Inc.:最近、知り合いから「ニューヨークに行くので泊めてもらえないか」というメールをもらいました。このメールの送り主とは特に仲良くないため、ホテルに予約するような感じで送ってきたのだと思います。私は、その人を泊めたくありませんでした。そして、そのとき私には、次の3つの選択肢がありました。
- 断るのが申し訳なくて「いいよ」と言い、結局惨めな気分になる。
- 断って、多分そのことで嫌な気分になる。
- 断って、嫌な気分にもならない。
もちろん、私は3を選びました。
どんな風に言えば、断っても嫌な気分にならずに済むのかわからない人も多いでしょう。その答えを教える前に、まずはどうして人の頼みを断ると気分が悪くなるのかを理解しなければなりません。
相手の頼みを断るときに「ノー」と言うと、攻撃的な気分になると思います。ほとんどの人は、誰かを攻撃するような人間になりたくありません。「ノー」という言葉にはネガティブな意味合いがあります。または、相手の頼みを断ることに罪悪感を覚え、自分が悪い人間になったような気になるかもしれません。さらには、思いやりのない、役に立たない人間だと思われているような気にもなるかもしれません。その結果、できるだけもめないような選択肢を選び、相手の要求に応じることになります。
断るときには、大抵言い訳のような理由を説明しますが、それはあまり良くありません。たとえば、「泊めてあげたいけど、本当にその時期忙しくて」と言ったりすると、相手に引き続き頼む隙を与えてしまうからです。相手は「今週忙しいなら、来週はどう?」と言い始めます。
今回は、効果的な断り方をお教えしましょう。
1. 簡潔に言う
回りくどい言い方や、妙な言い訳、躊躇するのはやめましょう。それでは相手に隙を与えるだけです。返答を遅らせたり、引き伸ばしたりしてもいけません。必要であれば簡単な説明をしながら、ストレートに断ります。申し訳ないと思う必要はありません。多くを語らない方が良いです。
2. 礼儀正しく主張する
「ごめんなさい、今は無理ですが、泊められるときは言いますね」のような主張です。この言い方であれば、礼儀正しく、かつ自分が主導権を握れます。相手の頼みを受け入れられるときは自分から言う、という実権を握っているのです。「頼りにしてもらえてうれしいのですが、今はきちんとお応えできるだけの時間の余裕がないのです」という言い方も良いでしょう。
3. 相手のたくらみを理解する
意図的にやっているかどうかはさておき、多くの人や組織が、相手を誘導するテクニックを使っています。たとえば、チャリティに対する寄付をお願いするときに「寄付金額は、10ドル、20ドル、30ドル、もしくはそれ以上のどれになさいますか?」と言ったりします。「みなさん20ドルの寄付をお選びいただくことが多いですが、いくらになさいますか?」と同調圧力を利用して、たたみかけることもあります。
4. 一線を引く
相手との関係を見直したり、人間関係における自分の役割を理解したりする時間がないせいで、断るのが難しくなっている場合があります。相手との関係や自分の役割を本当に理解していれば、断ったあとの結果についてそこまで心配することはないはずです。関係が確固としたものであれば、断ったくらいで揺らぐことはないでしょう。
5. 質問で返す
仕事に関する状況ではとても効果的なやり方です。たとえば、上司に1人ではさばき切れないほどの仕事を頼まれたとします。「XもYもZも頼んでいただいて光栄です。ただ、すべてにおいて十分な仕事をするには、2週間ではなく、3週間必要になります。仕事の優先順位をつけていただいても良いですか?」というように質問で返しましょう。
6. 主張を貫く
断ったことを受け入れない相手がいたら、その人はおそらく本当の友だちではないか、あなたに敬意を払っていないのです。自分の主張を貫きましょう。相手に嫌な思いをさせたくないからというだけで、やむを得ず妥協することのないように。
7. 自分中心で考える
相手に頼まれたことではなく、自分の希望や要望をまず第一に考えましょう。自分よりも相手を優先すると、仕事の場合は生産性が低くなったり、恨みつらみが募ったりすることになります。そんなときはこのウォーレン・バフェットの言葉を教訓にしましょう。
成功している人と、とても成功している人の違いは、とても成功している人はほとんどすべてのことに「ノー」と言うことだ。
7 Ways to Say No Without Feeling Guilty|Inc.
Jonathan Alpert(訳:的野裕子)
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