「スーツケース パッキング術」と検索すると、人によってやり方に大きな差があることがわかります。「服は丸めて」という意見があれば、「折り紙のように束ねて」という意見もあります。パッキングキューブや圧縮袋などのツールを勧めている人もいます。どのやり方を信じていいのかわからなかった私は、たまたま先日旅行に行く機会があったので、複数の方法を試してみることにしました。
私はもともと几帳面なほうなので、今まで有名な省スペース術(靴下は靴に詰める、一番かさばる服を着て飛行機に乗るなど)を駆使して、効率よくパッキングをしていました。でも、服の収納の仕方となると、丸めるのがいいのか、たたむのが良いのか、はたまた別の方法があるのか、わかっていませんでした。果たしてどの方法なら、しわにならずにスペースを有効的に使えるのでしょうか?
測定方法
各手法の効果を測るため、こんな方法をとりました。
- 私と娘の服を5日分パッキングします。
- 空いたスペースに、私のTシャツが何枚入るかを数えます。その際、服を押しつぶしたりせずに、スーツケースのジッパーまでを満タンと定義します。
- パッキング時はしわが寄らないことも重要なので、ドレスシャツを数枚と夫のカーキズボンを1本追加して、しわのでき具合をチェックします。
これはあくまでも非公式な実験であることをご了承のうえ、結果をご覧ください。ひとことで言えば、どの方法にもメリットとデメリットがありました。結局、すべてに勝る唯一のテクニックは、存在しなかったのです。
たたむ:省スペースは期待できないが、早くて簡単な方法

多くの人が、衣服をたたんで積み上げるという方法をしているのではないでしょうか。洗濯物を引き出しにしまうのと同じ要領で、楽なのでしょう。
しかしこの方法だと、いろいろな形の大きさのまばらな服ができあがります。それらをパズルのようにうまく組み合わせていかない限り、服と服との間に無駄なスペースが生まれてしまいます。それでも、子ども服のように同じ大きさだったり、夏服だけだったりすると、それほど問題にはならないでしょう。
スペースを最大限活用するために、使いやすい順番にではなく、うまく収まるように衣服をしまうのが一般的かもしれません。でも、1日分ずつのセットをつくり詰めるという方法もあります。たとえば、最終日用のシャツとズボンを1番下に、その前日分をその上に重ね、さらにその前日分をその上に重ねるといった具合です。これはわかりやすくていいのですが、スペースをかなり無駄に使うことになります。
最初の実験では、1日分ずつセットをつくって詰める方法を試すことにしました。5日分を順に積み重ねたあとで、空いたスペースに折りたたんだTシャツを入れるという方法です。
実験結果
- スペース:隙間のスペースにTシャツ16枚を詰めることができました。
- しわ:カーキの短パン、ドレスシャツともに、折れ目の部分に、明らかなしわができていました。
つまり、この方法は広く使われているものの、スペースを有効活用できる方法ではありませんでした。目的地に着いたら、服をスーツケースから出して引き出しにしまう人にとっては、すぐにできるのでメリットなのでしょう。
次に、折りたたんだ服をファイルのように立てて詰める方法も試してみました。自宅ではこの方法を採用しています。入っている服が一目瞭然なので、着たい服を選ぶのに重宝します。そこで、スーツケースでも同様にやってみました。

実験結果
- スペース:追加のTシャツ22枚を入れることができました。詰めればもっと入ったと思います。この方法なら縦方向に服を多く収納できますし、両脇のスペースも利用できます。
- しわ:たたみ方が同じなので、先の積み上げる収納方法との違いはありませんでした。
束ねる:しわ対策にベスト

