採用担当者は、求職者との面接やオファーの詳細設定、そして採用の決定について重要な役割を果たしています。ですから、就職活動のコツを誰に訊くべきかと言えば、採用担当者をおいてほかにありません。
私は、何人かの採用担当者を探して「求職者が何を心得ていれば仕事が楽になりますか?」「ほとんどの人がしないけれど、ぜひすべきことは何でしょうか?」というような質問をしてみました。
以下にご紹介する彼らの回答は、どんな採用面接や求職活動のコツを読んでも書いてある「当たり前のこと」のように見えるかもしれませんが、採用に関わる重要な人々が言っていることでもあります。必ず知っておかなければなりません。
迅速であるべきだが、早すぎる時間に面接場所に行ってはいけない
面接に早めに行くとキチンとした人に見えますよね。でも、早いのと早すぎるの間には微妙な違いがあります。Resume Strategist社のシニア・キャリア・コンサルタントを務めるLela Reynolds氏は、30分以上早く行くのは逆効果だと言います。採用担当者にはその30分の間に予定していることがあるかもしれず、応募者がそんなに早く来て待っているのがわかると、気が散ってしまいます。面接には、10分~15分前に到着するのが1番良いでしょう。もし、ずいぶん早く着いてしまったら、近くでコーヒーでも飲むか、面接会場の建物のロビーで待機してください。
募集条件を満たせない仕事に応募しないこと
募集条件を満たしていないのに、何とか面接にこぎつけようとする応募者を精査することほど、採用担当者の時間を無駄にすることはありません。仕事内容をしっかり読んで採用側が求めていることの少なくとも85%は満たすことができる仕事にだけ応募しましょう、と人事のプロでありRising Star Resumes社の創設者でもあるLynda Spiegel氏は言います。最低限の条件だけは、かならず満たしているのも大切です。
もちろん、仕事内容に記載されているすべてのスキルや資格をもっていなくても、諦める必要はありません。しかし、その仕事が自分の力の及ぶ範囲から逸脱している場合は、自分や他人の時間を無駄にしないようにしましょう。
応募する会社のことを調べる
このアドバイスは当たり前すぎるかもしれませんが、話したことのある採用担当者のほぼ全員が、これが最大にしてもっとも大切なことだと言っています。応募する会社のことを調べないのは、試験勉強をしないで試験に臨むようなものです、とLexION Capital社のCEO兼創設者のElle Kaplan氏は言います。
私のような採用担当者は、応募者が会社のことをよく知っていると感心します。さらに点数を稼ぐには、会社の価値やミッションに、共感するところがあるか調べると良いでしょう。そうして、採用担当マネージャーに、この会社に入ることがどれほどワクワクするのか、その理由を説明することをおすすめします。
面接の部屋に足を踏み入れる前に、応募した会社のことを知っておきましょう。どのようにその会社は生まれたのか、会社とその業界に今何が起こっているのか、そして、会社はどこに向かって進んでいるのか知っておくべきです。会社のウェブサイトにくまなく目を通して、さらにその奥にあるものをつかみましょう。関連するビジネスニュースや、LinkedInのページを含め、その会社のソーシャルメディアの投稿を探しましょう。
Lending Club社の人事の専門家であるAngela Loeffle氏は、面接官になる人と幹部についても調べなければいけないと付け加えています。
自分を面接する予定の人たちとその会社の幹部、あるいは重要な決定権を持つ人のことを知っておくべきです。誰と面接するかわからないですって? 面接先に確認してください。どんな人に話をするかを知っていると面接中は気が楽になりますし、びっくりするようなことに遭遇せずにすみます。LinkedInのようなウェブサイトがあるのですから、その会社の幹部や、誰がどの部署で仕事をしていて、自分が誰と面接するのかを知らないという言い訳はできません。
上記のような知識があれば、会社へ貢献できることや、自分が企業文化をどのように考えているのかしっかり伝えられるでしょう。
お見合いだと思って臨む
採用担当者は、技術面の適正と同じように企業文化への適正も考慮します。チームに対する個人の考え方が重視されるので、面接中には自分の性格をしっかり紹介することが大切です。面接はお見合いのようなものだと思ってください、とAffinity HR Groupの社長を務めるClaudia St. John氏は言います。
面接は、お見合いの形をとったビジネスだと認識する必要があります。お見合いでは、両者がお互いに合っていると思う必要があり、ここで採用担当者が求めているのは、適合性であり、チャンスであり、可能性です。求職者が理解しておくべきことは、彼らの抱えている問題を、どのように自分は解決できるのか説明する方法です。
デートに失敗するときと同じで、求職者が自分のことばかり話しすぎたり、普通で退屈な受け答えをしたり、熱意や興味があるように見えなかったりすると、面接は惨敗に終わります。採用担当者は、応募者が自信と知性と創造性を示してくれるのを求めています。それと同時に、誠実さと若干の無防備さも(極端に無防備ではだめですよ)求めているようです。デートとそっくりでしょう?
