Inc.:YouTubeのスターたちが大きな影響力を持っていることは疑いようがありません。Forbes誌によると、YouTubeでもっとも稼いでいるパフォーマー、PewDiePie2015年に1250万ドルを手にしているといいます。

このような若者たちの成功をただかっこいいルックスや幸運のせいだと決めつけてしまう前に、彼らから学べることはないでしょうか。たとえば、ユーザーの心を惹きつける方法について、とか。

発音の仕方に注意することで与える印象を変えることができる

Atlantic誌のJulie Beck氏が次のように指摘しています。

大きな動作なしで、ただカメラに話しかけているときは、(視聴者の)注意を引きつけ、それを維持するための工夫が必要となります。

自分がビデオゲームをプレイしている姿を撮影しているPewDiePieから、美の伝道師、Michelle Phanに至るまで、ビデオブログ作成者であれば誰でも、最初の30秒が過ぎても人々に視聴させ続ける方法を探し出す必要があるのです。

そこで求められるのは、言語を巧みに使いこなすこと、または、Beck氏が言うところの、ユーチューバーに良くみられる"リズミカルな話し方"です。そこで、Beck氏はアメリカン大学の言語学教授、Naomi Baron氏の協力を得て、成功を収めているユーチューバーに共通している話法の解明を試みました。

言うまでもなく、人前で話すことが苦手な人はYouTubeでフォローしてもらえないでしょう。動画が流れる間ずっとぶつぶつと呟くようであってはいけないのです。一方で、Baron氏が確認したように、もっとも成功しているビデオブログ作成者たちは母音と子音を強調したり、伸ばしたりする傾向がありました。また、子音を有気音で発音する、つまり息の流れる音を出すようにする方法で子音を発音しています(Baron氏はBeck氏に「keep」と「geep」を発音するよう求め、通常有気音の子音であるkの文字を発音したあとに息が流れ出すことを理解させました)。

ペンシルベニア大学のMark Liberman氏がAtlantic誌で語っているように、その結果は"知的な中古車セールスマンの声"と同じでした。話し手のエネルギーが溢れる様子が伝わるものの、相手には押しつけがましく聞こえないのです。

これはまったく新しい考え方というわけではありません。Beck氏はユーチューバーの話し方とニュースキャスターのそれを比較し、両者とも"視聴者に語りかける声音"であることを確認しています。しかし、動画がコミュニケーションの手段、視聴者に売り込むための手段としてますます人気が高まるにつれて、ティーンエージャーでさえYouTubeで何百万人ものフォロワーを集めることができるという事実は、人々に話を聞いてもらうために洗練されたニュースアンカー(報道番組でニュースを紹介しながら司会進行を務める人)のようになる必要はないことを示してもいるのです。

The Speaking Style That's Helped Make YouTube's Biggest Stars | Inc.

Anna Hensel(訳:コニャック

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