先週の火曜日の昼食は、牛ひき肉と野菜炒め定食でした。1週間前の食事でも思い出すことができます。毎日食事日記をつけているのですから。食事を記録し、管理すれば、自分の食生活がダメな方向に変わっていっているとしても、すぐに手を打つことができます。
もし、体重を減らしたいと思っているなら、食事日記をつけることをおすすめします。今回は、食事日記をつけるべき理由と、日記を利用して体重を減らすためのコツをご紹介します。
どうして食事日記をつけるべきなのか
食事を毎回記録するのは、時間的に厳しいと感じるかもしれません。しかし、食生活が気になるけれど食べるのも大好きという人は、毎日自分が何を食べているのかを正確に知るべきなのです。自分の食習慣を知ることで、より良い習慣を身につけ、体重を管理することができるようになります。
『米国栄養士会雑誌』に掲載された研究レビューに、「体重減少と、地道に食事を記録することのあいだには関連性がある」と書かれていました。人間の記憶は曖昧です。昨夜の夕食を思い出すことができますか? チャーハンと春巻きを食べたことは思い出せたとしても、自分の食べた物のカロリーがどれくらいあるのかは、正確にはわからないでしょう。そのうえ、体重を減らそうとしているとき、ほとんどの人は自分が食べた量をかなり少なく見積もります。こんな状態でうまくいくのでしょうか?
食事日記をつけることのメリット
「自分を地道に監視することで体重を減らせる」という研究結果を、実際に生かすにはどうすればいいのでしょうか?
体重を減らすのに役立つ
体重を減らすには、運動だけでなく、食事も変えるのも効果的です。したがって、食事を監視するのは重要です。
ほとんどの人は、毎日自分がどれくらいの量を食べているのか認識していません。体重を減らすことも増やすこともできない場合は、自分の目標に合ったカロリーを摂取できていません。「MyFitnessPal」のようなアプリを使うなどして、毎日自分の食事を記録していると、確実なデータが手に入ります(筆者は「CRON-O-Meter」というアプリを使っています)。どこが悪くて、どこが改善できるのか、データでくまなくチェックすることができます。
1〜2週間経っても体重や体に何の変化もなかったら、まずは自分の食事の記録を調べます。ファストフードの食べ過ぎだったのかもしれませんね。問題点はすぐに明確になるはずです。
自分が食べている物の成分がわかる
一定の期間、食事を記録し続けていると、自分が食べている食品の成分や、そこから単に栄養を得ているだけなのか、美味しくて幸せな気分になっているのかがよくわかります。たとえば、砂糖のかかったドーナツを食べると、おいしいと思うでしょうが、脂肪と炭水化物の割合は大体3:4なので、満腹にもならなければ、健康にもあまり良くありません。食べ物について知れば知るほど、ご飯茶碗1杯や170グラムのステーキがどういった成分なのか、おおよそわかるようになります。
そうなれば、食事を選ぶときに正しい判断をくだせるようになり、健康的に食べられるようになるでしょう。「痩せられる」「高プロテイン」「低脂肪」「糖分カット」のようなマーケティング用語にも左右されなくなっていきます。
合わない食べ物を見分けられる
私は以前、特定の時期に湿疹が出ていましたが、毎日食べている物に原因があると気付きました。調べてみると、特定の加工乳製品やピーナツバター、トマトベースの製品が、湿疹の引き金になっているとわかりました。その食品を取らないようにしてから、湿疹を治すことができました。
食事を記録したうえで、自分の体が発するシグナルを観察していると、適切な治療法や対処法が見つかるかもしれません。自分の体のことではありますが、直感だけで判断するのは難しいものです。
イライラしたり、発疹が出たり、頭痛がしたり、急に太ったりするのは、アレルギーのサインかもしれません。栄養士や医師に相談したほうがいいでしょう。食事の記録のような、確実なデータがあると、体が許容できるもの・できないものを判断するのに役に立ちます。
記録するのに必要なもの
自分に合った食事日記アプリを見つけたら、あとはそれに食べた物や量を入力していくだけです。食事を記録するときの気分やエネルギーレベルもメモしておきましょう。暇だから食べているのか、本当にお腹が空いて食べているのか、はっきりさせようということです。
紙とペンで記録するなら、栄養価を調べるという作業が必要になります。フルーツや野菜、穀物、肉類は、文部科学省の「食品成分データベース」には、信頼できる数字が掲載されています。また、ほとんどの会社やレストランのウェブサイトには、製品や料理の栄養価のデータがありますが、その数字は100%正確ではない、ということも頭に入れておきましょう(許容範囲ではありますが)。
また、食事の記録は正確さがとても大事ですが、レタスの葉1枚の重さまで記録する必要はありません。カロリーはあるけれど気にしなくてもいい食品は無視しましょう。
カロリーか? 栄養か?
