2014年6月29日公開記事を、編集・修正して再掲載します。
99u:あらゆる批判を回避する方法がひとつだけあります。何も言わず、何もしないことです。しかし、批判を避け続けていれば、いつか道を誤ってしまいます。前進とは常に摩擦と出会うことです。どんなに立派な作品も、批判を避けては通れません(また、そうであるべきです。批判はあなたを磨いてくれます)。
しかし、ある研究によると、批判者の中には本質的に有害な人たちがいるのだとか。彼らは「何でも嫌う人」たちであり、欠点ばかりに目を向けるのだそうです。『Journal of Personality and Social Psychology』で発表された研究で、研究者たちは、被験者が未知のトピックに対してどんな反応を示すかを調べました。
その結果、被験者の一部に明らかにある傾向が認められました。予備知識のまったくないトピックを見せられたにもかからわず、また、その日の気分に左右されないために、同じ被験者を集めて別の日にもテストをしたにもかかわらず、被験者の中に、2つの特徴的なグループが見つかったのです。
「何でも好きになる人たち」と「何でも嫌う人たち」です。「何でも好きになる人たち」は、まったく予備知識がなくても、大半のトピックを肯定的に評価しました。一方、「何でも嫌う人たち」は...。言わなくてもわかりますね。
たとえば、こうした人たちが建築について持っている態度がわかれば、まったく他の分野に対する態度もわかります。どちらに対する態度も、「好き」「嫌い」の気質によってバイアスがかけられるからです。
一部の被験者の「気質からくる態度」が、何の知識もない対象についての意見を大きく左右していたのです。彼らは、何の理由もなく対象を嫌います(あるいは好みます)。これは覚えておく価値のあることです。あなたがどんな作品を創ろうと、一部の人は、「理由なく」それを嫌うのです。
オンラインで何かを公開したことがある人に尋ねてみてください。あなたの作品をオンラインで公開すると、必ずと言っていいほど、辛辣で酷い批判を受けるでしょう。なぜ、オンラインにはこうした心ない批判者が現れるのでしょうか?
心理学者のジョン・スラー氏は、対面ではしない行動をオンラインだと取ってしまう(「オンライン脱抑制効果」と呼ばれる)要因として、以下の6つを挙げています。
自分の作品をオンラインで公開するつもりなら、こうした「批判者」の問題についてよく理解しておきましょう。慣れていない者にとっては、辛辣な批判が大きなダメージになること、また、どんな優れた作品にも批判者は必ず現れるということを。
ロイ・F・バウマイスター教授は、『Bad is Stronger Than Good(悪いものは良いものより強い)』という論文の中で、この話題を扱っています。彼は、一般的に、悪い感情、悪い印象、悪いフィードバックは、良いものよりも「速く形成され、反証しずらい」ことを発見しました。
言い換えれば、否定的なコメントは私たちの記憶に強く残り、肯定的なコメントは忘れやすいのです。このアンバランスをよく理解してください。そして、肯定的なコメントを「意識的に」思い出す努力をしましょう。
スタンフォード大学の教授で、『The Man Who Lies to His Laptop(ラップトップに向かって嘘をつく人)』の著者でもあるクリフォード・ナス教授は、人が否定的な感情につきまとわれるのは、深く考えてしまうからだと言います。
否定的な感情はたくさんの思考を呼び起こします。また、否定的な思考は肯定的な思考よりも、脳でまんべんなく処理されます。 そのため、私たちは、幸福な出来事よりも、不幸な出来事のほうを、より反芻してしまうのです(また、不幸な出来事の方がより強い言葉で表現されます)。
また、否定的な思考は、「詐欺師症候群」を引き起こします。熟練した職人でさえ、「私はたいした職人じゃない、そのうちみんなにバレてしまうだろう」と考えたりします。
もちろん、すべての否定的なコメントを、「何でも嫌う人」のせいにはできません。また、自我が傷つくことを恐れて、批判を遠ざけてばかりいるのも問題です。多くの人がそうなっています。価値ある本物の批判には耳を傾けるべきです。
そして最後にもうひとつ。批判者になるのは簡単です。誰からも攻撃を受けず、何のリスクもありません。一方、創作者になるには「勇気」が必要です。
Born Hatin': Why Some People Dislike Everything|99u
Gregory Ciotti(訳:伊藤貴之)
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