ゴールデンウィークが終わるとチラホラと現れるのが、「なんだかやる気が出ない...」「妙にふさぎこみがち」などといった「五月病」と言われる症状。
世間は、新緑の心地良い季節なのになんで自分だけ...? そんなだるさや気持ちの落ち込みを放っておくと、うつ病や心身症などに発展してしまうことも。
今回は、五月病になるその前に! 日々の生活の中で実践できる対策をお伝えします。
五月病って何でしょう?
新年度が始まり、新しい生活になじもうと必死だった1カ月が過ぎ...待ちに待ったゴールデンウィークでがっつり遊んで、しっかり休んで、リフレッシュ!! さぁ、ここからまたがんばるぞ〜!
...と、なるはずなのに、なぜか憂鬱な気分。体もだるくて動きにくい。これってひょっとして五月病? でも、そもそも五月病って何でしょう?
実は「五月病」という病気は医学的にはありません。近いもので考えられるのは「適応障害」。環境の変化によるストレスに適応しきれずに、さまざまな心身の症状が現れ、社会生活に支障をきたすレベルのものを「適応障害」と言います。
深刻な適応障害に至らずとも、何となく感じる心身の不具合が、新年度が始まって1カ月経ったこの時期に出やすい、というわけで「五月病」という一般的な名称がついたのです。
「そんなにストレス感じてないよ〜!」「むしろ新しい仕事に対するやる気に満ちていたのに!」という人も要注意。新しい仕事のプレッシャーや、転勤、転属、引越し。他にも、たとえば結婚や出産など、一見ポジティブな要素しかないようなことであっても、個体としての人間にとっては、「環境の変化」というもの自体がストレッサー(ストレスを与えるもの)となってしまうのです。
5月に入って、1度休んで、「ホッとした〜!」のその時に、思ったよりも心身が疲労していたことに気づいてしまった素直な反応...とも考えられます。また、こうしたストレス障害は原因が複合的に重なっていることも少なくはありません。
環境の変化に加え、毎日のパソコン業務や、プライベートでもスマホを手放せないことからジワジワ溜まっていくテクノストレス、メディアやSNSを通じて流れてくる情報の洪水に溺れてしまう情報疲労症候群、など21世紀型のストレッサーが増えています。
とはいえ「ストレス」というのは悪いものばかりではなく、「モチベーションの元」とも言い換えられ、人間を成長させるスパイスにもなり得るもの。その辺の上手なバランスをとる方法を考えていきましょう。
これなら誰でもできる! 短いデジタルデトックス
「デジタルデトックス」は、五月病の予防としても有効です。現代人のストレッサーの多くを占めているのが、過剰に氾濫する情報の処理やデジタルツールの使いすぎによる疲労。
電車でも、休み時間でも、歩いている時も、食事中も、寝る前も...スマホが手放せない! ちょっとした「スマホ依存」になっている人も少なくないと思います。
お酒を飲みすぎる人に休肝日が必要なように、現代人には誰でも「デジタルデトックス」の時間をつくることが大事です。たとえばアメリカでは、「Camp GROUNDED」というデジタルデトックス合宿も。
このCamp GROUNDED では、参加者の携帯電話は取り上げられ、名前も仕事も年齢も伏せてあだ名で呼び合い、すべての人が平等な立場で協力しあいながら生活し、大自然の中でヨガ、メディテーション、たくさんの童心に帰るアクティビティを楽しみます。
本当に理想的なのはこんな風な環境に身をおいて完全にデジタルデトックスをすることですが...。「そんなの仕事があるし、無理!」「スマホはやっぱり手放せません!」という人の方が多いですよね。そこでオススメしたいのが、デジタルオフな時間をジワジワと増やすこと。
「この電車に乗っている間だけは、スマホを見ずに本を読んでみる」
「この一本道を歩き切るまでは、歩きスマホをせずに新緑や街並みを眺めてみる」
「この休み時間だけは、丁寧にお茶やコーヒーを入れて、じっくり味わう」
「今日のディナーだけは、ケータイをオフにして会話と食事を楽しむ」
と、思いついた時だけでいいので、ちょこちょこ実践してみてください。
もし、途中でスマホやケータイに手を伸ばしてしまったら500円玉貯金する(笑)などルールを決めてもいいかもしれません。大事なのは、うまく行かなくても落ち込まないこと! 少しずつでもデジタルデトックスを意識した時間が増えていくことに意味があるのです。