カロリー計算をしていると、栄養価の低い食べ物に向かいがちです。たとえば、子供向けの朝食スナック1枚と、オートミール1/2カップに1%の牛乳1/2カップ入れたもののカロリーを比べてみましょう。どちらも約200kcalですが、満腹度、栄養価、重さ当たりの価格もまるでちがいます。
健康的な食事をしているならカロリーは関係ないという意見もありますが、体重を減らしたいのであれば、食事の質とカロリーはどちらも重要です。健康的な食事にもカロリーはあり、ヘルシーの代表格のように言われているアガベシロップ、ナッツ、ココナッツオイル、キヌアなども、かなりカロリーがあります。ヘルシーなイメージに惑わされて大量に食べていると、体重計に乗ったときに恐ろしいことになります。
また、炭水化物、タンパク質、脂質といった主要栄養素を計算する方法もあり、こちらのほうが選べる食品がかなり多くなります。
食事日記を成功させるコツ
食事日記をつけるのは、面倒だと最初は思うかもしれません。以下に、食事日記をつけるのに便利なツールやコツをご紹介します。きっと役立つはずです。
- 食事を何に記録するか決める
ノートとペンを使うにしろ、スマホアプリを使うにしろ、食事日記を長続きさせるには、自分に合ったやり方を選ぶのが重要だということが『Eating Behavior』誌に掲載された研究でわかっています。同じ食べ物を食べたときに履歴を利用でき、栄養価のデータをすぐに引き出せるので、個人的にはスマホアプリが便利だと思います(データがまちがっていないか、確認しておくのを忘れずに)。
- 最初から量を気にしない
最初の週は、量を気にせず、食べた物をただ書き留めるだけにしましょう。食事を記録することを習慣化し、自分の食習慣を知るためにも、食べた物をすべて記録することだけに全力を尽くしましょう。
- デジタルのキッチンスケールを買う
毎日食べた物を記録することに慣れてきたら、実際に食べた量を正確に量るために、キッチンスケールを手に入れましょう。すべてを同じ計測器で量るようにします。実際の食べ物の量やサイズは一定ではないので、栄養価のデータを常に正確に出したい場合は、同じもので量ることが大事になります。
- 家族やパートナーを巻き込む
家族の理解がないと、やる気は長続きしません。『Qualitative Health Research』誌に掲載された研究で、協力的なパートナーがいると、毎日自分の食事を記録し続けることができ、減量にも良い影響があることがわかりました。
- 食事の後で食べた物を記録する
食事の献立を前もって決めておけば、記録の手間が省けると思うかもしれません。でも、まずは自分の好みや食習慣を理解しましょう。
- 事前に食べる物を記録する
上記がすべて習慣化し、長く続けたいと感じたなら、少ない手間でやれるように合理化していきましょう。1週間、もしくは数日前には、食事の計画をすべて立て、1日の終わりに5分ほど、記録する時間を取るようにするといいでしょう。
食べた物とその量を永遠に記録し続ける必要はありません。自分が何を食べているのか、毎日必要な栄養をどうやって摂るのかを把握し、食品の成分に意識的になるまでやれば十分です。
体重を減らしたいと思っていても、人生はできるだけ楽しんだほうがいいでしょう。友だちと夕食を楽しんでいるときに、キッチンスケールを取り出してラザニアの重さを量るようことはしないように。
Stephanie Lee(原文/訳:的野裕子)
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