「テレビなんか見たって、ためになるはずがないじゃないか」などと思っていませんか? 最近発表されたある研究によると、『マッドメン』や『グッド・ワイフ』といった質の高いテレビドラマには、「心の知能指数(EQ)」や「共感力」を高める効果があるそうです。学術誌『Psychology of Aesthetics, Creativity, and the Arts』に発表された、オクラホマ大学心理学科の大学院生であるJessica Blackさんと、同大学同学部のJennifer L. Barnes准教授を筆頭研究者とする研究では、参加者たちを2つに分けてテレビを視聴してもらい、両グループの比較が行われました。第1グループには『マッドメン』や『ザ・ホワイトハウス』『グッド・ワイフ』『LOST』などの高い評価を受けているテレビドラマを、第2グループには『シャーク・ウィーク』などのノンフィクション番組を見てもらいました。
そのあと、参加者たち全員に、心理学者がEQを測定するためによく用いる「Reading the Mind in the Eyes」テストを受けてもらいました。すると、テレビドラマを見たグループが出した共感力のスコアは、ノンフィクションを見たグループのそれと比べて著しく高かったのです。架空の人物たちが苦難を経験する様子を目の当たりにすることによって、たとえば、「もし自分がその登場人物の立場だったら」というように、彼らが抱える問題をさまざまな角度から考えるようになるからではないか、とBlackさんとBarnes准教授は推測しています。
多くの人たちが、共感力とEQは、「良き人であること」の根幹を成すものだと考えています。これなら、良質なテレビ番組をもっと見る絶好の言い訳になるかもしれませんね。
Patrick Allan(原文/訳:阪本博希/ガリレオ)
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