ちなみに、ぜひやってみてほしいのは、「寝る前の30分だけは、スマホやパソコンを見ない」ということ。人間は寝ている間にさまざまな機能を回復させますから、寝る前の過ごし方はとても大事。
デジタルツールの画面が放つ光や、寝る前に仕事のメールや良くないニュースを目にすることは、交感神経を優位にして神経を覚醒させてしまい、眠りの質に影響を与えます。
間接照明などの温かい明るさに照明を落とし、自分の気持ちが安らぐ写真集を見たり、音楽を聴いたり、大事な家族と語らったり、瞑想したり...そうした時間を増やしてみてくださいね。リラックスできる香りを嗅いで、ゆったりと呼吸をするのもおすすめです。
鎮静効果の高いラベンダー精油やマージョラム精油と、心が温まるオレンジ精油をブレンドした【re:treat】MOONはお休み前に最適な香り。ティッシュに一滴垂らして枕元に置き、呼吸を深めていくと、自律神経を整え、質の高い眠りが期待できます。

心のケアに有効なタッチング

もしすでに、疲れが取れずに自分から能動的に何かをする気がしない、身体が重だるくて動けない...などと、五月病の入り口に立ってしまったのを感じたら...。タッチングケアを受けてみてください。
「タッチング」とは「触れる」こと。触れる方も、触れる方も「皮膚」がそのインターフェイスとなります。まだ人間が受精卵の状態の時、皮膚と脳・神経系は同じ外胚葉という部位に存在しています。つまりその発生由来から、皮膚を優しく触れていくことは脳や神経を優しく鎮静することにつながるのです。
そして、皮膚は自分と他人とを切り分ける境界線でもあります。他者の感情をまるで自分の感情のように感じてしまったり、人ごみや電車の中に行くと人のエネルギーで自分の領域を侵食されるような感覚に疲れてしまう人には、タッチングケアを行うことで境界をしっかりと体感し、他者と自分を区別することがとても有効だと思います。
他にも、皮膚感覚や肌触りと、心の関係性は、近年のさまざまな研究で明らかになってきています。
たとえば、以前の記事でも少し触れた、オキシトシンというホルモン。
オキシトシンは母親が母乳を与えるときに盛んに分泌されるもので、授乳中のお母さんが聖母のような安らぎに満ち、くつろいだ状態になるのも、このホルモンによる影響と関係があるのです。
しかし、これは母親だけでなく、男性も女性も年齢も関係なく誰もが分泌するホルモン。その効果として「ストレスを軽減する」「人への信頼感や親密感を得る」「不安感を軽減し、安らぎや幸福感を得る」などがあります。
そして、快いタッチングは、このオキシトシンの分泌を高めてくれることがわかっています。柔らかいペットを撫でている時、親愛なる人とハグをする時、落ち込んでいる時に背中にそっと手を当てられた時...心がスーッと楽に、穏やかになった経験はありませんか?
「触れる」「触れられる」ということは、非常にシンプルですが絶大な癒し効果のあることなのです。
心許せる親しい人とお家でタッチングケアし合うことができたらもちろん理想的ですし、逆にプロフェッショナルの手に身を任せるほうが、気遣いなく心を開けるときもあります。どちらでも、その時の自分にとって心地よい方を選ぶと良いでしょう。
心が疲れている時は治療院や整体よりも「リラクゼーション系」のサロンを選んでみるのもオススメ。なぜなら、リラクゼーション系のサロンはタッチングのクオリティに重きを置いていることが多いからです。
リラクゼーション系サロンであっても、タッチングケアを「マッサージ」や「オイルトリートメント」の形で提供していることがほとんどですので、結果として身体をしっかり揉みほぐされ、フィジカル面での機能回復もできて一石二鳥。
ぜひ自分の心と身体のケアに駆け込めるオアシス的なリラクゼーションサロンを、身近に探してみてください!
渋谷のCHILL SPACEでも、リラクゼーションと心身機能の回復を促進するクオリティの高いタッチングケアをご提供しておりますので、お気軽にいらしてくださいね。
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約12万人以上を動員する音楽フェスティバルSUMMER SONICで10年連続セラピーブースを展開する他、新宿のシェアオフィス「HAPON」でのオフィスリラクゼーション、アパレルブランド「かぐれ」でのセラピーや講座など他業種とのコラボレーションも多数。現代人が都会でバランスを保ちながら生き抜く知恵やプリミティブな五感を取り戻す方法をさまざまな角度からナビゲートする。