敏腕クリエイターやビジネスパーソンに学ぶ仕事術「HOW I WORK」シリーズ。今回は、「EZPR」の創設者、エド・ジトロン(Ed Zitron)氏にインタビューしました。
企業が消費者やメディアの注目を集めるためにしのぎを削る広報業界において、エド・ジトロン氏はユニークな存在です。関連業界にいない限り、彼の名前を聞いたことはないかもしれません。彼は誠実で、ちょっとだけ変わっていて、そしてとても仕事ができる男です。
広報にはバランスシートアプローチを使わないことを奨励し、同業者を批判したり、そのテーマで本を書いたりしています。
そんな彼の経営する会社については過去に紹介したことがありますが、この記事では、その興味深い人柄に迫ります。
氏名:エド・ジトロン(Ed Zitron)
場所:カリフォルニア州サンフランシスコ、オークランド
現在の職業:広報・PR会社「EZPR」創設者兼CEO。Twitterアドレス「@edzitron」では、プロのバカをやっています
現在のコンピューター:iMac 5K Retina 27"、iMac 27"、15" MacBook Pro Retina、ASUS ROG G750JZ(ゲーム用)
現在のモバイル端末:iPhone 6+、iPad Air 2(Logitech Type+ Bluetoothキーボードカバーを併用)
仕事スタイル:パブリシティ
── 「これがないと生きられない」というアプリ・ソフト・ツールは?
ADHD(不注意型)と、統合運動障害と呼ばれる学習障害を持っています。この2つのおかげで、どこに行くときでも、仕事を持っていく必要があります。たとえそれが、合理的なリクエストでない場合でも。
Spotlightの機能が優れているので、仕事のほとんどはMacです。フォルダーを美しく整理できるほどしっかりした人間ではないので、手早く検索する必要があるのです。
もっとも重要な"アプリ"は、間違いなく『iMessage』です。これを使って、私の補佐官であるRoyal Hebertを含むたくさんの人と連絡を取っています。彼には、デバイスを問わず連絡ができるよう、IPad Miniを買い与えました。彼は私の脳のアンチテーゼです。とてもしっかりしていて注意深く、彼の脳は直線的に動きます。そのため、「金曜の午後3時になったらこのレポートを送るよう私にしつこくメッセージをする」などの役割を担ってもらっています。電話をかけ忘れないように、電話番号とともにリマインダーを送ってくれたりもします。些細なことかもしれませんが、iMessageのリマインダーに書かれた電話番号をタップするだけで電話できるのは、私にとって心配事を減らすことができるので大切なことです。このように、私のデータディガーであり、人生の世話人であり、用心棒でもある彼を単なるアシスタントと呼ぶのは、多大なる過小評価です。
コンピュータをiMessage、Dropbox、Googleドライブにつなぐ方法も学びました。おかげで、どこにいてもすぐに同じことできるようになりました。
私の脳は常に時速8000マイルで動いているような感じですし、とても感情的で忘れっぽい生き物なので、これは大事です。
iPad Air 2のおかげで、働き方がずいぶん変わりました。私は1分間に120ワードを打つことができますが、Type+キーボードはそれについて来てくれます。どこでもさっと取り出して、たくさんのメールを処理することができます。唯一の問題は、メールアプリとして使っている「Outlook」ですね。これがなかなか、アプリ間でうまく動いてくれない。それは別にしても、Lyft(タクシーサービス)に乗っている20分の間にかなり有意義な仕事をできています。iPadだけではこんなにうまくいかないでしょう。
ソフトウェアとしては、こんなものを使っています。
何でもGoogle:EZPRは、常にGoogleを使っています。Gmailが苦手な人には向いてません。Google Docs、Googleドライブなど、すべてが1か所にまとまっていて素晴らしいです。 『Evernote』:何年か使うのをやめていましたが、iPad Air 2を買ってからまた使い始め、メモを取るのはそんなに難しくないんだなと実感しています。「Skitch」にも接続しているので、スクリーンショットを撮ると即座にクラウドに保管されて便利です。 『Slack』:チーム全体が、1日中使っています。仕事と楽しいことでチャンネルを分けています。何よりも大事なことは、皆がいつでもSlack上で私を捕まえられることです。それに、必要な記録がいつまでも残っているのがいいですね。それが無かったら、たとえばクライアントに送信済みのカバレッジレポートをまた送ってしまうでしょう。緊迫したときでも検索しやすいのが便利です。また、子どものころ「mIRC」を使っていたので、とても自然というのもあります。さらに、多くのクライアントともSlackでつながっています。メールを送るよりも、早くて便利です。
