1人暮らしだと、料理の腕前以前に、健康的な食生活をするための特有の苦労があります。1人で料理して食べるのはあまり楽しくないですし、1人分の量を作るのは難しいものです。うまくやるコツは、週に一度は料理をすること。そうすれば、料理をした日から何日かは健康的な食事が食べられます。

私は自分で料理をしなければならないので、とにかく効率的にして、なるべく料理に時間をかけないようにしています。それでも、ちゃんと食べられる料理ができ上がります。効率を重視すると、料理をする気になれなかったり、ソファでゴロゴロする以外に何もしたくなかったりする夜を乗り越えられます。

週に一度でも料理をするのは大変な気がします。でも、1回で何日分か作るようにすると、料理をする時間が限られているとか、疲れているとか、有効期限が迫っているピザのクーポン券がある、などなど、健康的な食生活を妨げる障害の多くを取り除けます。さらに、食事の準備ができていると時間の無駄が省けて、良い食習慣を維持できますし、空腹のあまりドライブスルーに駆け込むこともなくなります。

1人暮らしの食事計画をスタートする

1人分の食事を作るのは複雑なことではありませんが、間違いなくスキルが必要です。スパチュラの使い方や手を切らずに包丁で食材を刻む方法、腐らせずに食材を使いまわす方法を学ばなくてはなりません。次のことができるようになりましょう。

  • 献立の計画を立てる:何を食べるか決めて、徐々に定番レシピを増やしましょう。どこから始めたら良いかわからないなら、こちらの「料理を身につけたいなら知っておきたい簡単レシピ9」をチェックしてみましょう。
  • 買い物は週に一度だけ:毎日ではなく、週に1回か2回だけ買い物をしましょう。これは時間節約のコツですが、ついチョコレートチップクッキーや不必要なもの、その週のうちに食べきれないものを買ってしまう可能性も減らせます。これが、あらかじめ献立を計画することが第1のステップになっている理由です。
  • まとめて作る:ここは、蛍光ペンでハイライトすべきところです。まとめて作ると時間の節約になり、何よりも4人家族用のレシピで、その週の食事がほぼできてしまいます。これを実践するには、週に一度か二度、2、3時間だけ料理の時間をスケジュールするだけでいいのです。料理する「量」はいつでも調整できます(個人的には2、3日分以上はめったに作りません。食事に変化をつけたいからです)。
  • 適切な台所用品を使って食材を貯蔵する:適切な台所用品を使うと、調理のプロセスがはるかに効果的かつ効率的になります。便利ですごい、バットマンの万能ベルトの台所版を持っているようなものです。でもそれがなくても心配いりません。理由は、このあと具体的に説明します。
  • 料理を保存する:1人分の料理を作るということは、プラスチックの保存容器にたっぷり料理を入れて、少しずつ分けて食べるということです。

さあ、これが一連のプロセスです。献立の計画を立て、事前に買い物をするのがこの計画の1番大切なところで、先々大いに役立ちます。

好きな食べ物を中心に献立を組み立てる

1人暮らしの良い点は、他人の好みに合わせなくても良いところです。ですがそれは、誰も見ていないことをいいことに、あまり良くない食べ方をしてしまうことにもなりがちです。とは言え、健康的な食生活にしたいなら、自分が好きな食べ物を使うようにしましょう。どんなに健康的な食事も、1週間で食べるのをやめてしまえば意味がありません。自分の食の好みを理解して、それを中心に、自分好みの健康的な食事を計画しましょう。

  • バランスの取れた食事にする:一般的に、「バランスの取れた食事」とは食品群や微量栄養素の中で、欠けているものがないということで、タンパク質、炭水化物、脂肪を少しずつ取り入れることです。食べ物を全部好きになる必要はありませんが、体に良いとわかっているものは時々食べて、普段の食事では摂らないものを摂るようにするのは良いことです。
  • 極端な考え方をしない:食べ物に「良い」や「悪い」のレッテルを貼らないようにしましょう。フィットネス・コーチのBenjamin Tormey氏は、「細かいことを個別に取り出して見ないようにしてください。ある食べ物を食べないようにするのではなくて、良くない食べ方をしてしまうような影響を与えるものを、自分の環境から除外するようにしましょう」とアドバイスしています。
  • 食事で満腹感と満足感を得る:食べる量をコントロールするというコンセプトは、諸刃の剣です。分量を少なくしても(たとえばドーナツを丸ごと食べる代わりに半分にするとかですが)、メタボリック・ハリケーンの渦中ではほとんど無意味かもしれません。さらに、そういう「少量の食べ物」を一日中モグモグ食べ続けてしまう可能性もあります。葉野菜や繊維の豊富な野菜、ベリー類などの「かさのある」食材を取り入れて、不必要にカロリーを増やさずに胃袋を満たしましょう。

好きな食べ物を把握し、大まかに買うべきもののリストをまとめてみましょう。毎日食べても嫌にならない食べ物です。たとえば、

  • 炭水化物:米、豆、レンズ豆、トルティーヤ、ジャガイモ、パスタ、麺類、パン、大麦、果物、葉野菜でない野菜
  • タンパク質:卵、プロテイン・パウダー、牛肉、鶏肉、魚、テンペ、豆腐、豆、羊肉、バイソン(野牛)、七面鳥
  • 脂肪:調理用油、ナッツ、無調整または低脂肪の乳製品、卵黄、脂肪の多いプロテイン、アボカド

手始めに、各カテゴリーから2つか3つを選んで毎食摂るようにしましょう。シンプルなほど良いです。これらは食事の献立を作るときに核となる必須食品です。たとえば、私は普段、朝食は大麦、卵、乳製品、プロテイン・パウダー(オートミールに混ぜます)を食べることにしていますし、昼食と夕食はほとんどの場合、米とタンパク質と野菜を摂る食事を基本としています。

