中学生の頃、「宝クジに当たったら何をしたいか?」をテーマにクラスメートと話していた時、僕は「世界一周」と「南の島に住む」の2つを挙げていました。叶えるつもりもない、叶うとも思っていない夢でしたが...。
でも大人になって、宝クジなんか当たらなくても、それが実現可能なことを知りました。
世界一周後、南国の楽園フィジーに移住して、今年で9年目。今回の記事は、前回の「世界幸福度ランキング1位の国フィジーへの移住。「世界最幸」の4つの秘訣とは?」の続編です。
フィジーでの仕事や給与・生活費、ビザ、などを中心にご紹介させていただきます。
1. フィジーでの仕事
フィジーは言わずと知れた観光大国。日本人にとっての「ハワイ」が、オーストラリア人やニュージーランド人にとっての「フィジー」なんです。

フィジーの基幹産業が観光業なので、現地の日本人も観光関係に従事している場合が多いです。旅行会社の事務スタッフやツアー・コンダクター、ダイビング・インストラクター、日本食レストランや高級ホテルのシェフなどなど。
しかし、2009年3月に日本からフィジーへの直行便がなくなったことが影響し、日本からの観光客は減少傾向にあります。
一方でグローバル化の流れもあり、英語を学びに来る日本人留学生の数は増えています。
フィジーは英語が公用語なので、国民のほとんどが英語を話します。しかも人がフレンドリーなので、学校外でもスピーキングの機会が豊富。スピーキング力が伸びる国として、人気上昇中です。日本からの訪問者のうち、約3割を留学生が占めます。
2. 留学関係の仕事
僕の仕事は留学生たちのサポートです。
「Free Bird Institute」という英語の語学学校、およびその姉妹校である「Ba Provincial Free Bird Institute」という現地の高校に勤務しています。

両校合わせて、毎年1500~2000名ほどの日本人が留学し、英語力はもちろんのこと、ライフスキル(社会がどう変わっても生き残れるサバイバル力)を磨いています。
現在、フィジー人以外の外国人スタッフは、僕を含めて合計10名います。内訳は、韓国人正規スタッフ1名、日本人正規スタッフ7名、日本人インターン1名、日本人ボランティア1名です。
スタッフの役割はさまざまです。留学生サポートやホームステイ管理、授業改善、留学生のデータ管理、日本代理店とのやり取り、ビザ管理など。僕は全体的なマネジメントを担当しています。
勤務地は空港オフィスや学校です。家から車で5分なので、満員電車による通勤ストレスもありません。

勤務時間帯は平日の9~18時です。ヨーロッパのように、年に1度、3~4週間の長期休暇を取得することも可能です。僕自身、今年の5月にフィジーを4週間ほど離れて、日本で休暇を過ごしていました。
その休暇中は、家族や友人たちに会ってワイワイしたり、「遊識者会議」や「Table For Life」などの人生を考えるイベントに参加したり、「HRカンファレンス」への参加やコーチング・研修受講などの自己啓発に勤しんだり、今冬の出版に向けて出版社と打ち合わせをしたりと、フィジー滞在中にはできないことをまとめて実行していきました。
3. 給与と生活費
一般的に、日本人(現地採用)の給与水準は月給(手取り)で、1500~3000フィジー・ドル(約9~18万0000円)くらいが平均だと思います。日本の半分くらいでしょうか。また、現地の物価も日本の半分程度です。
現在、僕は奥さん(専業主婦)と息子(0歳3カ月)との3人暮らしです。住居は賃貸で2LDK。そんな我が家の家計簿は以下の通り。
※1FJD(フィジー・ドル)=約60円

・家賃:650FJD(3万9000円)
・食費(外食込):440FJD(2万6400円)
・電気代:21FJD(1260円)
・水道代:4FJD(240円)
・ガス代:5FJD(300円)
・ガソリン代:50FJD(3000円)
・交際費:220FJD(1万3200円)
・インターネット/携帯代:50FJD(3000円)
・雑費:90FJD(5400円)
合計: 1530FJD(9万1800円)
※息子の分はさておき、奥さんと2で割ると、1人あたり45,900円の出費となります。
参考までに、以下、各種料金の目安です。
・バス代(初乗り):0.70FJD(42円)
・タクシー(初乗り):1.5FJD(90円)
・インターネットカフェ(1時間利用):2.5FJD(150円)
・安いレストラン:5~10FJD(300~600円)
・中級レストラン:12~20FJD(720~1200円)
・ゴルフ(9ホール):15FJD(900円)
・映画:6.5FJD(390円)
・ゴルフ(9ホール):15FJD(900円)
※ゴルフクラブのレンタルは別途20FJD(1200円)
・1日クルーズ:150FJD(9000円)
現地での暮らしは、「給与は半分、物価も半分」なので、生計を立てることはそれほど難しくありません。それに、日本人が持つ「ハードワークは美徳」のような仕事観はないので、「上司が残っているから帰りにくい」といった無用のストレスもありません。加えて、家から1時間もドライブすれば、体と心を浄化してくれるクリア・ブルーの海もあります。
「お金」よりも「時間」を優先させたい方には、フィットするかもしれません。