『Freshbooks』:これがなかったら、請求書発行や支払など、お金関係がどうなっていたかわかりません。私のような人間は、すでにお金をもらっているのにまた請求してしまうことがありますが、Freshbooksがあればそれを確認できます。ボタンを押すだけで請求書を発行してくれるので、とても重宝しています。 『Dropbox』:その名の通り、ドロップボックスです。ファイルを保存しておけば、勝手にマシンの間で同期を取ってくれます。すべてのコンピュータで、Dropboxに保存するようにOffice Suiteとブラウザを設定しています。その結果、なくしてしまうファイルが少なくなりました。 『Tweetdeck』:Twitterでバカなことを書くのにかなりの時間を費やしていますが、それでもフォロワーは増えています。Tweetdeckでは、一般的なカラム(メンション/リプライ/お気に入り/リツイート)のほか、拙著『This Is How You Pitch』のメンションを見つけるためのカラムも作っています。本を気に入ってくれてもそうでなくても、Amazonレビューは重要なので。それにしてもこれは便利です。主として、テック/メディア業界で何が起こっているのかを見るために使っています。なぜなら、それが私の仕事ですから。 『Adium』:複数のアカウントを持っているときに便利なチャットアプリです。私はまだ、AIMを使っているんですよ。AIMで話したい人は、edzitronで検索してください。もう3人ぐらいしか残ってませんけどね。ニュースを読むための特に便利な方法は知りませんね。Twitterか新聞(とそのウェブサイト)かな。時代に乗り遅れていると感じるときは、テックニュースサイト「Techmeme」を読みます。
ある意味成功しているとはいえ、私は問題を抱えているので、誰かに頼らざるを得ません。ブレインワークは、前述のRoyalか、仲間のKevinに頼っています。そういえば、Kevinにはまだ適切な肩書が決まってませんね。
── 仕事場はどんな感じですか?
仕事場は2つあります。1つはサンフランシスコの自宅で、もう1つはオークランドの"オフィス"です。チームが全国に分散しているし(サンフランシスコ、ボストン、ポートランド、ニューヨーク)、私の仕事の大半はメールを送ることなので、トイレからでもハワイのビーチからでもできるのです。これは素晴らしいことのように聞こえますが、自宅がリラックスするための場所でなくなってしまうことだけが残念です。ですから、なるべく家と仕事を分けるように努力しています。
私にとって仕事場とは、仕事をしやすいだけでなく、同時に居心地のいい場所でなければなりません。快適で、エネルギーに満ち、インスピレーションを感じられる、そんな場所が理想です。
サンフランシスコの自宅オフィス:比較的静かなエリアに暮らしています。自宅オフィスを作れるだけのスペースがあったのはラッキーでした。でも、すぐにラップトップでいろいろなことを始めてしまうので、ときどき自分を落ち着かせる必要があります。ですから、その家に住み始めたとき、避難場所を見つけました。細長いそのスペースには、大きな窓とiMac Retina 5kがあって、雑念から解放されることができます。ジェスチャーとスワイプがとても気に入っているので、トラックパッドを使っています。また、コミックアートの原画を収集していて、21枚の額縁と、アメリカンコミック『Guardians of the Galaxy Team-up #1』の表紙を飾っています。なぜなら私は、壁を何かしら印象的でゴージャスで、仕事と無関係なもので埋めたいから。そうすることで、何もなくて味気ない空間が、刺激的で元気が出る場所に変わります。つまらない1日でも、顔を上げれば、地元の一流アーティストが描いた美しいアートがあるんです。

そしてこれは、自分がオタクであり、それを誇りに思っていることを思い出させてくれます。私は、『Guardians of the Galaxy』を13回見るほどのオタクなんです。
オークランドのオフィス:家とは全く違う空間がほしかったので、自宅から30分のところにオフィスを作りました。そうすれば、仕事を自宅に持ち込まないようにできると思ったからです(実際は70%程度しか達成できてませんが、改善してはいます)。もともとはコインランドリーだったので、とても奇妙な場所です。巨大なレンガの箱といった感じでしょうか。このオフィスを作った理由は2つあります。
1. 感情的に自宅と無関係の場所で、大きなデスクを置いて、もっと早く、もっとハードに仕事をしたかったから。
2. 私の仕事の多くは、記者と会って話をしたり、相手のことを知ることです。多くのPR会社は、奇妙なミキサーに凝ってみたり、お酒やコーヒーを飲むことに集中しているようですが、それではリラックスした関係は築けないのではないでしょうか。そこで私のオフィスは、記者がリラックスして仕事ができる(これまでに何回かありました)場所か、あまり仕事っぽくない関係を築ける場所にしたかったのです。
多くのPRオフィスは、どんよりしています。そこでお酒を飲めば、最悪のアルコールになるでしょう。そこで時間をつぶせば、重苦しくて陰鬱な、いわば仕事っぽい感じになってしまうでしょう。
その結果、私のオークランドオフィスは、いくつかのセクションに分けることにしました。



スナックやビール、カクテルミキサーなど、フル装備のバーもあります。真空調理器具「sous vide」も持ってます。ステーキを焼いて「ディナーパーティ」をすることも。そこで話すのは、くだらないことばかりです。目的はリラックスであり、どうしても必要がある場合だけ働けばいいのですから。
私が記者とつながる"スタイル"は、「一緒に時間をつぶしませんか?」で、クライアントをゲットしたなんて大きな声で言うことはありません。プロとしての人間関係を築くことは、「今夜は仕事について話し合わなければ」といった類の無理強いをすることではないのです。それに、私のビールやウィスキーを飲んだからといって、何の見返りも期待していません。「見てください。私は元気ですよ。もしよかったら、メールに返事してくださいね」と言うための、ひとつの方法に過ぎないのです。
── お気に入りの時間節約術は何ですか?
