9月2日に、アメリカ最大手のネット動画配信サービス「Netflix」が日本上陸をはたしました。これに対抗してか「TSUTAYA TV」が月定額サービスを開始するなど、さまざまな参入の動きもあって動画配信サービスに注目が集まっています。

現在、月定額の見放題サービスを提供しているのは、主なものだけでも「Netflix」「Hulu」「U-Next」「dTV」「TSUTAYA TV」があります。映画やドラマの視聴スタイルがより自由になっていくと言われている今、この中からどう選んだらいいのか、比較してみました

定額動画配信サービス比較表(2015/09/02現在)

Netflix Hulu U-Next dTV TSUTAYA TV
無料期間 1ヶ月間 2週間 16日間 31日間 30日間
月額料金 650円(ベーシック)/950円(スタンダード)/1450円(プレミアム) 933円 1990円 500円 933円
配信数 未公表 約2万 約12万 約12万 約5万
オフライン再生 ○(専用アプリ)
画質選択 最低(0.5Mbps)
標準(1.5Mpbs)
中(SD 3.0Mbps)
高(HD 5.0Mbps)
超高(4K 25Mbps)



HD
ふつう
きれい
すごくきれい
HD
HD ○(ベーシック除く)
4K ○(プレミアムのみ)
同時視聴数 1~4(プランにより変化) 1 4 1 1
主な特徴 海外ドラマに強い/自社製作番組有/検索・パーソナライズが多機能 海外ドラマが強い/日本のドラマ等が豊富/「ラストコップ」など独自作も有 国内作品、アニメに強い/PPV有/アダルト有 「進撃の巨人」「新宿スワン」などオリジナル作品多い/PPV有/BeeTV有 DVD・BD・CD借り放題サービス有(2417円/月)
メモ いつでもキャンセル可能 対応デバイスが多い/決済方法が多様 レンタル有/ポイント制度有/新作をポイントで視聴可/電子書籍読み放題・音楽サービスつき レンタル有/最新アニメなどは別サービス(dアニメ:400円/月)/1アカウントに登録できる端末は5台まで レンタル・セルのサービス有

視聴スタイルから考えてみる

それでは、どんな基準でどのサービスを選べばいいのか、検討してみましょう。まず、動画をどう楽しむかという視聴スタイルから考えてみます。

海外の連続ドラマなら海外サービス

もはや定番といえる『24』など、海外、特にアメリカの連続ドラマを観たい場合は「Hulu」か「Netflix」が良いでしょう。「Hulu」は日本のテレビ局とも関係が深いため、国内ドラマにも強さを見せるのが魅力です。2015年春には日本テレビとのコラボ作『ラストコップ』が話題になりました。「Netflix」ではアメリカの話題作『デアデビル』や桐谷美玲主演の『アンダーウェア』といったオリジナル作品を配信しています。

ちなみに「Netflix」は4K画質に対応している唯一のサービスです。再生環境があるなら高画質を楽しめます。

ダウンロードして楽しみたいなら国内サービスを

どのサービスもモバイル対応はしていますが、電波状況が悪いところなどでは、動画が途切れてしまい興ざめです。また、外出中にLTE回線で視聴をすると、通信容量の制限が気がかりです。モバイル環境でコンテンツを楽しみたい人がチェックすべきは「オフライン再生(ダウンロード視聴)」です。

あらかじめ、Wi-Fi回線が利用できるところでコンテンツをダウンロードしておけば、移動中はストリーミングに頼らず視聴できます。現在、ダウンロード機能に対応しているのは「U-Next」「dTV」「TSUTAYA TV」の3つです。

独自配信コンテンツが目当てなら選択肢はない

「dTV」ではドラマ版『進撃の巨人』や『新宿スワン』といったオリジナル作品や「BeeTV」のコンテンツが視聴できます。先に述べましたが、「Netflix」や「Hulu」にも独自コンテンツがあります。観たい独自コンテンツがある場合は、選択肢は「コンテンツを取り扱っているサービス」一択になります。

比較するべきポイントは?

それでは、サービスを比較検討するときのポイントを挙げていきます。

1.「観たいコンテンツ」が配信されているか?

