、社員に次のようなメールを(皮肉にもメールで)送りました。

社内の(同じ場所で勤務する同僚同士の)コミュニケーションにメールを使わないようお願いします。これは、より直接的かつ迅速なやりとりを目指すためです

さて、うまくいったでしょうか? BBCによると、かなりうまくいったようです。同社社長のMichele Moltrasio氏によれば、確かにメールを使わないコミュニケーションには慣れが必要だったとのことですが、彼は「従業員は書くのではなく、会って話すことの喜びを再発見しています。来週からまたメールを使うようになりますが、実験中のこの数日間は業務の方法やペースを理解し考え直す上で、非常に有意義なものとなりました」とも述べています。

メール休暇の科学

「社内メールをすべて排除するのは極端だ」と思う人もいるかもしれませんが、この考え方は実は科学的にも支持されています。1日中繰り返しメールを受け取ることで、ストレスを示す身体的兆候が増加することが研究で確認されています。無関係なメール、あるいは集中力を途切れさせるメールは特に有害で、こういったストレスが健康に大きな影響を与える場合もあるのです。

しかし、今回のGabel社の取り組みは、社員のストレス軽減だけが理由ではありません。ニューヨーク・マガジンのコラムサイト「Science of Us」 でも指摘されている通り、メールが頻繁であれば生産性が上がるわけではないということが研究で示されています。実際は、その正反対なのです。

さらに、短期間メールから離れるだけでも大きな利益がもたらされるという考え方も研究で裏付けを得ています。カリフォルニア大学アーバイン校と米国陸軍の科学者で編成されたチームが、内勤者のグループにたった5日間メールをやめさせただけで、対象者は心拍数が下がっただけでなく、より幸せに感じるということがわかりました。同研究を率いた、UCIで情報科学を教えるGloria Mark教授は次のように語っています。

参加者はメールを使わないやり方を非常に気に入っていました。上司から許可が下りた場合は特に。全体的に、相手と直接やり取りをする方がずっと良いと感じていました。メールがいかに無駄かということにほとんどの人が気づいたのです。

総合すると、Gabel社のアイデアは当初考えられたほど突拍子のないものではないのかもしれません。社内メールから1週間離れるということは、ストレス軽減を単発的にもたらすことをほとんど保証するだけでなく、Moltrasio氏が述べている通り、チームメンバー間でより気持ちよく効果的なコミュニケーションの形がとられる実験としても優れた方法だということが科学的にも支持されています。

This Company Banned Internal Email for a Week (and Loved It) | Inc.

Jessica Stillman(訳:コニャック

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