毎年インフルエンザの流行は型が変わるため、それに合わせてワクチンの型も変わります。昨年のように、効果が23%しかなかったというような年もありますが、たとえそうであっても、インフルエンザワクチンは接種しておいたほうが賢明です。

リスクと恩恵とを天秤にかけてみると、インフルエンザワクチンはマイナス面が極めて少ないという点で優秀です。注射は痛いですが、インフルエンザにはかかりません(正確に言えば違いますが)。さらに、あまり深刻な副作用もないようです。無料で接種できる場合もありますし、簡単な問診だけで接種できるので、買い物ついでに病院に寄ってもよいでしょう。

インフルエンザワクチンにはマイナス面が少ないため、異論を唱えてもあまり意味がありません。ニュースサイト「Vox」の記事で、Julia Belluz氏がこのワクチンの抑止力について解説しています。

ランダム比較試験の結果、子どもに対してもっとも高い効果が立証され、このワクチンには十分な効果があることが示されています。6歳未満の子どもの場合、1件のインフルエンザ発症を防ぐためには、6人にワクチンを打てば良いと考えられています。2歳未満の子どもについては、実験の数が少なく、あったとしてもプラシーボ効果の可能性があり、結果はあまり明確になっていません。

一方で成人については、ワクチンの効果が下がります。健康情報サイト「Cochrane reviews」の著者の1人、Tom Jefferson氏の解説によると、「シーズンにもよりますが、症例を1つ防ぐためには平均33~100人にワクチンを接種する必要があります」

つまり、WHOの予測が正しく、ワクチンの型が流行の型に合致した場合、1人の発症を防ぐためには平均33人の成人にインフルエンザワクチンを打たなければならず、予測が外れた年には、100人が接種を受ける必要があります。

もっとも良い対策は、インフルエンザワクチンを打った上で、流行の季節にはこまめに手を洗い、体調が良くないときには無理に外出しないようにするなど、一般常識的な予防法を守ることです。

Beth Skwarecki(原文/訳:コニャック

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