4. 滞在ビザ
日本人がフィジーに滞在するためのビザ・タイプは大きく5タイプです。
1.観光ビザ:観光を目的として滞在する人用。4カ月以内の滞在であれば、申請は必要なし。現地の入国管理局で96FJD(5760円)を支払えば、2カ月まで延長が可能です。 2.学生ビザ:勉強を目的として滞在する人用。現地の語学学校や高校、大学に通い、英語等を勉強できます。この場合、現地の受入先を通じてビザ申請をします。 3.労働ビザ:労働を目的として滞在する人用。現地の会社と雇用契約が結ばれると、雇用先を通じてビザ申請をします。会社が保証人となります。僕のビザはコレです。3年ごとの更新。 4.リタイアメントビザ:年金受給者などの退職者がのんびりと暮らすことを目的として長期間滞在できます。45歳以上の方が対象。3年ごとの更新。年3万FJD(180万円)の収入(年金や金利など)が必要。加えて、現地の銀行に10万FJD(600万円)を預金する必要もあります。 5.投資家ビザ:フィジーの事業に投資、もしくはフィジーで起業することを目的として滞在する人用。25万FJD(1500万円)以上の投資・起業であれば、7年間の滞在が可能。25万FJD(1500万円)未満の投資・起業の場合でも、フィジー貿易投資局の審査を通過すれば、3年間の滞在が可能です。※現在、海外からの企業、投資を誘致・促進していますので、審査はそれほど厳しくありません。
5. フィジー向きではない人
南国フィジーといえば、「ココナッツの木の下で、のんびり昼寝をしているフィジー人」をイメージする人もいるかと思います。そんなストレス・フリーに思えるフィジーですが、逆にストレスになる場合もあります。
特に、以下2つに当てはまる方は要注意です。
1.テキトーな人が超苦手フィジー人はテキトーです。約束は守らないし、時間も守りません。それを反省することもなく、「フィジー・タイムだから」と笑顔で爽やかに言い訳してきます。
それを「違い」として受け入れる柔軟性が必要です。「日本だったら○○なのに」と常に日本と比べて怒る人にはキツイ国です。発展途上国をバカにして「上から目線」になる人もNGでしょう。「外国人としてフィジーに住まわせてもらっている」という謙虚な気持ちを持ち続けることが重要です。
2.多種多様なエンターテインメントを求めるフィジーの娯楽は限定的です。レストランは限られた種類しかありませんし、ショップで販売されている衣類や食品などの種類も多くありません。遊園地やマンガ喫茶もありませんし、コンサートなどのイベントもほとんどありません。図書館や本屋はあるにはありますが、本の種類は非常に少ないです。

フィジー・ライフを楽しむためには、「自分で自分を楽しませるスキル」が必要になります。外的な誘惑が少ない分、「自分が人生で本当に大事にしたいこと・やりたいこと」にフォーカスしやすくなります。シンプルにミニマムに暮らしたい人にはオススメです。
6. まとめ

「南の島で暮らす」を実現するために一番必要なことは、「まずは行ってみる」です。頭だけで考えていると、ネガティブなことが雨後のタケノコのごとく次から次へと浮かんできます。実際に行ってみると、意外と悩む必要もなかったことに気づくものです。
この10年、僕は日本を外側から眺めてきました。ひきこもり、ブラック企業、派遣切り、追い出し部屋、孤独死、うつ、就活自殺、などなど暗いニュースが多いように感じています。
そんな日本と対極にあるのが、南国の楽園フィジー。フィジー人は仕事がなくても、お金がなくても、寿命が短くても、世界幸福度ランキング1位に輝きました。
人生、だいたい80年と言われます。日数に直すと、3万日程度です。その1/1000にあたる1カ月くらい、癒しの楽園フィジーで過ごしてみても、バチは当たらないのではないでしょうか。
※本記事では2015年7月現在のレート(1フィジードル=約60円)で日本円に換算しています。
