そろそろ梅雨が始まります。日本特有の湿気がマックスになるこの季節。まとわりつくような空気だけでなく、身体に妙な重さを感じる人も多いのではないでしょうか?「太ったのかな?」「最近疲れが長引く...」という方。その重さは「むくみ」かもしれません。今回はジメジメした空気を一掃し、身体も気分も軽くなるセルフケア術をお伝えします。
なぜ、梅雨に身体が重くなる?
「梅雨時は体調バッチリです!」という方にはあまりお目にかかったことがありませんが、なぜでしょう。それは、湿度の高い気候と、人間の身体の「水はけ」の関係性によるものです。
人間の身体は60%以上が水分で構成されていますが、それは主に尿や大便として排出され、そして皮膚から水蒸気となって蒸発していきます。
乾燥した土地や炎天下にいる時に、トイレに行く回数が減った経験はありませんか? 皮膚から水分が出て行くことで、体内の水分量が減っているのです。その分しっかり水気をとらないと、脱水症状に見舞われてしまうこともあるのです。
梅雨の湿気に満ちた空気は、その逆。空気中の水分量が飽和状態に近いので、体内から皮膚の水分が蒸発してくれません。行き場をなくした水分はしかたなく体内にとどまり、それが「むくみ」となるわけです。
身体にたまった水分は、意外なほどの重量があります。身体に水分が滞留したり、排出が促されたりするだけで、なんと軽く2キロくらいの体重変動が! つまり、最近体重が増えてきた...という人は太ったわけでなく、単にむくんでいるだけという可能性もあるのです。
とはいえ、いわば身体の下水管の動きが悪いという状態ですので、放置しておくと老廃物の排出が上手に行われず、ため込んだ水分が脂肪細胞とつながってセルライトを形成し、物理的に太っていってしまう...という負のスパイラルに陥ることも。
そもそもこれだけの量の水分を身体中に散らばらせていたら「重いしダルくて動けない...」というのもあたりまえです。もしかしたら「疲労感がとれない」というお悩みも、身体に滞留していた水分が出ていくだけで解消する可能性があります。
それでは、この「むくみ」。一体どのように解消していったら良いのでしょうか?
簡単に言えば「水」を外に出していくこと...、つまり、しっかり汗をかく、尿を排出する、といった基本的なことができる身体づくりが重要なのです。
しっかりと汗をかく身体をつくる入浴法
「汗をかく」といっても、すでに重たくなっている身体で運動するのはちょっとキツイ...。そんな時に最も手軽なのは、お風呂に入ること。しっかりと汗をかくためには「半身浴」がおすすめです。
半身浴は38度~40度以下のぬるめのお湯にじっくりと浸かる入浴法。「半身」ですので、みぞおちのあたりまでお湯に浸かる感じです。辛かったら無理する必要はありませんが、汗がポタポタと落ちてくるくらいまでを目安に、20分程度浸かると効果的です。
気をつけたい点としては、食後や飲酒後は避けることと、水分補給をしっかりすること。入浴前にお水をコップ1杯程度飲み、入浴中にも飲めるように近くに置いておくと良いでしょう。せっかく体を温めているので、飲みものは常温がおすすめ。冷たいお水をゴクゴク飲みたい気持ちはわかりますが、それでは胃が冷えてしまい、逆にむくみを引き起こすことにもなりかねません。
20分が長い...と感じる方もいるかもしれません。最近はお風呂にスマホを持ち込む方もいるようですが(汗)、ぜひ半身浴はデジタルデトックスの時間と位置づけてみてください。本やマンガを持ち込んで読んでみるのも良いですし、もっとリラックスしたい人はアロマ・メディテーションがおすすめ。
ご自身の好きな精油を合計5滴まで加えて半身浴します。ちなみに、むくみの解消につながる利尿や発汗をうながす精油は、ジュニパーやサイプレス、グレープフルーツなど。目を閉じて、お湯によって揮発する香りを心ゆくまで吸い込んでみてください。発汗効果を高める天然の粗塩に精油を滴下して、浴槽に入れれば汗かき度もさらにアップ。体液よりも塩分濃度が高い湯につかると、浸透圧の作用で身体の水分を体外に排出するデトックス力が高まります。
仕上げに冷水シャワーを浴びれば、さらにシャキッ! リンパ系が刺激されて免疫力も高まります。全身が苦手なら、腕や脚、顔など一部分にシャワーを浴びるだけでも随分ちがいますよ。入浴後は、忘れずに水分やミネラルを補給してくださいね。
