Android:スマートフォンはすでに、新しく派手な機能が持てはやされる時期を過ぎ、ユーザーにとって「馴染むツール」であることが求められています。AppleのiOSもGoogleのAndroidもそれぞれの理想に向かって進化し続けていますが、スマートフォンの使い勝手において最高のユーザー体験を提供できる可能性があるのは、この2社に限りません。
最近ハード・ソフトの両面において再評価されているMicrosoftがリリースしたAndroid用ホームアプリ『Arrow Launcher』は、両者の長所、短所のバランスを上手くとった「使いやすいスマートフォン」を、簡単に実現してくれます。あるいは「史上もっとも洗練されたスマートフォン」を(OSに準じたソフトにおいて)完成させたとすら思えます。
百聞は一見にしかず、使ってみていただくのが一番てっとり早いと思いますが、なるべく分かりやすく、レビューしてみます。
スマートフォンの使い勝手を決めるもの

アイコンの変更や自由度の高いウィジェットなど、Androidのカスタマイズ性は魅力のひとつです。が、使い込んで自分なりに最適化させる手間がかかるというのは、欠点でもあります。その点、Microsoftは本アプリでスマートフォンの本質を突いています。
スマートフォンに求められること
【WHEN】サッと確認したい情報を得る
【WHAT】アプリを能動的に使う
【WHO】誰かと連絡を取る
これらのポイントを押さえれば、スマートフォンの使い勝手は格段に向上するということです。

『Arrow Launcher』には「アプリ」「連絡先」「ウィジェット」「最近(使用履歴)」「ノート(ToDo)」の、5つの画面が用意されており、左右のスワイプで行き来できます。先ほどの分類によれば、【WHEN】は「ウィジェット」「最近」「ノート」、【WHAT】は「アプリ」、【WHO】は「連絡先」となりますが、あなたがどれを重視するかによって、最初に表示させる画面を選べます。

設定画面で「ホームアイコン」をONにすると、その画面をホームに設定できます。各画面の順序を変え、使わない画面は非表示にすることもできます。自分なりの基準で整理整頓している人は少なくないと思いますが、各画面が明確な意味を持つと、はっきりと使い勝手が良くなるのが実感できると思います。
ちなみに「連絡先」は、画面内でコンタクトリスト(電話帳)を呼び出したり、履歴から電話、メールを起動させたりすることもできますので、電話アプリやメールアプリの機能を集約したウィジェットだと考えることもできます。
アプリを整理整頓する

スマートフォンといえば「アプリ」の存在が欠かせませんが、この整理方法もよく考えられています。各画面下側に常に表示される「ドック」そして「アプリ画面」に「アプリドロワー(ドックの真ん中にあるアイコンから入る)」と、3か所に分けてアプリを整理しますが、ここにも工夫と知恵の跡が見受けられます。
アプリの分類
【WHAT-1】ひんぱんに利用するもの
【WHAT-2】めったに使わないが、イザとなったらサッと起動させたいもの
【WHAT-3】それ以外
「ドック」には、上にスワイプすることで「常に表示されている4つの【WHAT-1】アプリ」以外に5つの【WHAT-1】あるいは<【WHAT-2】アプリを置いておくことができます。さらに、主要な機能についてのショートカットも置かれます。
またアプリ画面においては、ユーザーの利用回数を集計して、自動的に利用の多い順で並べ変えてくれます。つまり、何も考えずに使っているだけで【WHAT-1】アプリが集まってくるということ。それに加え、あらかじめ重要なアプリを5つ選べ、上位固定して表示させられる点も気が利いています。
アプリ名の頭文字がタグ付けされており、アプリドロワー内で【WHAT-3】アプリを探すときに、右端のインデックスをタップすればすぐに目的のアプリを見つけられるというのも、他にはあまり見られないポイントでしょうか。
つまり、所持アプリが多い人も、ドックがあればこと足りるという人も、同じようにスムースに使えるという懐の深さを持っているのです。
まとめ
詳しく説明しようとして、少しややこしくなってしまいましたが、ひと言でいうと『Arrow Launcher』とは、ユーザーの使い方を問わず、スマートフォンでやりたいことのほとんどがサッと処理できてしまうホームアプリなのです。
『Arrow Launcher』と同じことは今までも、いくつかのアプリを組み合わせ、細かくカスタマイズできるホームアプリなどを利用することで実現できていましたが、ややこしい設定がつきもので、自分好みに仕上げるのは少なからず面倒でした。それを簡単に、スマートに解決できる点が、『Arrow Launcher』の優位点と言えるでしょう。
モバイル分野においては不名誉な業績に甘んじているMicrosoftですが、Windows 10 Mobileのみならず、このようなホームアプリを作ることができる点から見ると、彼らがモバイル分野に対して力を入れて研究し、取り組んでいることの証明と言えるでしょう。ぜひ試してみていただきたいと思います。
(田中宏和)