究極のライフハックとは、自分の弱みを知って、それを受け入れることです。私はメディアとの仕事は得意で、嫌われないように話すことには長けていますが、スケジュール管理や整理整頓が苦手です。つまり、私のライフハックとは、苦手なことを受け入れて、それを補うのに最適な人かソフトウェアを見つけることです。
── 愛用中のToDoリストマネージャーは何ですか?
ToDoはすべて、RoyalにiMessageで送ります。彼は親友であり、私にとっての優先順位を知っています。タスクを割り当てるときは、「Pyrus」(実は過去のクライアントです)を使っています。誰が何をやっているのかひと目でわかるのでとても便利です。
仕事が遅れているときは、「Due」を使います。こいつは文字通り、タスクを終えるまで(実際は終わったと言えば済むだけですが)しつこく催促をしてきます。イライラするほど突っついてくるので、やらざるを得ない状況になります。ですから、やりたくなくてつい先延ばししてしまうようなことに使っています。そんなことはたくさんあるのですが。
── 携帯電話とPC以外で「これは必須」のガジェットはありますか?
かなりヘンなガジェットですが、「Swash」です。500ドルで、服のプレスとリフレッシュをやってくれます。テレビの通販で売ってそうと思うかもしれません。確かにその類のものですが、学習障害があると、アイロンをいじっていると悲しくなったり怒りを感じてしまうことがあるのです。その点、Swashは美しい。服を広げてクリップに挟んでおけば、10分で完璧に仕上がります。これはつまり、セットしてシャワーを浴びているうちに、服が準備できているということ。おかげで、私の生活における時間とフラストレーションが軽減されました。今では、アイロンを重視している人は多くありません。それか、クリーニング屋さんでプレスまでやってもらう人が多いでしょう。でも、シャツ1枚に2から6ドルもかけるなんて、Swashよりもずっと高くつくと思います。
統合運動障害のせいで、アイロンのような注意力を必要とする作業をするとイライラしてしまいます。そのような状況をひとつでも減らすことで、私の人生は計り知れないほどによくなるのです。
── 日常のことで「これは他の人よりうまい」ということは何ですか?
プロとして人と会い、相手のことを知り、仕事だけでなく個人的な関係を築くことが得意です。PRにおける私の秘訣は、「No」に悩まないこと。そして、仕事と個人的関係の境界線は絶対に崩しません。友人の1人が記事を載せてくれなくても、不愉快になることはありません。書くと言ったのに書かなくても、それが仕事だと思っているので。それで友人関係が悪くなることはありません。友人として、「このメールを読んで、どう思うか教えて」とメールする以上のことは一切しません。
── 仕事中、どんな音楽を聴いていますか?
Queens of the Stone Ageの大ファンです。なので、音楽を聴く日はこればかりですね。とはいえ、最近はSoundgardenとSystem of a Downにもはまっています。本当に集中すべきときは静寂を選びますが、それ以外はたいてい、何かをBGMにかけていますね。
不思議なことに、Ram Jamの「Black Betty」をかけると生産性が高まることがわかりました。いろいろうまく行った日は、Queens of the Stone Ageの「Smooth Sailing」をかけます。1日の終わりにリラックスしたいときは、Foghatの「Slow Ride」がいいですね。
気分が落ち込んでいるときは、Queens of the Stone Ageの「Fairweather Friends」か、Spongeの「Wax Ecstatic」で気持ちを高めます。
音楽は私の気持ちにとても大きな力を持っていて、それをうまく使って仕事を切り抜けています。
── 現在、何を読んでいますか?