スパイスの力でむくみを一掃
暑い時に辛いカレーを食べて、身体中の毛穴が開くような感覚を覚えたことはありませんか? むくみ対策に役立つ食事法はまさにコレ。
ブラックペッパー、クミン、コリアンダー、ジンジャー、クローブ、シナモン、カルダモン、ローレル...そして赤唐辛子など。
古代から、さまざまな文化の中で活用されてきたスパイス。東南アジアの暑い国が原産であることも多く、殺菌や防腐、消臭などの作用が珍重されてきました。また、血管を拡張して血液循環を良くしてくれるほか、発汗を促進し解熱する作用や、代謝を高める力も持っています。
スパイシーな料理を食べて皮膚の毛穴からしっかりと汗をかくと、自然に身体は涼しくなります。身体の熱をとるナス、抗酸化作用の強いトマト、汗と共に奪われやすいカリウムやビタミンCを豊富に含むゴーヤなど、色とりどりの夏野菜もまた身体を涼しく保ち、むくみを取るのに最適な食材。
自炊する人なら、こうした夏野菜をオリーブオイルとニンニクでさっと炒め、塩とスパイシーなカレー粉(日本特有の固形のものではなくスパイスとターメリックだけのインドやスリランカ系のもの)を加えて煮込むだけで簡単にできる、あっさり&ホットなベジカレーなどがおすすめです。
外食がちな人は、ちょっとスパイシーなアジア料理をチョイスするように意識してみてくださいね。毛穴からドッと汗が吹き出すと、日常生活でたまった邪気までもが抜けるようで爽快です。
ただし、辛いものを食べる時に気をつけたいのは、冷水やお酒の飲みすぎ、塩分の過剰摂取。逆にむくみを引き起こしてしまいます。塩分は少し控えめに、水を摂り過ぎない程度の辛さが理想的です。
第二の心臓! 足裏を刺激しよう

最後に、オフィスなどダラダラと汗をかけるシチュエーションではない時でもできる、むくみ対策を。
それは足裏を刺激すること。「第二の心臓」とも言われる足の裏をしっかりと刺激することで、リンパ系のポンプ機能が動き出し、老廃物の排出が促されます。
また、英国式のリフレクソロジーや中国の足ツボなどにおいては、足裏には全身の臓器に対応する「反射区」と呼ばれるものがあると考えられています。つまり、足裏をしっかりともみほぐすことは、全身の臓器を活性化させることにつながるのです。
そして足裏には、中国医学でいう「腎経(じんけい)」という、水分代謝に関わる経絡の大事なツボ、「湧泉(ゆうせん)」もあります。
こうしたさまざまな自然療法的な考え方からも解剖学的にも、足裏を刺激することはむくみの解消に一役買ってくれる大事な場所と言えそうです。
「でもオフィスで足裏をもむのはちょっとムリかな~?」という方。もちろん職場によってはできないこともあると思いますが、もし靴を脱いでも足元が見えない状況なら、お試しいただけることがあります。
用意するものは、テニスボールやゴルフボール。これを足元に置いておき、靴を脱いで足裏でコロコロと転がすだけ。「痛キモチイイ」感覚を目安に、土踏まずからかかとにかけてくぼんでいるところを刺激してみてください。
もちろん、お風呂で半身浴している時に足裏をもんだり、足の指の間に手の指を差し入れて、しっかり指間を開いてあげるのもおすすめです。でも、さらに気持ち良くて昇天間違いナシなのは、やっぱりプロにもんでもらうこと。
オフィスワークや外回りの間に、20分程度でも足裏~ひざ下をモミモミしてもらうと、足が軽くなるだけでなく、リラックス&リフレッシュして全身のむくみも楽になりますよ。渋谷クロスタワー内のCHILL SPACEでもフットのコースをご用意しているので、ぜひ立ち寄ってみてくださいね。
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約12万人以上を動員する音楽フェスティバルSUMMER SONICで10年連続セラピーブースを展開する他、新宿のシェアオフィス「HAPON」でのオフィスリラクゼーション、アパレルブランド「かぐれ」でのセラピーや講座など他業種とのコラボレーションも多数。現代人が都会でバランスを保ちながら生き抜く知恵やプリミティブな五感を取り戻す方法をさまざまな角度からナビゲートする。