面接でする質問を準備していく
基本的なことなのに求職者に忘れられていて、がっかりすることがあります。それは、質問を準備してこないことです。Loeffler氏は、候補者が「いいえ、何も質問はありません」と言うと、ショックだし、がっかりすると言います。質問するということは、その会社や求人をちゃんと調べたということを示しています。
オンラインではわからなかった、知りたいと思うことを質問しましょう。その職についたら貢献できそうなプロジェクトのこと、会社が成長の機会をどのように与えてくれるのか、自分が働くことになる部署はどんな雰囲気か、はたまた「あなたが夜更かししてしまう原因は何ですか?」のようなものでもいいのです、とLoeffler氏は言います。
もっと質問のアイデアが欲しいですか? それなら、「面接で「質問はありますか?」と言われたときに尋ねるべき5つのこと」「次回の採用面接で聞いてみると良い12の質問」などの記事を参考にしてください。
履歴書に自分のPCスキルをすべて書く
採用担当者が履歴書を見るのは平均でたった6秒間ですが、だからと言って履歴書を効果的に作れないわけではありません。たとえば、今まで使ったことのあるソフトウェアを記載してみてください。
Accounting Principals社のAllie Meyer氏いわく、
今まで使ったことのあるソフトウェア・プログラムをすべて記載することがどれだけ必要不可欠かは、いくら強調しても足りないぐらいです。実際、これは非常に重要な話かもしれません。
企業の採用をお手伝いするときは、その企業で使用されているソフトウェアと、それを使った経験があるかどうかが、かならず議題に上がります(当然、90%の企業は使用経験を求めます)。私たちが求めている経験をもっているなら、きっとあなたに電話します。そのスキルがちょっとぐらい足りなくても、やはり電話して話をするでしょう。クライアントが、足りない分のスキルはトレーニングをしてもいいと思うかもしれないからです。
もちろん、これはソフトウェア・プログラムを使う能力を必要とする仕事にしか該当しないでしょう。しかし、ほかの事例がないとは絶対に言えません。
ウソをつくとばれるかもしれない
ウソはつかないでください。誇張もしないでください。きちんとした仕事に応募しているなら、ウソがばれる可能性があります。コンサルタント兼作家のBarry Maher氏いわく、
これまで、応募者の言うことを額面通りに受け取っていた私も、最終的には、自分でしっかりと履歴書をチェックするようになりました。そうしなければ、応募者の本当の姿がまったくわからなかったからです。学歴や報酬に関すること、過去の仕事内容と実績、受賞歴や勤続年数など、チェックするところはたくさんありました。内容を誇張したり、ウソをついたり、年齢を若く見せようとして生年月日をごまかしたりする人もいたのです。
ある応募者に「あなたが記載している受賞歴について、あなたの前職では誰も聞いたことがないみたいですが」と問うと、「それは自分が3年連続で受賞したので、その栄誉をたたえて賞が廃止されたからかもしれません」とその人は答えました。
要は、履歴書は自分でしっかりとチェックしたほうが良いということです。それから、応募者に「ここに書かれている内容とは違うことを発見する可能性があるかもしれません。今、説明しておきたいことがありますか?」と聞きます。そこから告白されることには、本当にびっくりさせられますよ。
求職中は自分の実績を大きく見せたくなりますが、履歴書のウソが発覚して多くの著名人が面目を失っているように、ウソはリスクが高すぎます。これから習得する予定のスキルについてなら、一時的にウソをついてもわからないかもしれませんが(それでもリスクがありますが)、そうでなければ、時間を無駄にしたり恥をかいたりしないように本当のことだけを書きましょう。
礼状を出す
手書きの礼状なんて古臭いやり方に見えるかもしれませんが、今でも心のこもったやり方だと思われることに変わりはありません。古臭いやり方だからこそ、良い意味で目立てるかもしれませんよ。SaleCoaching1社の創立者であるMike Smith氏いわく、
手書きの礼状を面接官に送りましょう。私はこれまで1000人以上と面接しましたが、5人しかこれをした人はいませんでした。必ず記憶してもらえるはずです。
お礼にはメールをもらうほうが好みの人もいるかもしれませんが(この件に関してはさまざまな意見があります)、いずれの方法であっても、礼状を送ると、その仕事に対する本気度を示すことができます。真面目に言うのですが、たとえ採用されなくても礼状は出しましょう。
しつこく結果をせかさない
面接結果が出るのを長い間待たされたり、音沙汰がなかったりするのは嫌なものですが、採用担当者は、しつこく追いかけられるのを煩わしいと思っています。1番良いのは、面接が終わったあとで、結果が出る日時を確認することでしょう。そうすれば、メールでフォローアップしておいて、ほかの求職活動に専念できます。1カ月以上何の連絡もないなら、採用されなかったと思っていいでしょう。
採用担当者の立場になって考える
採用担当者も人の子であることを、わかってください。彼らは人の心が読めるわけではありません。だからこそ応募者は、会社への質問や仕事に適正があること、自分の性格などを伝えなければならないのです。Break into Tech社のCEOであるJeremy Schifeling氏は次のように述べています。
私がLinkedIn社で採用を担当していたときのことですが、応募者は誰も私の立場に立って考えてくれませんでした。似たような履歴書とカバーレターが、山のように積まれている前で座っているのがどんな気分か、想像してみてください。内容も大体同じです。「親愛なる担当者さま、私はXという仕事に応募したいと思います。なぜなら~」。瞼がくっつきそうになる気分がわかりますか? テンプレート通りの応募書類の山に目を通すのは、まさにそんな感じなのです。
次に、履歴書の山の中から、こんなものに遭遇したときのことを想像してみてください。「親愛なるジェレミー、私は世界一のマーケターではないかもしれませんが、世界一のLinkedInのファンです。LinkedInが私の人生を変えたときのことをお話しさせてください」。キラリと光るものがあると感じませんか? 先を読み進みたいと思わせるセンスがあれば、仕事で読まざるを得ないという気持ちを忘れされてくれます。
要するに、採用担当者もロボットではなく人間だということです。ぜひ、おもしろく読める履歴書を提出してください。
最後に、採用担当者はあなたの就職活動の成功を心から願っています。
Melanie Pinola(原文/訳:春野ユリ)
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