3月、自動運転車が初めてサンフランシスコからニューヨーク市まで走行しました。これは法的にはどういう意味を持つのでしょうか? このような問題にサウスカロライナ大学の法律学助教授Bryant Walker Smith氏が答えようとしています。同氏は自動運転車に関する法律の専門家です。彼は、将来自動運転車によってほとんどの交通事故は無くなり、責任問題に変化をもたらすとともに、私たちは車を運転していた際のリスクを思い返してぞっとすることになる、と予測しています。

「自動運転車について心配がありますか?」と聞かれれば、私は「はい。しかし、現在の車はもっと恐ろしいと思います」と答えるでしょう。米国の公道では年間3万人が交通事故により死亡し、100万以上の人が怪我をしています。これらの事故の94%は人為的なものです。

自動運転車では、意思決定がもはやリアルタイムでは行われません。ドライバーが運転席でハンドルを握るのではなく、コンピュータの前に座るデザイナーチームが自動運転の際に想定される状況を慎重に予測します。おそらく、多くの責任が企業、つまり各種運転システムの製造者、デザイナー、サプライヤーに転嫁されることになるでしょう。そして、企業が事故コストのかなりの部分を負うことになる可能性が高いのです。

自動運転では人はすぐ油断してしまうでしょうから、法的に人間はどこまで運転に関わる必要があるのか決定しておく必要があります。

車も経験から学習していくでしょう。つまり、お互いに膨大なデータを共有することで、自動運転車全体が少しずつ賢くなっていくのです。携帯電話やインターネットと同様に、人々はプライバシーが失われるのを認識しながらも、テクノロジーによる恩恵を受けていくでしょう。そのうち、完全に自動化された車に乗り、「美味しいレストランに行きたい」とさえ車に告げれば、自分がどこに連れて行かれるのかわからない、もしくは気にならないような時代が来るかもしれません。しかし、別の意味で危険の可能性はあります。車両全モデルがハッキングされて、ウィルス感染やマップのクラッシュ、渋滞中にリアルタイムのコミュニケーションが妨害されたりする可能性もあるのです。

現時点での問題は、「多くの命を救う可能性のあるテクノロジーを進歩させるために、私たちがどこまでのリスクを背負う覚悟があるのか、ということです」

自動車死亡事故の40%が飲酒運転や、ながら運転を原因としていますが、この2つの要因は自動運転車ではあり得ないことです。

WHO'S RESPONSIBLE WHEN A SELF-DRIVING CAR CRASHES?|Popular Science

Breanna Draxler(訳:コニャック

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