束ねる方法(詳しい動画がありますので、ご覧ください)は、もっとも賢明なパッキング術かもしれません。服を戦略的に積み重ねたあとで、折り紙のようなパッケージ状に、しわが寄らないように折りたたんでいきます。しわの寄りやすい服が外側になるようにして、しわがついてもいい服(下着、靴下など)を包んでいくのがポイント。しわを減らしつつ、空間も上手に使えます。
理論的には素晴らしい方法なのですが、どのような場面でも使える万能な方法ではないようです。私も娘も夫も、Tシャツと短パンしか持っていなかったので、全体を包み込むための長袖やズボンがありませんでした。また、中心部の1枚がほしいだけなのに、すべてを開かなければならないのもデメリットだと思います。
とはいえ、やはりしわ対策には優れた方法だと言えるでしょう。
実験結果
- スペース:通常のたたんで積み重ねる方法よりもたくさん詰められるような気がしていました。しかし実際は、追加Tシャツ18枚と、あまり差がありませんでした。この方法の成否は、いかに複数の服を交互にたたんでいけるかにかかっているようです。もっと練習が必要ですね。
- しわ:今回試した方法の中では、いちばんしわが少ない結果でした。
丸める:空間を有効的に使えるが、しわは減らない

実験を始めてすぐに、たたむ方法との違いが明白でした。
軍隊方式の丸め方をマスターしなくてもいいんです。ただ丸めるだけで、服が本当にコンパクトになります。
自由自在に詰められる反面、取り出すのが一苦労というデメリットもあります。また、この方法はしわが少ないと言われていますが、実際は、上級テクニックを持たない限りしわが生じます。私のやり方では、たたむ方法よりも大きなしわができてしまいました。

実験結果
- スペース:なんと追加Tシャツ31枚(自分のTシャツでは足りず、夫から借りるはめに)。コンパクトに収まるので、たくさん詰められます。
- しわ:私が下手なだけかもしれませんが、正直この方法は、たたむよりもしわができやすいのではないかと思いました。ですから、ドレスシャツを丸めるのはおすすめできません。
圧縮袋:かさばるものに最適

「圧縮袋を使えば、スペースが3倍に!」なんて宣伝文句をよく目にしますが、実際はどうでしょう。
今回は、掃除機で吸うタイプではなく、ジプロックのような袋に服を入れて、丸めて空気を抜くタイプで実験してみました。
実際やってみると、空気を抜いたあとの服を平らにするのに一苦労。また、1つの袋に入れられるのは数枚程度なので、すべての服に使おうとすれば、かなりの袋を買わなければなりません。しかし、毛布やコートのように、たたんでも丸めてもかさばるものには、お金を出す価値があると思います。

使用済みの服を入れておくのにも便利です。一度着た服を、丸めなおしたりたたみ直すのは大変ですので、圧縮袋にポイポイ入れて空気を抜くだけでスペースを最大限に利用できるのは便利。お土産を入れるスペースもできるってわけです。
実験結果
- スペース:追加Tシャツ16枚と、通常のたたむ方法との違いはほぼありませんでした。今回の旅行では、圧縮の効果を発揮できるほどかさばる服がなかったことと、1つの袋に数枚の服しか入れられなかったことがその理由でしょう。
- しわ:これでもかというほどに圧縮したわりには、取り立ててしわが増えることはありませんでした。
パッキングキューブ:合わせ技に最適

最後の実験は、パッキングキューブです。巷では人気の方法です。私も初めて試してみて、ようやくその素晴らしさを実感しました。
パッキングキューブはスーツケースのスペースを有効活用するというよりも、むしろ占有するスペースが増えてしまいます。キューブを使うと服があまり移動しないのでしわになりにくいと言う人もいますが、私にはその理論が理解できません。
しかし、パッキングキューブには、欠かすことのできない素晴らしい点が1つあります。それは、服を整理した状態で保てること。
丸める方法は、省スペース性に優れているものの、目的別の整理ができませんでした。たたむ方法は自然で論理的ながら、省スペースは期待できませんでした。束ねる方法は効果てきめんながら、服を取り出すのが手間でした。
これらの問題をすべて解決するできるのが、パッキングキューブです。各テクニックと併用することで、丸める、たたむ、束ねるなどのメリットを享受しつつ、整理もできるのです。
結局、ベストな方法はなに?
ベストなパッキング術は、今回ご紹介した方法をすべて組み合わせることだと思います。しわになりやすい服は束ね、空きスペースには丸めた服を詰め、かさばる物には圧縮袋を使う。そして、パッキングキューブを使うことで整理した状態にすることができます。
これで、パーフェクトなスーツケースのできあがりです。ぜひ、パッキングを楽しんでください。
Melanie Pinola(原文/訳:堀込泰三)