英語学習を効率的に進めるコツは、つい読みたくなる教材に触れることです。世界中で大ヒットした『ハリーポッター』の英語版なら、ワクワクしながら英語を学べそう。そう思ったことはないですか? でも、実際に試して見るのはやめたほうが良さそうです。
オンライン英会話「ベストティーチャー」が運営するリアルな英会話情報を発信するブログ「英会話通信」によると、『ハリーポッター』の英語版は日本人にとって学びにくいコンテンツなんだとか。以下、記事を転載してご紹介します。
J.K.ローリング による『ハリー・ポッター』シリーズを知らない日本人はほとんどいないでしょう。現在までの累計発行部数4億5000万部以上を売り上げ、全7部という長編にもかかわらずワーナー・ブラザーズによって2001年から2011年まで10年もの歳月をかけて映画化されました。また最近では、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが本作品世界を再現した「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」を昨年オープンしたことも大きな話題となりました。
ストーリーは面白くても、英語学習に向いているかどうかは別問題です。ハリーポッターの場合、非ネイティブにとって読み取りづらい文章が多く含まれているため、英語学習のテキストとしては不向きなんです。その理由を5つご紹介します。
1. 独自の造語、表現が多い
『ハリー・ポッター』シリーズの特徴は、その作り込まれた作品世界ではないでしょうか。通貨、政治制度、教育科目、呪文、職業などの設定に割り当てられた造語は膨大な数に上ります。その中でも比較的わかりやすい"healer"(魔法使いの医者)などの単語もありますが、例えば"spellotape"(道具を治す魔法のテープ)などは一見しただけでは何を意味しているのかさっぱりわかりません。ネイティブであれば、それが一般的な言葉なのか造語なのかは判断がつきますが、辞書に頼りながら読み進める方にとってそれは非常にハードルが高いと言えるでしょう。
また、慣用句をもじった言葉遊びが多いのも『ハリー・ポッター』シリーズの特徴と言えるでしょう。例えば作品中に"ten a Knut"という表現がありますが、これは「安い」「二束三文の」を意味する"ten a penny"という慣用表現をもじったもので、Knutとは作品世界で使われる通貨単位です。この場合、慣用表現と作者の造語を理解しないと意味がわからず、こういった表現が数多く盛り込まれているのもこの作品が英語教材には向かない理由の一つです。
2. スラング、方言が多い
『ハリー・ポッター』シリーズは主人公を始めとする登場人物たちの会話でいわゆるスラング表現や出身地を推測させるような方言による会話が数多く使われています。これによって登場人物たちがリアルに描かれているという側面もあります。しかし、音ではなく文字でスラングを読み取るのは難しく、これから辞書を片手に読み始める方にとって教科書や辞書に載っていない表現が頻発する本作品は読み進めるのに非常に手間がかかる作品と言えるでしょう。
3. 皮肉やジョークが多い
「イギリス人は皮肉屋だ」というステレオタイプをお持ちの方もいるかと思います、その真偽はともかくとして、イギリスで生まれた『ハリー・ポッター』シリーズは皮肉や気の利いたジョークが数多く盛り込まれています。
日本人があまりこうした冗談を言わないことも、原著から読み取るのが難しい原因の1つかもしれません。
4. 日本語版との対応の問題
ここまで記事を読んでこられた方で「日本語版が出てるんだから、対応させて読めば問題ない!」と思ってる方もいるかと思います。しかし『ハリー・ポッター』シリーズでなくとも翻訳小説であればなんでも当てはまりますが、文章の流れや作品の雰囲気を伝えるために、大胆な意訳や意図的な置き換えを行っている場合があります。
また日本語版の翻訳を行っている松岡佑子さんの文章はややクセのある文体と単語が特徴ですので、単語の意味の取り違いや誤解が起こってしまうかもしれません。
5. 長い!
『ハリー・ポッター』シリーズが長編であることは知られていますが、英語版はどのくらいの長さなのでしょうか、以下表を作って比較してみました。

長い! 特にシリーズ後半は全て500ページを越えています。シリーズ全部を読破するためには相当な覚悟と時間が必要になるでしょう。英語学習のテキストとしてはもう少し短めの方が望ましいですね。
いかがでしたか? 「いつかは原文でハリーポッターを読んでみたい!」と思っている方もいると思いますが、英語学習のテキストは別の教材を使ったほうが良さそうですね。
ハリー・ポッターで英語を勉強してはいけない5つの理由!|英会話通信
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