スマートフォンやウェブサイトを見ているとき、私たちは必ず設計されたユーザーインターフェイス(以下UI)の中で操作しています。UIというのは、メールをチェックしたり、記事を読んだり、情報を探したり、やりたいことを終わらせやすいようにデザインされています。考えたことがないかもしれませんが、日常生活のルーティンもUIのようなものです。
UIの設計が良くないウェブサイトを使うときと同じように、私たちの生活におけるUIが良くないと、ストレスになったり、イライラしたりする可能性が高くなります。ただし、自分の生活のインターフェイスなので、自分で再設計することができる、というわけです。
今回は生活のUIを改善する具体例をいくつか紹介します。
通知やポップアップを整理する
メール、電話、留守番電話、SNS、ブログ、ニュース、お気に入りのサイトなど、仕事中には通知がたくさんあります。大事な仕事を終わらせようとしていても、そのような通知が現れてくるものです。
また、記事を読んでいると、購読をすすめるポップアップ画面が出てきます。そのような通知やポップアップ画面が表示されないように、生活のUIをデザインすれば、目の前の仕事にだけ集中できます。
手順を簡略化する
もし、あなたが定期的に運動をしたいのなら、エクササイズを開始するまでに、実際どのくらいのプロセスがあるかを考えてみましょう。ほとんどの人は、ジムで着るウェアなどをバッグに詰め、仕事が終わったらパソコンを閉じ、車を運転してジムに行き、受付を済ませ、着替えて、ジムの中で空いているマシンを探し、それからエクササイズを始めます。この一連の動作は、メールでたとえるなら、7つの動作を完了して、ようやくメール送信画面にたどり着くようなものです。
ぜひ、やりたいことにすぐにたどり着くことができるように、プロセスを簡略化できないか考えてみましょう。自宅の床の上で腕立て伏せをしたり、浴室の側にあるバーで懸垂をしたりすれば、ちょっとして休憩などで、1日数回10分間のエクササイズが可能です。日常生活を見直し、手順が多過ぎるものがあれば、途中の手順を省くことができないかを考えてみましょう。面倒くさいと思わずに、やりたいことができるようになります。
広告やセールストークを排除する
ウェブサイトで迷惑な広告やセールストークをどのくらい見ていますか? 誰しも、その手の広告をまったく見ずに、記事を読んだり仕事を終わらせたりしたいものです。日常生活でも同じです。セールストーク(もしくは無駄なおしゃべり)をする人には、机のそばに来てほしくないでしょう。また、テレビやラジオや雑誌でも、広告は見たり聞いたりしたくないものです。
売り込みや勧誘をしそうな人のいる場所を避けることで、生活の中の「アド・ブロック」が可能です。生活の中で、広告を排除するためにできることはあまりありませんが、音楽やビデオのストリーミングサービスでは広告のない有料プランにしたり、雑誌自体を買うのをやめたり(もしくは、広告のないサービスを使って記事を読んだり)、広告が多いメルマガの購読をやめたりすることはできます。やたらと勧誘しようとする友だちは、SNSで友達から消去をしたり、距離を置くなどということも検討しましょう。
大事なものを見つけやすいようにする
ウェブサイトで、大事なものがページのどこにあるのかわかりづらいと、私たちはフラストレーションを感じます。UIの良いサイトは、一番大事なものはすぐにわかるように、最初に、もしくは真ん中に、大事なものが設計されています。しかし、日常生活の中では、まったく大切ではないもの(テレビやFacebook、気が散るもの、ジャンクフードなど)がわかりやすいところにあったり、見つけやすくなっています。逆に、一番大切なもの(重要な仕事、運動、健康的な食事、好きな人との大切な時間など)は、そのような邪魔なものの裏に隠れていることが多いです。では、このような大事なものを、目立つように一番前に持ってくるにはどうすればいいのでしょう?
パソコンを開いたときに、Facebookやほかの気が散るものを隠し、大事な仕事に関するものだけが見えるようにします。ジャンクフードは家の中に置かず、お腹が空いたときには、健康的な食べ物の選択肢しかないようにします。
次に、好きな人と大切な時間を過ごすためには、帰宅時すぐにわかるように、玄関に一緒に楽しみたいものや、アクティビティを準備しておきます。たとえば、子どもと一緒に読みたい絵本や、一緒に遊びたいローラーブレードなどを、玄関の中に置いておくということです。もしくは、奥さんと一緒におしゃべりをしたいのなら、ティーカップを置くのもオススメです。
生活も美しくデザインする
ウェブサイトやアプリのデザインは、単に表面的に飾るために美しくデザインされているわけではありません。使い手の気分や体験、楽しさや安心感を生むために、デザインされているのです。良いWebサイトやアプリでは、ひとつひとつの動きでイライラしたり、ぎこちないと感じたりせず、楽しいと感じます。生活でも同じです。気が散ったり、邪魔だと思うものは排除し、楽しく穏やかな気持ちになれるものを取り入れましょう。
抽象的な考え方なので、具体例はあげるのが難しいです。また、目標やどのような経験をしたいかによっても設計は変わります。しかし、何を排除し何を残すのかを考えるのは良いことです。
実際には、私たちは日常生活で起こることをコントロールすることはできません。そこまでしようとする必要もありません。しかし、生活のUIをもっと素敵に、賢くシンプルにするにはどうすれば良いのか考えることは、惰性ではなく、より意識的に生きることにつながります。
Redesigning Your Life's Interface|Zen Habits
Leo Babauta(原文/訳:的野裕子)
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