Warren EllisとStuart Immonenの『Nextwave』を読み返しているところです。約20ページの原画を入手して、もうすぐ本社に飾る予定です。この漫画は非常によく描かれたコメディで、とても楽しめる作品です。作品中に、Forbush Man、Elsa Bloodstone、Boom Boom、Devil Dinosaurなど、Marvelのキャラクターもたくさん復活しています。
CIAで嘘発見を担当していた著者による『交渉に使えるCIA流 嘘を見抜くテクニック』も読み返しています。残酷ながらも楽しい良書です。私は、できるだけ嘘を言わないようにすることと、自分や愛する誰かを傷つける前に嘘を見抜くことを心がけています。
── あなたは外向的ですか、内向的ですか?
多くの人に外向的だと思われていますが、実際は内向的です。1人になってリラックスしたいと思うことはしょっちゅうです。仕事中で、社交的にならなきゃならないときでも。そのため、人脈作り系のイベントにはほとんど行きません。大人数で話すよりも、3人から6人ぐらいで話すのが好きです。人前で話すこともできなくはないですが(先日50人の聴衆の前でパネルディスカッションに登壇しましたが、少なくとも死にませんでした)、やっぱり1人か少人数の方が楽しめます。
── どのように充電していますか?
ビデオゲームをしたり、映画を見たり、友達と過ごしたり、ちょっと運動したり、ドライブをしたり。
何よりも気をつけているのは、すぐにネガティブになったり深刻に考える癖を打ち破ること。PR関係の人はみんな、自分のことを深刻に考えすぎです。でも、ビジネスは全般的に、何もかもが嫌だと思う状態になりやすいもの。だから、私の中には、自分だけのくだらない動画というバッテリーがあるのです。それは、「The Internet Has Been Wheelclamped」、「Bane Outtakes」、イギリスのコメディショー「Shooting Stars」のJack Deeを侮辱するシリーズのほか、たくさんあります。
正直なところ、Twitterでのばかげた発言は、私の逸脱した思考のはけ口です。それはまるで、脳のリリースバルブみたいなもの。ある程度仕事にも関係していますが、思考を吐き出すための方法なのです。おかげで脳を洗い流すことができています。
Bertieという名のコーギー犬も飼っています。体重が11kgぐらいで、ジャンプだってお手の物。私がいないと悲しむので、仕事中は犬用のデイケアに預けています。午後6時ごろお迎えにいって、家では一緒のソファに座り、綱引きをしたり、おもちゃで遊んだり、ときには私の膝の上でくつろいでいることも。私が悲しい気持ちでいると、私の腕に頭を乗せて顔を覗き込んできます。自分の愛する動物からそんな目で見つめられると、最悪な気持ちだって収まります。
テック業界以外の友達を作る努力もしています。たとえば、1人か2人の記者を除いて、あとはドミニカの僧が1人、科学者が数人、漫画家、アーティスト、それからプロのドッグトレーナーなどと仲良くしています。「テッキー」な人たちに囲まれていないので、安心できます。
料理もリラックスの手段のひとつです。特に、1年前に真空調理器具の「sous vide」を知ってからすっかりはまっており、仕事以外で何かを作り上げている感覚を得ることができています。
── 睡眠習慣はどのような感じですか?
朝は8時半に起きて、夜は午前0時に寝るのが好きです。これはだいたいうまく行っているのですが、寝付きが悪いので、睡眠は十分ではありません。
── 深夜に目が覚めてしまうような考え事はありますか?
私は心配性なので、夜中によく、「おいエド、明日やらなきゃいけないくだらないことを思い出せるかい?」と脳に起こされます。それはときに、カオスな状況とともにやってきて、すべてがダメになるという感覚に襲われます。次の本のためのいいアイデアとともに目覚めることはほとんどなくて、いつも起こされるのは心配事です。昨夜は、「ちくしょう、またラクーンがゴミをあさりに来たか」と思いながら目が覚めました。
── あなたと同業者では、どの点が違いますか?