まずポイントになるのは、配信されている番組です。配信「数」よりも、自分が観たいコンテンツがあるかどうかが重要です。無料のお試し期間で、観たい作品、シリーズがあるかどうか確認してください。

なお、コンテンツによっては、配信期間が設定されています。支払った料金によって視聴期間が設定されるタイプ(いわゆるレンタル)と、見放題であっても期間限定でしか視聴できない番組があります。

そのため、配信期間の確認のしやすさ、お知らせの読みやすさなども、チェックすべき項目です。観たい作品があったのに、気づいたら配信期間が終わっていた...といったことがないように「マイリスト」といった機能も確認してください。

このとき、同時に試しておきたいのが「検索機能」です。サービスごとにかなり動作が異なるからです。作品名、俳優名、監督名など、いろいろな条件で検索をして、自分に合った動作をするか試してみましょう。

2.対応デバイスと画質

Netflix Hulu U-Next dTV TSUTAYA TV
スマートTV:LG、Panasonic、SHARP、TOSHIBA
Blu-rayプレイヤー:Panasonic、SONY
モバイル:Android、iOS
PC:Windows、Mac
ゲーム機:Playstation3/4、Wii U、XBOX 360/ONE
その他:Chrome Cast、Nexus Player
スマートTV:SHARP、Panasonic、SONY、LG
Blu-rayプレイヤー:TOSHIBA
モバイル:Android、iOS、Windows Phone
PC:Windows、Mac
ゲーム機:Playstation3/4、Wii、Wii U、XBOX 360、ニンテンドー3DS/LL、PlayStation Vita/Vita TV
その他:WD TV Live、Apple TV、Chrome Cast、Nexus Player、NTT西日本 光BOX+(HB-1000は非対応)
スマートTV:SONY、SHARP、TOSHIBA、Panasonic、HITACHI、LG Smart TV
Blu-rayプレイヤー:TOSHIBA
モバイル:Android、iOS
PC:Windows、Mac
ゲーム機:PlayStation Vita/Vita TV
その他:U-NEXT TV、Chrome Cast、NTT西日本 光BOX+(HB-1000は非対応)
スマートTV:SONY
モバイル:Android、iOS
PC:Windows、Mac
その他:dTVターミナル、Chrome Cast、Nexus Player、SmartTV dstick、Apple TV、ひかりTVチューナー(ST-3200)
スマートTV:TOSHIBA、SHARP、HITACHI、Panasonic、SONY、MITSUBISHI、LG、DXアンテナ、BUFFALO、I・O DATA、Maxell
モバイル:Android、iOS
PC:Windows、Mac
ゲーム機:PlayStationVita TV
その他:TSUTAYA Stick

どんなに使いたいサービスでも手元のデバイスが対応していなければ利用できません。PCやモバイルで視聴する場合はあまり問題になりませんが、iPod Touch、AppleTV、4.0未満のAndroid、Windows Phoneなどには対応していないケースがあります。

高画質で視聴したい場合は、お試し期間中に、実際に使用する環境で希望通りのパフォーマンスを発揮できるかチェックしておきましょう。回線品質が画質に影響を及ぼすことがあるからです。

3.小技が利くかどうか

Netflix Hulu U-Next dTV TSUTAYA TV
クレジットカード/PayPal/キャリア決済(ソフトバンク) クレジットカード/PayPal/キャリア決済(ドコモ、au)/iTunes Store クレジットカード クレジットカード/キャリア決済(ドコモ) クレジットカード/キャリア決済(ドコモ、au、ソフトバンク)

周辺状況もちょっとしたポイントになります。まず、決済方法です。基本的にどのネット動画配信サービスもクレジットカード決済が基本になっていますが、クレジットカードを持っていない場合や、ケータイ代と一緒に支払ってポイントを貯めたい場合はチェックしたくなるところです。

「TSUTAYA TV」はドコモ・au・ソフトバンクの携帯電話料金と一緒に支払えます。「Hulu」はドコモ・au、「dTV」はドコモの決済が使えます。「Hulu」はPayPalが、「Netflix」はそれに加えてソフトバンクの決済を利用できます。

人によっては影響が大きいのが年齢制限コンテンツです。サービスによってはまったく扱いがなかったり、制限が細かく設定されているケースもあります。オトナ向けのコンテンツを考えている場合は、確認をしておきましょう。


それぞれの違いはありますが、いずれも個性があり、楽しめるサービスになっています。ここまで述べてきたポイントに気をつけていただけると、ご自身に合ったサービスを選べると思いますが、あえて2点に絞るとすれば、「観たいコンテンツがあるか」「使いたいデバイスで再生できるか」ということになるでしょう。

ただ、配信期間などの制限もあるため「観たいコンテンツ」は多少流動的で、デバイスもその気になれば用意できますので、無料お試し期間をうまく使うというのが基本といえます。自分にしっくりくるサービスを活用して、ぜひ、楽しい動画ライフをお送りください。

修正[2015.09.08]表の内容について、対応機器の漏れなどを修正しました。また、学習/検索機能はいずれのサービスも形態は違えど備えているため、省略しました。

(ビッグ太)

Photo byDenys Prykhodov / Shutterstock.com