別の言い方をすると、主となる炭水化物を1種類、それに合う何種類かのタンパク質と脂肪を一緒に摂っています。単独の栄養素をもつ料理と、複数の栄養成分を融合させた料理を一緒に作ると、食事に変化がつきますし、組み合わせもいろいろあります。(例:レモン・チキンとラザニア)

食材の買い出しをするとき、乾物をまとめて買うのは悪い考えではありません(例:米、大麦、パスタ、豆、スパイス)。しかし、必要なタンパク質と農産物は買うようにしてください。冷凍の野菜や果物などを買うのも良いと思います。悪くなる前に食べなくちゃと、いつも気にしなくてよくなりますから。

要領がつかめてきたら、うまくいくことといかないことがわかってきます。ここで何より重要なのは、レシピを学んで週の食事の大半を賄えるようになることであり、もっと時間がかかる豪華なレシピは、何か新しいことを試してみたいときや、特別なときに取っておけばいいのです。上達すればするほど、同じ食材を使っても、もっとクリエイティブなものが作れるでしょう。

まとめて作り、時間節約ツールを使う

週末の夕方などを選んで、食材の買い出しと料理をしましょう。覚えておいてほしいのは、作業を少しずつではなく一度にやってしまうと、次の2、3日は(あるいはその週はずっと)健康的な食事が食べられるということです。こうすると、毎回何を食べるか考えなくてよいですし、しかも、栄養をしっかり摂らなければならないというストレスから解放されます。

料理のスキルがなくてもそういう食事は作れます。(料理が下手な人の)料理のプロセスの無駄を省くキッチンツールをご紹介します。

  • 電子レンジ:オールマイティに使える電子レンジは、朝、オートミールや卵料理もできます! カップ1つでできる電子レンジレシピを作ったり、食事を温め直したりできます。私も、皿を洗ったり生野菜を使ったりする気分になれないときは、冷凍野菜を取り出して電子レンジでチンしています。電子レンジは、こんなときはスタープレーヤーです。
  • スロークッカー:これを使うと実際には料理しなくても料理ができてしまいます。スロークッカーの中にいろいろなものを投げ込んで、「セットして放置」します。私は普段より大量のタンパク質を調理するときは、スロークッカーを使っています。たとえば、鶏のもも肉や胸肉の塊、レッドオニオン、パプリカ、ニンジン、スパイスを入れて、スイッチオン。5~6時間後にはすばらしい香りが立ち込めて、おいしい鶏料理のでき上がりです。私の場合は、スロークッカーを使ってまずいものができたためしがありませんが、いずれにしろスリラッチャ・ソースを使うと間違いがありません。さらに、栄養豊富な「ポット1つでできる料理」もいろいろ作れてしまいます。
  • 炊飯器:本格的な炊飯器を使うとかなりの時間が節約できます。炊飯だけでなく野菜(あるいはジャガイモ)を蒸す機能がついているものもあります。米が好きでない場合は、雑穀や豆類を調理してもいいですし、大きなパンケーキも作れます。セットしたら放置しましょう(ここでのテーマがだんだんわかってきましたか?)
  • ブレンダ―:スムージーはすばらしい代用食ですが、それ以上に大切なのは、ブレンダ―はソースをかくはんしたり、カリフラワーなどを裏ごししたりするのに実に便利だということです。ライフハッカーの同僚はこれに関して私に異論を唱えていますが、私はマギー・バレットのブレンダ―は1人暮らしの私のニーズを満たしてくれる、すばらしい小型ブレンダ―だと思っています。
  • フードプロセッサー/料理バサミ: 台所の忍者のように食材を巧みにスライスしたり刻んだりできる人もいますが、私は食材を大ざっぱにぶつ切りにしたり、手でちぎったりしてからフードプロセッサーに放り込んで、残りの作業をしてもらっています。タンパク質やさらに大きい食材の場合は、大きい肉切バサミを使います。チョキチョキ、調理、バ~ン、はい、でき上がりです。
  • スパイスラック:スパイスはとても役に立ちます。同じ食べ物をすばらしい味にしてくれます。

私が食事を作るときは、タンパク質1種類、炭水化物を1種類か2種類、それから野菜を使って2、3日分を作るのが一般的です。便利さと効率の観点から、作ったものを小分けして個別の保存容器に入れて冷蔵庫で保存しましょう。2、3日分以上ある場合は、食べきれない分は(あるいは無理して食べたくない分は)別にして冷凍庫に入れてください。

これで、長い1日が終わり、帰宅すると食事が待っていることになります。また、オフィスや長時間出かける先に、お弁当を持っていかなければならないときにも使えます。そういう作り置きの食事があると、インスタント食品を買って食べる言い訳はほとんどできません。ぐうぐう鳴るお腹の虫を抑えたいときは、作り置きのいろんなものをまとめて、1食にしてしまいましょう。

さらに付け加えると、食べやすい大きさにした調理済みの食べ物を、プラスチックの容器やメイソンジャーに入れると、持ち運びにも便利です。これで、外出の15分前には準備完了できます。

健康的な食事を準備するのは、長期的な健康目標を達成するのに役立ちますが、ここで1つ重大な警告をしておかなければなりません。すぐに、このプロセスを実行できると思わないでください。フィットネスにおいて多くのことがそうであるように、食事の支度は、より健康的な習慣と時間をかけて上達する、さまざまなスキルの1つでしかないのです。

Stephanie Lee(原文/訳:春野ユリ)

Illustration by Nick Criscuolo.