Inc.:アメリカ人は、ほかの先進諸国に比べて休暇をあまり取らない、というのは知っている人も多いでしょう。ニューヨークタイムズ紙に、その理由のわかりやすい説明が載っていました。アメリカ人は、仕事で出世するには、あまり休んではいけないと思っているのです。

ラトガー大学のAdam Okulicz-Kozaryn教授は「アメリカンドリームを追いかけている人の多くは、長時間働き、目標を達成するために長期休暇を取りません。ほかの先進諸国の人に比べ、ほとんどの人が一生懸命仕事をすれば成功して報われると強く信じています」言っています。

しかし、これは本当なのでしょうか?

本当に、働けば働くほど仕事で成功するのでしょうか?

起業家たちの間では、極端な長時間労働の価値と、長い目でみた幸せの優先順位が振り子のように揺れ動いています。そして、最近の研究で、経営者ではなく社員に限って言えば、夏休みなどの長期休暇を取らないと、実際に出世に響くことがわかりました。

エンドレスに仕事をするのが成功への道ではない

米国旅行協会の調査によると、アメリカ人社員がもっている、未消化の有給休暇のコストを集計した研究で、上記の結果が判明したそうです。さらに調査データを分析したところ、仕事で確実な出世街道を歩む人は長期休暇を取っている、という興味深い報告も出てきました。

最新の調査報告書には「会社に長くいることと、昇給やボーナスが増えることには何の関連もない」とあります。去年、11~15日ほど有給休暇を残していた社員は、すべての有給休暇を消化した社員に比べて、過去3年間、昇進や昇給をしていませんでした(6.5%ほど少なかったようです)。

この調査プロジェクトの主任であるGary Osterさんは、グローバルマネジメント誌「ハーバード・ビジネス・レビュー」にこのようにコメントしています。「休みを取らない人の多くは、上司が休みを取ることを快く思っていないと考えています。しかし、これは事実無根です」

有給休暇を使わない上に昇給もしないのであれば、そこには何が残るのでしょうか? 聞くまでもありません、ストレスです。

研究者はこう述べています。「未消化の有給休暇が多い人と、仕事でのストレスが"多い"や"とても多い"と答えた人の間には、明らかな相関関係がありました。特に未消化の有給休暇が11日間以上の社員には、それが顕著に表れました」

という訳で、夏休みも机にかじりついている人は仕事で成功しない、というのは正式な事実となりました。今すぐこの夏の計画を立てましょう!

How to Get a Raise: Take More Vacation|Inc.

Jessica Stillman(訳:的野裕子)

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