Inc.:マルチタスクを行うと成果が損なわれるという研究があります。それでもマルチタスクをこなさなくてはならないとき、以下のヒントが役立つでしょう。

ハンズフリーであっても携帯電話で通話しながら運転をすると、飲酒運転と同様に運転に悪影響を与えるという研究をご存じですか?

マルチタスクは脳を物理的に萎縮させてしまうという研究もあり、さらに、Eメールやテキストメッセージの送信を同時にすると、IQが10ポイント低下するという研究もありますが、聞いたことはありませんか?

このような憂慮すべき研究成果にピンとこなくても、数多くの事例が示すように一度に複数のことをしようとすると、頭がもやもや、イライラした経験があるかもしれません(ただし、すんなりとタスクの切り替えができる、ごく限られた人もいます)。

マルチタスクに対する科学的根拠が問題なのでしょうか? 現在、世界がどのように機能しているかを考えると、私たちの多くはマルチタスクを避けることはできません。Eメールを送信しながら、Googleで検索しながら、テキストメッセージに返信しながら何かをしているという理由で脳がオーバーヒートし、成果を出せなくなるのは運命なのでしょうか?

最近のフィナンシャル・タイムズの記事を信じるなら、かならずしもそうとは言えないようです。

経済学者のTim Harford氏は、その記事の中で、現代社会がもつ「マルチタスクへの強迫観念のルーツ」について調査したことを書いています。そして、その中で複数の特殊な事例を見つけ、先に述べたような反マルチタスクの研究成果についてまとめ、さらにもう一歩踏み込んだ研究結果を提示しました。

好むと好まざるとに関わらず、マルチタスクは私たちにとって時に避けられないものです。そこで、彼はこの事実を最大限利用して、クオリティを下げずにマルチタスクができるようになるヒントを示しました。以下に例をあげました。

1. オンラインの時間を選ぶ

何も考えずに食事をしたり、だらだらと時間を過ごしたりするべきではありません。もちろん、情報もそのような形で消費してはいけません。『Live This Book』の著者であるTom Chatfield氏は、2つのリストを作るよう勧めています。1つはインターネットに接続して行ったほうが良い仕事、もう1つはオフラインでしたほうが良い仕事です。「インターネットに接続する時間をよく考えて行動すべきです」と、Harford氏は書いています。

2. スマートフォンの使用を制御する

20秒ごとにスマートフォンを操作する必要がありますか? ないですよね。しかし、通知には注意を払わなければなりません。そこで、Harford氏は次のように提言しています。「Eメールにファイリングシステムを設定し、よく考えて返信しなければならないメッセージが来たときには、そのメールを受信箱から要返信フォルダに移動するよう設定しておきましょう」

3.脳全体を活用する

マルチタスクが与える悪影響についてかなり述べてきましたが、有益性が認められる分野が1つあります。それは、創造性が必要な分野です。異なる領域からアイデアを引き出し、組み合わせることは革新的なアイデアの元になるようです。

「クリエイティブなアイデアは、複数の分野にまたがって研究している人や、さまざまな組織やたくさんのプロジェクトを横断的に仕事をしている人に、よく浮かぶものです」とは、作家であり科学的研究専門の心理学者であるKeith Sawyer氏の言葉です。だから、もしマルチタスクを試みるときには、クリエイティブなひらめきが生まれるかどうか試してみましょう。

3 Ways to Multitask Well (Even Though Your Brain Hates It)|Inc.

JESSICA STILLMAN(訳:コニャック

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