まず大きく違うのは、テクノロジーのPRをしている人で、本当にテックに詳しい人は珍しいということです。自分が天才だと言いたいのではなく、私は最新のアプリを追いかけていますし、PCを自作することもできます。さらに、業界関係の記事も常に目を通しています。もし本やコミック業界で働いていたら、それらすべてに目を通すでしょう。「売り込もうとしている記者と同じぐらい多くを知ること」が大原則です。完全にそれをするのはできないかもしれませんが、私はその努力を怠りません。簡単ではありませんし、集中力も必要です。でも、記者と一緒に座って、クライアントについての知的な議論ができるのはとても素晴らしいことだと思います。それは、シンプルなこと。ゲーム業界にいるなら、たくさんのゲームをプレイすればいい。テック業界にいるなら、アプリを使ってみて、アプリに関する記事を読めばいい。あとは、重要なプレイヤーについて調べておけば、それだけでいいのです。
私は、100人もの相手に同じメールを送るような、お決まりの売り込みはしません。相手ひとりひとりのことを考えて売り込みをします。見た目や気持ちよりも、結果を重視します。ですから、クライアントを失うと、感情的になってしまいます。私は嘘をつきません。絶対に。たわいのない嘘でも、自分が口にしていることに気づいたら、非を認めて「それはいけない」と言いきかせます。お決まりの売り込みをずっと続けているPR関係者に対しては、公の場で攻撃することも恐れません。また、ハラスメントすれすれの悪い行為でプロモーションを行なっている業界(電話をかけてほしくない人に電話をかけまくるなど)に対しても、容赦なく非難します。
でも、何よりも人と違う点は、友人のMatt Weinbergerが教えてくれました。「お前は、エド・ジトロンであることからキャリアを作りだした」と。傲慢に聞こえるかもしれませんが、この言葉は、私が私であること、ありのままであること、わずかしかコントロールされていないことを意味します。私のTwitterは、ポジティブな考えもネガティブな考えも書いています。クライアントは本当の私を知っています。私は私であることを誇りに思います。たとえ、心配性の愚か者であっても。時に敵を作ることは気になりませんし、いい友達を作ることは大好きです。私はやたらとこびへつらうPR関係者ではありません。おかげで、ひと握りの敵とたくさんのいい友達が増え、私は自分のしていることに満足しています。訳知り顔のPR「専門家」になるぐらいだったら、ビデオゲームについて書いている方がマシです。
── あなたが受けたものと同じ質問をしてみたい相手はいますか?
Warren Ellisですね。それから、"医療物理学者"(原子力安全関連)として働いているPhil Broughtonにも聞いてみたいな。
── これまでにもらったアドバイスの中でベストなものを教えてください
仕事を始めた初日、父に絶対に嘘をつくなと言われました。それ自体はアドバイスと言えるほどのものではないかもしれませんが、とても大事なことだと思います。父に言われてなかったら嘘をついていたかはどうかわかりませんが、私は心から父を愛していて、約束を完全に守っています。
父は、経営コンサルタントとして成功していたので、ほかにも素晴らしいアドバイスをくれました。「自分に負荷をかけすぎるな。さもないと、何もかも失敗に終わる」と。ビジネス的にはすべてのクライアントを引き受けたくなってしまうものです。でも、それでは「成功者」の気分になれても、結局すべてがうまくいかなければ、いい仕事をしているとはいえません。
── そのほか、読者に伝えたいことがあればどうぞ。
PR関係者は、あらゆることをもっと気楽に考えた方がいいと思います。いえ、彼らがネガティブだと言っているのではなく、実際は正反対です。もっとみんな気持ちを緩めて、「そうか、PRのよさだけを語る必要はないんだな」と思ってくれたらなと思います。PRは楽しい仕事だとは思いますが、それに携わっていることを自慢したり、もっとも重要な仕事だなんて言うほどのものではありません。「The Infinity Gauntlet」みたいに私たちの半分がひと晩で消え失せても、直接のクライアント以外は気づきもしないでしょう。
最後に、私からできる最高のアドバイスをひとつ。助けを求めること、身近な人に頼ることを覚えてください。何かがうまくいかなければ、尊敬する人のところに行ってアドバイスを求めることはまったく恥ずかしいことではありません。私は、障害を補助してくれる人を雇いたいと思えるようになるまで、1年以上かかりました。そして、実際にRoyalが私の穴埋めをしてくれるまでは、それを恥ずかしいことだと思っていたのです。必ずしも、フルタイムで人を雇う必要はありません。バーチャルアシスタントでも、同僚にアドバイスを求めてもいいのです。皮肉なことに、弱みは、強みになるのです。
私の働き方はカオスで高速、かつしょっちゅうコマンド+TABでウィンドウを切り替えているので、肩ごしに私を見るとイライラするかもしれません。私のスタイルを褒めてくれる人に頼ることで、仕事がずいぶんうまく行くようになりました。
それから私は、誰のメンターにもなりますよ。
Andy Orin(原文/訳:堀込泰三)